ソニーが、標準モデルのPlayStation 5(PS5)向けに新しいAIアップスケーリング技術「QSSR」を発表しました。PS5 Pro専用だったAI超解像「PSSR」の流れをくむ技術で、画像の細かさと安定感を高めることが狙いです。2026年10月1日から、「Marvel's Wolverine」と「Ghost of Yōtei」の2タイトルがパッチで対応しています。

QSSRとはどんな技術か

QSSRは「Quick Spectral Super Resolution」の略で、ソニーは「PSSRを素早く進化させたもの」と位置づけています。ゲームを低めの内部解像度で描画し、前のフレームの情報も使いながらニューラルネットワークで高解像度の映像に組み立て直す方式です。考え方はNVIDIAのDLSSやAMDのFSR 4、PSSRと共通しています。

ソニーによれば、軸になるのは2つの工夫です。1つは計算負荷を抑えたニューラルネットワークの構造、もう1つはPS5のハードウェア向けに手作業で最適化した実装です。PS5 ProのようなAI処理向けの専用ハードウェアを持たない標準モデルでも動かすための設計といえます。

ソニーは「PSSRはPS5 Proにおける最高水準であり続ける」と説明しており、QSSRはあくまで標準PS5向けの軽量版という立ち位置です。

開発の背景はProject Amethyst

QSSRは、ソニーとAMDが進めるAI向けグラフィックス技術の共同プロジェクト「Project Amethyst」から生まれました。このプロジェクトは、PlayStationとRadeonの両方で使える技術の開発を目的に、2024年12月に発表されたものです。PS5 Proで先行したAI超解像を、すそ野の広い標準モデルにも広げた形になります。

対応タイトルと効果

最初の対応タイトルは、Insomniac Gamesの「Marvel's Wolverine」と、Sucker Punch Productionsの「Ghost of Yōtei」です。専門メディアのDigital Foundryが検証したところ、Marvel's Wolverineでは画質向上が「非常に大きい」と評価されました。時間方向の安定性が増し、ディテールが細かくなり、ノイズや破綻も減ったとのことです。

一方、もともと映像が高品質なGhost of Yōteiでは、改善は「それほど劇的ではない」という見方でした。タイトルによって効果に差が出る点は、押さえておきたいところです。

処理負荷については、Digital Foundryの計測でフレーム時間あたり1.5ミリ秒から1.8ミリ秒のコストとされています。60fpsモードでは、内部解像度を下げても実質的にフレームレートはほぼ変わらなかったと報告されています。なお、ソニー自身は詳しい処理時間や内部解像度の目標値といった数値を公表していません。

今後の広がり

QSSRはすでに開発者向けに提供されており、各ゲームが対応パッチを出して取り入れる方式です。ソニーのファーストパーティスタジオの作品を中心に、今後も対応が増える可能性があります。ただし、過去の古いタイトルまで広く遡って対応するのは難しいとみられています。

まとめ

QSSRは、PS5 Pro限定だったAI超解像の恩恵を、台数の多い標準PS5へ広げる取り組みです。現時点の対応はMarvel's WolverineとGhost of Yōteiの2本で、効果の大きさはタイトルごとに異なります。対応作品がどこまで増えるかが、標準PS5の画質改善を左右しそうです。

参考
[1] https://blog.playstation.com/2026/10/01/ai-upscaling-is-coming-to-ps5/
[2] https://www.kitguru.net/components/graphic-cards/joao-silva/sony-reveals-project-amethyst-amd-co-developed-next-gen-ai-enhanced-hardware/