ZWOが、一体型スマート望遠鏡シリーズの新型となるSeestar S50 Proを発表しました。口径50mmはそのままに、撮像センサーを4K解像度へ引き上げ、63度の広角カメラを追加した構成です。先行予約価格は899ドル(約14万4,000円)で、9月1日から出荷が始まっています。天体写真の敷居を下げるという初代からの方向性を、光学系とバッテリーの両面で押し進めた世代交代といえます。
4Kセンサーと広角カメラの2眼構成
最大の変更点は撮像素子です。初代S50は1080×1920、約210万画素でしたが、S50 Proは1/1.2インチのCMOSを積み、2160×3840、約830万画素の4Kで撮影します。焦点距離は250mmから260mmへわずかに伸び、光学系は4枚構成のアポクロマート(色収差を抑えた設計)を採用しています。
センサーが大型化したことで、写る範囲も広がりました。視野は1.46度から2.8度へと拡大しており、アンドロメダ銀河や北アメリカ星雲のように、初代では画角に収まりきらなかった大きな対象を1枚のフレームで捉えられます。天体写真では対象を画面のどこに置くかが構図の要になるため、この差は実用上かなり大きい部分です。
さらに、初代が単眼だったのに対し、S50 Proには63度の広角カメラが追加されました。望遠側で個別の天体を狙いながら、広角側では天の川のパノラマ、星の日周運動を写す星景写真、タイムラプスといった撮り方に対応します。1台で望遠と広角を切り替えられる点は、機材を持ち歩く量を減らしたい人には効いてきます。
追尾精度とバッテリーの底上げ
赤道儀モード自体は目新しい機能ではありません。ZWOは2025年のソフトウェア更新で初代S50とS30にも赤道儀モードを追加しており、対応するウェッジを使えば60秒露光が可能でした。S50 Proで新しいのは、バックラッシュ(ギアの遊び)をほぼゼロに抑えたという駆動系です。導入精度と追尾の安定性が上がり、風の影響も受けにくくなるとしています。長時間露光では機構のわずかな遊びがそのまま星像の乱れになるため、ここに手を入れたのは理にかなった改良です。
電源まわりも強化されました。バッテリーは6,000mAhから10,000mAhへ増え、標準的な条件でのライブスタック(複数枚を重ねてノイズを減らす処理)の稼働時間は約6時間から最大9時間へ伸びています。日没から明け方近くまで撮り続ける使い方を考えると、この差は外部電源の要否を分ける水準です。ストレージも64GBから128GBへ倍増し、スマートフォンとの接続にはNFCによるBluetoothペアリングが加わりました。交換式のフィルターセットも同梱されます。
操作は既存のSeestarアプリを踏襲
S50 Proは他のSeestarシリーズと同じアプリで動きます。スマートフォンとペアリングしたあと、アプリ内のカタログから対象を選べば、自動導入、ピント合わせ、追尾、ライブスタックまでが既定で自動的に進みます。露出時間などを手動で詰めることもでき、撮影したRAWフレームを書き出して外部のソフトで現像する使い方にも対応します。アプリ側には背景光の除去、ノイズ低減、星の除去といった処理機能も用意されています。
シリーズ内での位置づけも整理しておくと、S50 Proは今年1月に登場したS30 Proを口径で拡大したモデルにあたります。光学系、両カメラの830万画素センサー、63度の広角視野、128GBのストレージはS30 Proと共通で、違いは口径が30mmか50mmか、そしてバッテリー容量の差です。より暗い対象まで写したいならS50 Pro、携帯性を優先するならS30 Proという選び分けになります。
まとめ
Seestar S50 Proは、4Kセンサーへの刷新と63度広角カメラの追加によって、初代S50の弱点だった画角と解像度を埋めてきた製品です。バックラッシュを抑えた駆動系、10,000mAhバッテリー、128GBストレージといった地味ながら実用に効く強化も重なっています。先行予約価格は899ドルで、9月15日以降は999ドル(約16万円)となる予定です。
※1米ドル=160円換算(2026年9月2日時点)
