ソニーがEマウントのフルサイズ用レンズに、3本目となる100-400mmズーム「FE 100-400mm F5.6-8 OSS」(型名SEL100400)を加えます。開放F値をF5.6-8まで割り切ることで質量を約654gに抑え、超望遠ズームとしては異例の軽さを実現しました。国内発売は2026年9月4日で価格はオープン、北米では849.99ドルが希望小売価格として案内されています。
開放F値を譲って質量を654gに
このレンズの性格は、スペック表の1行目に出ています。焦点距離100-400mmで開放F値はF5.6-8、大きさは最大径78.2mm×長さ164.5mm、質量は約654gです。同じ焦点域を持つGマスターの100-400mmが1kgを大きく超えることを考えると、半分以下の重さに収まった計算になります。
軽さがそのまま効いてくるのは、三脚を据えない撮り方です。野鳥や航空機、鉄道のように被写体が動いてしまう場面では、レンズを構えたまま探し、振って、追い続ける時間のほうが長くなります。ここで数百グラムの差は、そのまま撮影を続けられる時間の差になります。ソニー自身も、これから超望遠を始める層を主な想定読者に置いていると説明しています。
一方で、開放がF5.6-8というのは薄暗い場所では厳しい数値です。テレ端の400mmではF8スタートとなるため、夕方の林の中や屋内競技場ではISO感度を上げる前提になります。近年のフルサイズ機は高感度耐性が上がっているとはいえ、そこは割り切りが必要な部分です。
光学系はED2枚と非球面2枚、最大撮影倍率0.41倍
レンズ構成は10群15枚で、ED(特殊低分散)ガラスを2枚、非球面レンズを2枚使っています。望遠側で目立ちやすい色収差を抑え、ズーム全域でのクリアな描写を狙った設計です。絞りは9枚羽根の円形絞りで、開放から少し絞った位置までほぼ円形を保つように作られています。
意外に効きそうなのが寄れる点です。最短撮影距離はワイド端で1.13m、テレ端で0.86m、最大撮影倍率は0.41倍に達します。0.41倍はハーフマクロに近い数字で、遠くの被写体を狙うレンズのまま、足元の花や昆虫にそのまま寄れることになります。超望遠と簡易マクロを1本で兼ねられるのは、荷物を減らしたい人には効いてくるはずです。
フィルター径は67mmで、レンズフードは付属します。防塵防滴に配慮した設計も採っており、天候が変わりやすい屋外での使用を想定した作りです。
ダブルリニアモーターで120コマ/秒の連写に対応
AF駆動にはダブルリニアモーターを採用し、高速で静かなフォーカスを実現しています。動く被写体への追従という点では、α9 IIIの最高約120コマ/秒というAF/AE追随の高速連続撮影に対応している点が目を引きます。この連写速度に付いていけるレンズはまだ限られており、普及帯の望遠ズームがそこに名を連ねるのは珍しい構成です。
光学式手ブレ補正はレンズ内蔵で、対応するボディと組み合わせると協調制御が働きます。動画側では、フォーカス位置の変化で画角が動いてしまう現象を補正するブリージング補正機能にも対応しています。
操作系は、割り当てを変えられるフォーカスホールドボタン、フォーカスモードスイッチとフォーカスレンジリミッター、ズームロックスイッチを備えます。超望遠でありがちな、持ち歩き中に自重で鏡筒が伸びる動きはズームロックで止められます。
テレコンで800mm、APS-Cなら1200mm相当
別売のテレコンバーターにも対応しており、1.4倍のSEL14TCと2倍のSEL20TCが使えます。2倍のSEL20TCを付ければテレ端は800mmに届き、APS-Cサイズのボディまたはクロップ撮影時には35mm判換算で最大1200mm相当まで伸ばせます。
もっともテレコンを挟めば開放F値はさらに暗くなるため、常用というより「あと一歩届かない」場面のための保険と捉えるのが現実的です。それでも、本体の軽さがあるからこそテレコンを1つ荷物に加える余裕が生まれる、という関係にはなっています。
価格と発売日
国内での発売は2026年9月4日で、価格はオープン価格です。北米市場では希望小売価格が849.99ドル(約13万4000円)、カナダでは1,079.99カナダドルと案内されており、現地でも9月からの販売開始となります。
※1米ドル=158円換算(2026年8月4日時点)
まとめ
FE 100-400mm F5.6-8 OSSは、開放F値を譲る代わりに質量約654gという携帯性を手に入れた超望遠ズームです。ED2枚と非球面2枚の光学系、0.41倍まで寄れる近接性能、ダブルリニアモーターによる高速AF、テレコン対応と、価格帯を考えれば内容は充実しています。明るさが必要な場面ではGマスターに譲るものの、超望遠の入口としては扱いやすい1本になりそうです。国内発売は9月4日です。
