VAIOが13.3型のモバイルノート「VAIO T」と法人向けの「VAIO T work」を発表しました。画面を手前にくるりと返すとキーボードが画面の下に隠れてタブレットになる独自の「マルチフリップ機構」を採用し、ノートPC・タブレット・ビューの3つのスタイルを1台で切り替えられます。受注開始は9月18日10時、ノジマ店舗では9月22日に発売、VAIO直営ストアの最速お届けは9月30日です。同社が新たに立ち上げる「VAIO Nextシリーズ」の第1弾でもあります。

360度回転ではなく、画面が「裏返る」2in1

2in1ノートというと、キーボードを取り外すデタッチャブル型か、ヒンジを360度回してキーボードを背面に回すコンバーチブル型が主流です。VAIO Tはそのどちらとも違い、ディスプレイをヒンジの軸で反転させ、そのままキーボードの上に伏せる構造を取っています。タブレットとして持ったときに背面へキーボードが露出しないため、手に当たる部分がすっきりするのが利点です。

この仕組みそのものは新しいものではなく、VAIOが2015年に投入した「VAIO Z」のフリップモデルで採用していた機構です。当時は画面を回す前にリリースラッチで固定を外すひと手間が必要でしたが、VAIO Tではマグネットで画面を保持する新設計に変わり、ラッチ操作なしでそのまま形を変えられるようになりました。

スタイルは3種類です。キーボードが手前に向かって傾くチルトアップ構造のノートPCモード、机がなくても片手で持てるタブレットモード、そして画面をこちらに向けたまま相手に見せられるビューモードです。VAIOは「書く」「考える」「見せる」の流れを思考を止めずにつなぐ道具として位置づけています。なお、タブレットモードとビューモードでは、後述するVAIO User SensingやAIノイズキャンセリングの一部機能が標準動作に切り替わる点は覚えておきたいところです。

ノジマの発案から生まれた「Nextシリーズ」

VAIO Tは、VAIOが2025年にノジマの傘下に入ってから両社で企画した製品で、発案はノジマ側だったと説明されています。両社の取り組みとしては、2026年8月10日に発表したカメラで血管情報や心拍情報を推定するアプリ「VAIO ウェルネスケア」に続く第2弾にあたります。販売現場で集めた声をもとに「今までのノートPCとは違うスタイル」を打ち出す枠として、従来のハイエンド機「VAIO SX14-R」などとは別に「VAIO Nextシリーズ」という区分を新設しました。

法人向けの「VAIO T work」は、これまでの「VAIO Pro PK-R」のような型番調の名前ではなく、個人向けと揃えた分かりやすい名称になっています。こちらはCPUがCore Ultra 7 356Hに固定で、カラーはファインブラックのみです。

Core Ultra シリーズ3とCopilot+ PC対応

個人向けVAIO T(型名VCTNN1)のCPUは、Intel Core Ultra シリーズ3のHシリーズから選べます。選択肢はCore Ultra X7 358H、Core Ultra 7 356H、Core Ultra 5 325の3つで、最上位のX7 358HはVAIOストア限定色「勝色(かちいろ)特別仕様」でのみ選択できます。X7 358Hはグラフィックスが「Intel Arc B390」になり、VAIOは2024年10月発表のSX14-R(Core Ultra 7 155H搭載)との比較で、CPU性能が123パーセント、GPU性能が169パーセントと説明しています。

Hシリーズ搭載モデルでは、電源と放熱を強化して高負荷状態を10〜20分にわたって維持するVAIO独自の「VAIO TruePerformance」が働きます。NPUは最大47〜50TOPSで、Copilot+ PCの要件を満たしています。メモリーはLPDDR5Xで16GB・32GB・64GBから選択でき、SSDは512GB・1TB・2TBでPCIe 5.0対応品も選べます。

ディスプレイは13.3型の16:10、解像度2,560×1,600のWQXGAで、表面をガラス1枚で覆った継ぎ目のないタッチパネルです。ただし、VAIOのデジタイザースタイラス(VJ8STD4/VJ8STD3)には対応しないため、ペン入力を主目的にする人は注意が必要です。

重さ約1.25kg、大容量バッテリーなら動画再生18時間

本体サイズは約312×224.6×14.6〜19.6mmで、重さは個人向けが約1.253kg〜、法人向けが約1.299kg〜です。バッテリーは標準と大容量の2種類から選べ、JEITA 3.0の測定で大容量なら動画再生約16.5〜18.0時間、アイドル約28.0〜29.0時間、標準では動画再生約11.5〜12.5時間、アイドル約19.5〜21.0時間とされています。個人向けモデルは、3年以内に満充電容量が80パーセント以下になった場合にバッテリーを無償交換する保証も付きます。

インターフェースは、USB4(Thunderbolt 4、DisplayPort出力、USB PD充電対応)のType-Cを左右に1つずつ、USB 3.2 Gen 1のType-Aを2つ、HDMI、有線LANを備え、変換アダプターなしで一通りつながります。無線はWi-Fi 7とBluetooth 5.4、Webカメラは顔認証対応の921万画素です。

音まわりでは、3基のマイクを使ったAIノイズキャンセリングが4つのモードを持ち、専用キーからワンアクションで切り替えられます。人感センサーとカメラで着席時の自動ログオンや離席時の自動ロック、のぞき見警告を行う「VAIO User Sensing」も搭載しますが、こちらはノートPCモード専用です。「VAIO ウェルネスケア」は別途インストールが必要で、9月30日以降にダウンロード提供が始まる予定です。

勝色特別仕様は隠し刻印キーボードを選択可能

カラーはファインレッド、ファインブラックに加え、VAIOのコーポレートカラーである濃い藍色「勝色」を高輝度アルミニウムのアルマイト染色で表現した「勝色特別仕様」の3色です。勝色モデルは黒いキーキャップに黒文字を刻印してバックライト点灯時だけ文字が浮かぶ「隠し刻印キーボード」を選べます。

品質面では、MIL-STD-810Hに準拠した試験に加えて、可動部分が増えるフリップ機構専用の耐久試験を実施したとしています。製造は長野県安曇野市の本社工場で、出荷前に担当者が目視で確認する「安曇野FINISH」を経て届けられます。

価格は、報道によるとVAIOストアの最小構成が37万4,000円(税込)、勝色特別仕様が42万3,500円(税込)からです。個人向けはノジマ店舗とVAIO直営オンラインストア、法人向けはVAIOストアビジネスでの取り扱いになります。

まとめ

VAIO Tは、約10年前のVAIO Zで採用されていたフリップ機構をマグネット式に作り直し、Core Ultra シリーズ3とCopilot+ PCに対応させた13.3型2in1です。タブレット時にキーボードが裏に出ない構造や、ノートPCモード限定ながら充実したセンシング機能は独自色が強い一方、ペン非対応と37万円台からの価格は人を選びます。受注は9月18日10時から、ノジマ店舗での発売は9月22日です。