Valveのスタンドアロン型VRヘッドセット「Steam Frame」が、9月15日に日本での販売を開始しました。国内の取り扱いはKOMODOで、価格は税込で256GBモデルが19万9,980円、1TBモデルが24万4,980円です。同日に台湾と香港でも販売が始まっています。予告らしい予告のないタイミングでの発売だったこともあり、256GBモデルは公開直後に在庫が尽きました。
発表から10カ月越しの発売、初値は20万円前後
Steam Frameが製品として姿を見せたのは約10カ月前で、そこから実際に買えるようになるまでかなりの時間が空きました。米国での価格は256GBモデルが1,059ドル(約16万4,000円)、1TBモデルが1,299ドル(約20万1,000円)で、国内価格は消費税と流通を挟んだぶんだけ上に乗っている格好です。
※1ドル155円換算(2026年9月16日時点)
VR機としては安い部類ではありませんが、後述の通りこの1台でSteamライブラリを丸ごと抱え込める設計になっているため、単純にヘッドセット単体の値札として見るかどうかで印象は変わりそうです。
PCなしで動く、しかも非VRタイトルも遊べる
中身はCPUにSnapdragon 8 Gen 3、メモリに16GBのLPDDR5xを積み、OSはSteamOS 3です。つまりPCに繋がなくても本体だけでゲームが動きます。ストレージは256GBまたは1TBのUFSで、microSDカードスロットも用意されているため、容量の少ないモデルを選んでも後から逃げ道があります。
注目したいのは、対応範囲がVRタイトルに限られない点です。Valveは、Steamライブラリ内のすべてのコンテンツに対応できるとしており、VR非対応のタイトルも仮想的な大画面に映して遊べます。手持ちのライブラリがそのまま資産になるという意味では、ヘッドセットを買い足す心理的なハードルをかなり下げてくる仕様です。
無線は2本立て、視線の先だけ高画質にする仕組み
本体単体でも完結しますが、付属のワイヤレスアダプターをPC側に挿せば、PCからの無線ストリーミングでも遊べます。ここが少し変わっていて、無線を2つの帯域に分け、片方を映像と音声の伝送専用、もう片方を通常のWi-Fi用に割り当てています。ストリーミング中に一般の通信と帯域を奪い合わないようにするための設計です。本体はWi-Fi 7とBluetooth 5.3に対応し、ワイヤレスアダプター側はWi-Fi 6Eとなっています。
もう1つの目玉が「中心窩(ちゅうしんか)ストリーミング」です。アイトラッキングで視線の位置を低遅延で拾い、ユーザーが実際に見ている部分にだけ最高品質のピクセルを割り当てます。人間の目は視界の中心以外の解像度がもともと低いため、周辺を落としても気づきにくいという性質を利用したもので、Valveは画質と実効帯域幅が10倍以上向上するとしています。この処理はユーザーに意識させることなく働き、Steamライブラリの全コンテンツで機能するという説明です。
コントローラは乾電池1本で約40時間
入力は左右分離型の「Steam Frame Controller」で行ないます。静電容量式のフィンガートラッキングを備えつつ、非VRゲームを想定して十字キー、A/B/X/Yボタン、サムスティック、トリガー、バンパーも載せた欲張りな構成です。サムスティックは磁気検出方式を採用しています。電源は単3形乾電池1本で、駆動時間は約40時間。専用バッテリーの劣化に悩まされずに済むのは、長く使う道具としては地味に効いてきます。サイズは片方あたり126×73×87mm、重量は電池込みで130gです。
ディスプレイは片目あたり2,160×2,160ドットのLCDで、リフレッシュレートは72Hzから144Hzに対応します。特注のパンケーキレンズとガラス・非ガラスの光学素子を組み合わせ、視野は最大110度。瞳孔間距離は60mmから70mm、メガネを掛けたまま使う場合はレンズ幅140mmまで収まります。トラッキングはカメラを使ったインサイドアウト方式で、外部センサーの設置は不要です。本体サイズは175×95×110mm、重量はヘッドストラップ込みで440gと、前後の重量バランスを取ったうえで軽量に収めたとしています。
まとめ
Steam Frameは、PCを用意しなくても単体でSteamが動き、必要なときは無線でPCの性能も引き出せるという二段構えのVRヘッドセットです。視線追従による中心窩ストリーミング、乾電池駆動で約40時間もつコントローラ、microSDによる容量の逃げ道と、実際に使い続ける場面を想定した作り込みが目立ちます。国内価格は19万9,980円からと軽い買い物ではありませんが、手持ちのSteamライブラリをそのまま持ち込めるぶん、VR専用機として構える必要がないのが大きな違いです。
