ロボット掃除機で知られるDreameが、まったく別の畑に足を踏み入れました。ベルリンで開催中のIFA 2026で披露された「LEAPTIC Cube」は、同社にとって初のアクションカメラです。重量55.9gの本体で8K/30fpsの動画を撮り、カメラ部分が台座から外れるという構造を採用しています。欧州では10月中旬から、399ユーロ(約7万2,000円)で販売されます。
掃除機メーカーがGoPro・DJI・Insta360の土俵へ
Dreameは中国のスマート家電メーカーで、日本でも階段を上る掃除ロボットなどで名前が知られてきました。そのDreameがカメラ市場に参入する構想は、今年初めのCES 2026で一度示されています。IFA 2026はその続きにあたり、価格と発売時期が固まった発表という位置づけです。
ぶつかる相手は明確です。親指サイズの小型アクションカメラという領域は、Insta360のGoシリーズとDJIのOsmo Nanoが先行し、そこにGoProが本流の製品で構えています。後発が同じ土俵に上がる以上、何かで上回らなければ選ばれません。Dreameが選んだのは、センサーサイズと処理チップという分かりやすい正面突破でした。
1/1.3インチセンサーと48 TOPSのチップ
LEAPTIC Cubeが積むのは1/1.3インチのCMOSセンサーで、この階級の小型アクションカメラとしてはかなり大きい部類に入ります。ダイナミックレンジは最大13.5段、静止画は5,000万画素まで対応します。レンズはF2.8で画角は155度、10bitの色深度とP-Log記録にも対応しており、後段のカラーグレーディングを前提とした作りです。
動画は8K/30fpsのほか、4K/60fpsのHDR、4K/120fpsのスローモーションが用意されています。夜間専用の4K撮影モードもあり、センサーの大きさをそのまま暗所の余裕に振り向けた格好です。手ぶれ補正はGyroSteadyと呼ばれる方式で、防水は水深10mまで対応します。
処理を担うのはQualcomm製のチップで、AI処理性能は48 TOPSとされています。この演算力を、シーン認識、被写体の追尾、人物の自然な補正、音声のノイズ処理といった撮影時の処理にあてる設計です。Dreameによれば、シーンの解析にはマルチモーダルの言語モデルを使い、撮影中と後処理の両方で設定を調整するとしています。
カメラ部が外れて、30m離れても撮れる
この製品でいちばん目を引くのは、モジュール構造です。撮像部分は独立したキューブになっていて、2.27インチのタッチ液晶とバッテリーを内蔵した台座に磁力で装着されます。台座に付けたまま前向き・後ろ向きのどちらでも使えるほか、カメラ部だけを外して身につけたり、別のマウントに移したりできます。
外したカメラ部は、ProSyncという無線接続で台座から最大30m離れた位置まで運用でき、映像を飛ばしながらの撮影が最長90分間可能とされています。手元の画面で画角を確認しながら、カメラだけを手の届かない場所に置く、といった撮り方ができるわけです。三脚とスマートフォンを組み合わせて似たことをしている人にとっては、機材が1つ減る話になります。
操作系もひと通り揃っています。「Hi, Moko」と呼ばれる音声アシスタントが搭載され、電源の入り切り、撮影の開始、モードの切り替えといった操作を声で受け付けます。言い回しが厳密でなくても意図をくみ取るとされており、手がふさがっている場面を想定した機能です。ジェスチャーによる操作にも対応します。
記録と電源まわり
内蔵ストレージは64GBと128GBの2種類で、microSDカードは最大1TBまで挿せます。8Kや10bitのP-Logは容量を食うため、内蔵だけで完結させるのは現実的ではなく、カードとの併用が前提になるでしょう。
バッテリー駆動時間は110分、別売のMagnetic Battery Cubeを足すと210分まで伸びます。充電は19分で80パーセントまで回復するとされ、Wi-Fi 6とUSB 3.1で母艦への転送も速い部類です。本体表面にはCrystalShieldという防汚コーティングが施されています。
価格をどう見るか
欧州での実売は10月中旬から、399ユーロ(約7万2,000円)が起点になります。※1ユーロ181円換算(2026年9月4日時点)
同じ小型アクションカメラの相場に照らすと、決して安売りではありません。ただ、1/1.3インチセンサーと8K、そしてカメラ部が外れて単独で動くという組み合わせを1台で揃えているモデルは、現時点でそう多くはありません。仕様表だけを見比べれば、先行組に見劣りしない水準には収まっています。
一方で、アクションカメラは仕様よりも実地での挙動が評価を左右する製品です。手ぶれ補正の効き方、発熱で8K撮影がどこまで続くか、アプリの安定性、そして壊れたときの修理体制。このあたりは実機が出回ってからでないと判断できません。掃除機で積み上げてきた製造力がそのまま映像機器で通用するかどうかも、まだ未知数です。日本での展開時期と価格は、現時点で公表されていません。
まとめ
Dreameは初のアクションカメラ「LEAPTIC Cube」をIFA 2026で披露し、欧州で10月中旬から399ユーロ(約7万2,000円)で発売します。55.9gの本体に1/1.3インチセンサーを収め、8K/30fpsの撮影と5,000万画素の静止画に対応します。カメラ部が台座から分離して最大30m離れても撮影できるモジュール構造と、48 TOPSのチップによる撮影時のAI処理が特徴です。実力の評価は、実機が市場に出てからになります。
