OpenAIは、対話型AIサービス「ChatGPT」内の広告機能「ChatGPT Ads」の提供地域を、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの東南アジア6カ国と台湾に広げました。これにより提供国は60カ国を超え、広告主が中小企業まで参入しやすいセルフサーブ方式も新たに解禁されています。

対象は東南アジア6カ国と台湾、提供国は60カ国超に

ChatGPT Adsは、ユーザーがChatGPTと会話する中で関連する商品やサービスを広告として表示する仕組みです。これまでオーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、インドなどで先行提供されており、今回の拡大でアジア圏の対象国がさらに増えました。提供地域は全世界で60カ国を超える規模になり、生成AIとの対話を起点にした広告の枠組みが着実に広がっていることがうかがえます。

セルフサーブ機能で中小企業にも参入の道

これまで広告出稿は、企業が直接OpenAIと契約するか、代理店経由で行うのが基本でした。今回の拡大対象国では、条件を満たす企業が管理画面「Ads Manager」を通じて自分でキャンペーンを作成・運用できるセルフサーブ方式が利用可能になります。大手代理店を通す予算や体制を持たないスタートアップや中小事業者でも、会話型広告を試しやすくなる見通しです。

広告技術の面でも整備が進んでいます。東南アジア展開に先立ち、広告配信技術を手がける企業がChatGPT Adsの技術パートナーとして加わり、日本向けキャンペーンの運用支援を含めた連携が報じられました。代理店経由の出稿とセルフサーブ、技術パートナー経由の運用という複数の入り口を用意することで、規模の異なる幅広い広告主を取り込む狙いがあるとみられます。

なお、ChatGPT Adsは提供開始から200日足らずで年換算売上高10億ドル(約1,590億円)規模に達したとされ、すでに数万規模の広告主が複数の国をまたいで利用しているといいます。

広告と対話の境界を明確に区分

広告表示の対象は無料プランおよび低価格プラン「Go」の利用者に限られ、有料プランの利用者には広告が表示されません。広告はChatGPTの回答本文とは明確に分けて表示され、広告主がユーザーの会話内容を閲覧できない仕組みも維持されるとしています。生成AIとの対話が商品比較や購買検討の入り口として使われる場面が増える中、広告表示と回答生成の役割を分ける設計は今後の運用でも重視されるとみられます。

東南アジアは検索広告やSNS広告とは異なる会話型広告の効果を測る初期市場としても注目されています。言語や消費行動が異なる複数国でデータが蓄積されることで、会話型広告という手法がほかの地域にどこまで通用するかを占う材料にもなりそうです。

まとめ

OpenAIはChatGPT Adsの提供地域を東南アジア6カ国と台湾に拡大し、対象国を60カ国超に広げました。あわせて中小企業でも利用しやすいセルフサーブ方式を導入し、広告技術パートナーとの連携も強めながら、広告と対話を明確に区分する運用方針を維持しています。会話型AIを起点とした広告市場が、東南アジアという新たな地域でどこまで根付くかが今後の焦点です。

※1米ドル=158.78円換算(2026年9月25日仲値)