Microsoftは新しい統合型Copilotアプリを発表しました。チャット・コーディング・自律型エージェントを1つのアプリにまとめ、複数のAIモデルを選べる仕組みを取り入れることで、Anthropicや OpenAI が攻勢を強める企業向けAI市場での存在感を高める狙いです。発表を受けてMicrosoftの株価は前場で約3パーセント上昇しました。
チャット・コード・自律エージェントを1本化
新アプリは「Home」「Code」「Autopilot」の3つの主要セクションで構成されます。Homeはチャット機能とMicrosoftの業務支援エージェント「Cowork」を組み合わせた画面で、日常的な問い合わせや資料作成の起点になります。Codeは自然言語での指示だけでアプリやツール、ソフトウェアを組み立てられる開発支援機能です。
Autopilotは、6月に発表された「Scout」を刷新したもので、Microsoft 365環境内にクラウド常駐させておける自律型AIエージェントです。単なる機能としてではなく、社内ディレクトリ上に固有のアカウントを持つ「デジタル同僚」のような存在として位置づけられており、人手を介さずに定型業務を継続的にこなすことを想定しています。
さらに、WordやExcel、PowerPointの主要機能をアプリ内に統合しており、別のアプリに切り替えることなく文書やスプレッドシートの作成・編集をAI支援付きで行えるようにしています。
複数モデルから選べる設計、Anthropicの手法にも言及
今回の新アプリの特徴の一つが、利用するAIモデルを選べる設計です。OpenAIのGPT系モデルやAnthropicのOpus系モデルに加え、自動選択モードも用意されており、単一のAIベンダーに依存しない構成になっています。Copilot事業を統括するジェイコブ・アンドレウEVPは、企業の機密データをローカル端末上の仮想マシンに送る方式は選択肢になり得ないと述べ、Anthropicが自社のCoworkで採用しているアプローチを念頭に置いた発言をしています。
CEOのサティア・ナデラ氏も、企業が独自に「プライベート評価」を実施し、必要に応じてAIモデルを入れ替えられる状態を保つべきだと強調しました。Copilot製品担当のアニー・パール コーポレートバイスプレジデントは、企業での利用に耐えられる形に作り込んできたと述べ、セキュリティやコンプライアンス面への配慮を強調しています。従業員ごとのAI利用コストを可視化する管理機能も備えており、企業側が費用を把握しやすいよう設計されています。
提供形態は段階的、無料版と従量課金を併用
新アプリは基本的なチャット機能を含む無料版を用意する一方、CodeやAutopilot、最新の大規模AIモデルを利用する高度な処理には従量課金が適用される想定です。Codeについては月内に一部の早期アクセス顧客への提供を開始し、Microsoft 365 PremiumおよびProの契約者には2026年内にプレビューを提供する計画です。Autopilotについても月内に限定的なプレビューを開始するとしています。
背景には、2026年7月にOpenAIが独自のスーパーアプリを投入したほか、Metaも個人向け自律エージェントアプリ「Muse」を展開するなど、AIアシスタント市場での主導権争いが激しさを増している事情があります。Microsoftとしても、Windowsやオフィスソフトで培ってきた企業向けの顧客基盤を武器に、単なるチャットボットではなく業務全体を任せられるプラットフォームへとCopilotを押し上げたい考えとみられます。
まとめ
Microsoftは、チャット・コーディング支援・自律型エージェントを1つに統合した新しいCopilotアプリを発表しました。OpenAIやAnthropicのモデルを選択できる柔軟性と、Office製品群との統合を打ち出し、企業向けAI市場での競争力強化を図ります。提供は段階的で、当面は無料版と従量課金を組み合わせた形での展開が見込まれており、市場も好感して株価は上昇しました。
