Lenovoの日本法人が、業務現場を想定した11型Androidタブレット「ThinkTab X11 Gen 1」を8月5日に発売しました。前面にNFCとFeliCaの読み取り部を備え、筐体はIP68準拠の防塵防水設計。さらにバッテリーパックを取り外せる構造で、外部電源だけで動かす運用にも対応します。価格はオープンプライスです。
前面にFeliCa読み取り部を置いた意味
このタブレットで最初に目を引くのは、NFCとFeliCaの読み取り部が画面と同じ面に付いていることです。背面ではなく前面に置くと、操作している人がタブレットを持ち替えずに社員証やカードをかざせます。読み取り側の画面表示を見ながら本人確認を進められるので、受付や入退室管理、業務システムへのログインといった用途とかみ合います。
FeliCaは読み取りのみの対応です。カードを書き換えたり、タブレット側を決済端末のカードとして使ったりする方向ではなく、あくまで「かざされたカードを読む」側に振った設計と考えるのが妥当です。日本の業務現場ではFeliCaベースの社員証が広く残っているため、Androidタブレットでここに正面から対応した機種は選択肢として貴重です。
工場や建設現場を想定した堅牢設計
筐体はIP68準拠の防塵防水で、粉じんの多い工場や屋外の建設現場でも使えます。濡れた手や手袋のままでのタッチ操作にも対応するため、作業を中断して手を拭く必要がありません。海外向けの製品ページではMIL-STD-810Hへの準拠やGorilla Glassの採用もうたわれており、落下や振動を前提にした作り込みが入っています。
ディスプレイは10.95型で解像度は2,560×1,600ドット、輝度は最大600cd/平方mです。屋外用の端末で輝度が足りないと画面が読めなくなるため、この600cd/平方mという数字は現場向けとしては実用上の下限をきちんと超えてくる水準です。海外の製品情報ではリフレッシュレート90Hzも案内されています。
本体サイズは約257.1×168.7×9.9mm、重量は約650gです。11型クラスとしては軽い部類ではありませんが、堅牢設計と大容量バッテリーを積んだうえでこの重さなら妥当な線でしょう。
バッテリーを外せることと「バッテリーレスモード」
もう1つの特徴が電源まわりです。バッテリーパックは容量10,200mAhで、着脱できます。長時間のシフトで電池切れになったら、充電を待たずに予備パックへ交換すればそのまま作業を続けられます。端末そのものを予備機と入れ替える運用に比べ、設定やアカウントを引き継ぐ手間が要りません。
さらに外部電源だけで動作する「バッテリーレスモード」を備えます。フォークリフトや台車に据え付けて常時給電で使う場合、バッテリーを挿したままだと充電と放電を繰り返して劣化が進みますが、バッテリーを外して電源直結で動かせれば膨張や発熱のリスクを抑えられます。据置き用途を持つ現場端末では、地味ながら効いてくる仕様です。
主な仕様と拡張性
プロセッサーはSnapdragon 7s Gen 3、メモリは6GB LPDDR5、ストレージは128GBで、OSは発表時点でAndroid 16です。ミドルレンジのSoCですが、業務アプリやブラウザーベースの基幹システムを動かす分には十分な性能を持ちます。
インターフェイスはUSB 3.2 Gen 1 Type-C(映像出力対応)とUSB 2.0 Type-Cの2基構成です。Type-Cが2つあることで、充電しながらバーコードリーダーなどのUSB機器をつなげます。1ポートしかない端末でハブを持ち歩く手間を考えると、この2ポート構成は現場では効きます。カメラは前面800万画素、背面1,300万画素で、microSDカードスロットと音声入出力も備えます。
オプションとして、スタイラスペン「Lenovo Tab Pen XE」と「ThinkTab X11用堅牢ケース」が後日発売される予定です。なお米Lenovoの直販サイトでは、メモリ8GB・ストレージ128GBの構成が499.99ドル(約7万9000円)で掲載されています。日本での実売価格は販売店により決まります。
※1ドル157円換算(2026年8月5日時点)
まとめ
ThinkTab X11 Gen 1は、前面FeliCa読み取り、IP68、着脱式バッテリーとバッテリーレスモードという3点で、コンシューマー向けAndroidタブレットとは明確に違う性格を持っています。汎用タブレットに周辺機器を足して現場に持ち込むのではなく、最初から現場側に寄せて作られた1台と言えます。日本の業務現場に残るFeliCa社員証の運用をそのまま引き継げる点は、国内で選ぶ理由になりそうです。
