Samsung は 2026 年 5 月 7 日付のニュースルームで、「Samsung Galaxy S26」シリーズに搭載された動画機能「Cinematic Look-Up Table(Cine LUT)」の開発インタビューを公開しました[1]。Log 動画を素材に、Blockbuster・Coming-of-age・Romance・Thriller の 4 スタイルで映画調のカラー表現をワンタップで再現できるのが特徴です[1]。Galaxy S26 Ultra に新搭載された動画コーデック「APV(Advanced Professional Video)」と組み合わせることで、スマートフォン 1 台で本格的な映像制作を行うための土台が整っています[2]。

Cine LUT は Log 動画専用の「カラー変換マップ」

LUT(Look-Up Table)は、撮影した動画のカラーを別のトーンへ変換するためのマップのような仕組みです[1]。Cine LUT はその中でも Galaxy 端末で撮影できる Log 動画専用に最適化されており、フィルターのように色を重ねるのではなく、Log が持つ広いグラデーション情報をもとに映像を再構成して、奥行きのある映画的なトーンを生み出すと説明されています[1]。

開発を担当したのは、Samsung の MX(モバイルエクスペリエンス)事業本部カメラ画質研究開発グループの Sugon Baek 氏、Samsung Research リアリティーメディアラボの Bomi Kim 氏、そして韓国のカラーリストスタジオ U5K Imageworks CEO の Taesik Eom 氏です[1]。Samsung と U5K Imageworks の協業は 2 年前の「Rec.709 LUT」アドバイザリーから始まっており、当時の知見が今回の Cine LUT 設計へ引き継がれたとのことです[1]。

4 つのコアスタイル、シーンに応じた使い分け

Samsung の開発陣は、人気映画ジャンルに共通する映像表現を分析して 4 つのスタイルにまとめました[1]。

高コントラストな Blockbuster は屋外や都市風景のような明暗差の強いシーンに向いており、みずみずしい Coming-of-age はカフェや Vlog のような柔らかい雰囲気のシーンと相性が良いと紹介されています[1]。温かみのある Romance は人物中心の映像に、ムーディーな Thriller は印象的でドラマチックな雰囲気を出したい場面で効果を発揮するとのことです[1]。

開発時には Neutral・Soft・Strong の 3 段階の強度で複数バージョンを試作し、さまざまな撮影環境でテストを重ねたうえで最終的に 4 スタイルへ絞り込んだという経緯も明かされました[1]。屋外光や室内照明、昼夜の差を含めた大規模なデータセットを使い、ホワイトバランスや露出が変わってもカラーが破綻しないことを定量的に検証したうえで実装されているそうです[1]。

APV コーデックと組み合わせ、Galaxy S26 Ultra で 8K まで対応

Cine LUT の土台にあるのが、Galaxy S26 Ultra に世界で初めて搭載された動画コーデック「APV(Advanced Professional Video)」です[2]。Samsung が Qualcomm Technologies と共同で開発したプロ向けコーデックで、編集を繰り返しても視覚的に劣化しにくい「Visually Lossless」を売りにしています[2][3]。

S26 Ultra は最大 8K/30fps の収録に対応し、APV 422 HQ と APV 422 LQ の 2 つのプロファイルを使い分けられます[3]。HQ は階調や色の精度を重視したプロワーク向け、LQ はファイルサイズが HQ の約半分でデイリーワークフローを軽くしたい場合に適しているとされています[3]。Galaxy S26 シリーズ自体は 2026 年 2 月 25 日の Galaxy Unpacked で発表され、同年 3 月 11 日から販売が始まっています[4]。撮影時点で映画調のプレビューを確認しながら APV で記録し、撮影後にギャラリーから Cine LUT をワンタップで適用してそのまま共有する、という一連のフローが S26 シリーズの動画機能の核になっています[1]。

まとめ

Cine LUT は、これまで専門知識を要したカラーグレーディングをスマートフォン側に取り込み、誰でも 4 種類の映画調スタイルから映像のトーンを選べるようにした機能です。APV コーデックと組み合わせることで、Galaxy S26 Ultra は記録から仕上げ、共有までを 1 台で完結できる映像制作デバイスとして位置付けられそうです。

出典 [1]: https://news.samsung.com/jp/interview-make-every-moment-cinematic-how-cinematic-lut-transforms-video-on-the-galaxy-s26-series

出典 [2]: https://news.samsung.com/us/for-creators-by-creators-samsungs-pro-grade-apv-codec-supported-galaxy-s26-ultra

出典 [3]: https://developer.samsung.com/mobile/apv.html

出典 [4]: https://en.wikipedia.org/wiki/Samsung_Galaxy_S26