Microsoftのゲーム部門Xboxを率いる新CEOのアーシャ・シャルマ(Asha Sharma)氏が、米経済誌Fortuneの対談企画に登場し、Game Passの価格戦略の立て直しと、独占タイトル路線への回帰について語りました。2025年秋の大幅値上げで減少傾向にあった加入者数は、就任後の値下げを経て成長軌道に戻りつつあるといいます。ここ数年先行きが不透明視されてきたXboxにとって、方向性を示す重要な発言となりました。
値上げの失敗を認め、価格を再調整
Game Passは、月額制で豊富なゲームを遊べるうえ、対象の新作を発売初日からプレイできるXboxの看板サービスです。しかし2025年10月、Microsoftはこの料金を最大50パーセント引き上げました。日本でも最上位プランのGame Pass Ultimateが月額1,450円から2,750円へとほぼ倍増し、大きな波紋を呼んだことは記憶に新しいところです。
シャルマ氏は対談の中で、この値上げ後に加入者数の減少傾向が表れたことを率直に認めました。多くのユーザーにとって手の届かない価格になってしまったというのが同氏の分析です。値上げは自身の就任前の決定でしたが、就任後に価格とサービス内容の見直しを実施。日本では2026年4月にUltimateが月額1,550円へと40パーセント超の値下げとなりました。その結果、加入者数は増加に転じ、ユーザーの定着率も向上し始めているとのことです。
さらに同氏は、今夏に向けてあらゆるタイプのプレイヤーのニーズに応えられるよう、より柔軟なサービス展開を準備していると明かしました。プラン構成の追加調整が行われる可能性もありそうです。
独占タイトルは「通らねばならない道」
もう1つの注目点が、Xboxコンソール独占タイトルの復活です。前CEOのフィル・スペンサー氏の時代には、自社タイトルをPlayStationなど他社プラットフォームにも展開し、独占にこだわらない方針が採られてきました。ところが直近のショーケースで発表された『Clockwork Revolution』と『Gears of War: E-Day』は、いずれもXboxコンソール独占タイトルです。
この転換についてシャルマ氏は、Xboxが世界第2位のパブリッシャーであるという立場を踏まえ、自社ゲームをあらゆるプラットフォームへ届けたい気持ちは当然としながらも、プラットフォーマーとして見れば話は別だと説明します。独占的なサービスやコンテンツを持たないプラットフォームが成功した先例を見つけるのは難しく、独占タイトルへの回帰は「通らねばならない道」だと強調しました。まずは少数の代表的な独占コンテンツから始め、事業が好調になればさらに広げていく考えです。
なお、Xbox部門CCOのマット・ブーティ氏は、コンソール独占にするかどうかは「ケースバイケース」だと発言しており、すでにマルチプラットフォーム展開が告知済みのタイトルは予定通り発売されるとのことです。全面的な囲い込みではなく、看板タイトルを軸にした選択的な独占戦略と見るのがよさそうです。
「3つの誓い」とXboxらしさ
シャルマ氏は就任からの100日間で、「素晴らしいゲームを守り抜く」「Xboxの復活を牽引する」「ゲームの未来について語り合う」という3つの誓いを掲げてきました。直近のショーケースでは新たな独占2タイトルの発表に加え、25周年記念の特別エディションコンソールも披露され、復活への足がかりになったと振り返っています。
対談の最後には、PlayStationや任天堂のユーザーと違う「Xboxユーザーであることの意味」を問われ、プレイヤーも開発チームも常に少し他とは違う存在であることだと回答しました。オンラインゲームの価値がまだ信じられていなかった時代にイーサネット接続を本体に搭載し、ソーシャルという概念が浸透する前からXbox Liveを立ち上げた歴史を引き合いに、他では誰もやらないことに挑戦してきた文化を強調しています。ちなみに同氏が人生で初めてプレイしたゲームは『スターフォックス』、Xboxでの初プレイは『Halo』だそうです。
まとめ
値上げの失敗を認めて価格を引き下げ、加入者を回復基調に乗せたうえで、独占タイトルというプラットフォームの王道に立ち返る。シャルマ体制のXboxは、拡大一辺倒だった前体制から「プラットフォームとしての足場固め」へと舵を切った形です。今夏に予告されたGame Passの柔軟なサービス展開と、今後の独占タイトルの拡充がどう進むのか、引き続き注目です。
