AnthropicがClaudeの画面構成を作り直しました。これまで別々だったチャットとCoworkが1つの入り口にまとまり、文書作成の「Claude Docs」とスライド作成の「Claude Slides」がベータ機能として加わります。どのタブで頼めばいいのか迷う、という利用者の声に正面から答えた更新です。
タブを選ぶ作業がなくなる
今回の変更の中心は、機能を増やすことではなく入り口を1つにしたことです。チャット、Cowork、そして対話の中で成果物を組み立てるArtifactsが同じウィンドウの中に収まり、利用者は用途に応じてタブを切り替える必要がなくなります。
Anthropicによれば、統合前は「この作業はどのタブでやるべきか」という判断そのものが利用者の負担になっていました。新しい設計では、依頼の内容を見てClaude側が扱う機能を選びます。短い質問ならその場で答え、調査やレポート、表計算、プレゼン資料といった重い作業なら、編集可能なファイルとして手元に返す、という振り分けです。
4月に公開された、Webサイトやプロトタイプの見た目を作る「Claude Design」も、専用の場所ではなくClaudeの中のどこからでも呼び出せるようになりました。機能が増えるほど画面が分かれていく流れに、いったん歯止めをかけた格好です。
「Claude Docs」は共同編集を前提にした文書ツール
Claude Docsは、単に文章を書き出して終わりにしないところが特徴です。Claudeが節ごとに草稿を書き、内容について質問を返し、構成や表現の選び方にコメントを付け、指示に応じて書き直します。書き手が読み返して直すという工程に、そのまま入り込んでくる設計です。
同じ文書を複数人で同時に開いて作業することもできます。出来上がった文書はGoogle ドキュメントやMicrosoft Wordへ書き出せるため、社内で使っている既存の書式に合わせる必要がある場面でも行き止まりになりません。
生成した文書やスライドはリンクを渡すだけで共有でき、スマートフォンからも編集できます。パソコンの前に戻らないと手が付けられない、という制約が薄くなるのは実務では地味に効く部分だと思います。
「Claude Slides」はPowerPointとPDFで書き出せる
Claude Slidesでは、資料の作成を依頼するだけでなく、出来上がった後に1枚ずつ手を入れられます。Claudeの画面からそのまま投影して発表することもでき、PowerPoint形式かPDFでダウンロードして持ち出すことも可能です。
表計算についても、数式が実際に機能する状態のファイルとして返ってきます。画面の中で完結する提案ではなく、既存のオフィスソフトの世界に着地させるところまでを引き受ける、という方針がはっきり出ています。Microsoft 365やGoogle Workspaceが押さえてきた領域に、AI側から手を伸ばしてきた更新とも読めます。
デスクトップで始めてスマホで続ける
作業の受け渡しも整理されました。パソコンで文書の作成を頼んでおき、外出先ではモバイルアプリから進み具合を確認する、といった使い方ができます。Coworkは時間のかかる作業をClaudeに任せる場所として作られてきましたが、その性格が統合後の環境にも引き継がれています。
今回の更新の前段として、Cowork側では会話をまたいで利用者の文脈を覚えておくメモリー機能の改良が行われていました。入り口の統合は、その積み重ねの上に乗っている変更です。
提供範囲と今後のロールアウト
統合された画面と新機能は、まずPro・Maxの有料プランに向けて、Web版・デスクトップ版・モバイル版で数週間かけて順次提供されます。無料プランとチームプラン向けの展開はその後です。Claude Docs、Claude Slides、Claude Designはいずれも有料プランのベータ機能という位置付けになります。
段階的な展開なので、契約しているプランによっては手元の画面がすぐには変わりません。統合後の画面を前提に社内の手順を書き換える場合は、全員に行き渡るタイミングを見てからのほうが無難でしょう。
まとめ
Coworkという独立した場所をなくし、Claudeという1つの入り口に集約したのが今回の更新の要点です。文書とスライドという、業務でもっとも頻度の高い成果物に専用機能を用意したうえで、WordやPowerPointへ書き出せるようにしたところに実用面での意図が表れています。まずはPro・Maxから、数週間かけて順に切り替わります。
