Metaが個人向けAIエージェント「Muse」のMac版アプリを公開しました。9月上旬にiPhoneやAndroid、ウェブ、WhatsAppで先行公開されていたMuseが、今回のアップデートでMacのデスクトップ環境そのものを操作できるようになり、対応範囲がパソコン作業全般へと広がった形です。

バックグラウンドで動き、複数アプリをまたいで作業する

Mac版のMuseは、ファイル、メール、メッセージ、カレンダー、メモといったMac標準のアプリと連携し、フォルダの整理や、保存済みの情報を使ったフォーム入力、1日の作業内容をまとめたサマリー作成などをこなします。特徴的なのは、アプリを閉じたあともバックグラウンドで処理を継続する点です。「そのファイルを整理しておいて」「今日届いたメールをまとめて」といった依頼を渡しておけば、他の作業をしている間にMuseが裏側で進め、必要なタイミングで結果を報告する使い方が想定されています。

土台となっているのは、Metaが実世界でのエージェント作業向けに開発したという「Muse Spark」モデルです。9月公開の初期バージョンで採用された仕組みがMac版にも引き継がれており、Museの処理は本人専用のクラウド上の仮想マシン「Muse Secure VM」の中で完結します。さらに同じ仮想マシン上には、Museの外部通信を監視する別のエージェント「Sentinel」が常駐し、ファイル削除やメッセージ送信のような影響の大きい操作については、実行前に必ず本人の承認を求める設計になっています。

パソコン全体へのアクセスは任意、既定では制限あり

Mac特有の懸念であるパソコン全体へのアクセス権については、既定では制限された状態から始まり、フルディスクアクセスを与えるかどうかは利用者が設定画面から任意に選べるとされています。権限はいつでも見直しや取り消しが可能で、脆弱性を見つけた研究者向けのバグ報奨金制度も用意されています。現時点でのMac版は米国向けの無料提供で、週あたり1億トークンまでという利用上限が設けられています。オープンソースでの公開は予定されておらず、あくまでMetaが運営するホスト型のサービスとして提供される形です。

こうしたパソコンを直接操作するタイプのAIエージェントをめぐっては、評価額100億ドル規模のInstinctや、対話型AIのPokeなど競合サービスも相次いで機能を拡充しています。Mac版公開と同じ週には、MuseとInstinctがそろって音声通話機能を追加しました。チャットで答えるだけの存在から、実際の作業を代行する存在へとAIエージェントの位置づけが移り変わりつつある中で、各社がデスクトップという新しい領域を奪い合う構図が鮮明になってきたといえます。

まとめ

MetaはAIエージェント「Muse」のMac版アプリを公開し、ファイルやメール、カレンダーなどMacの標準アプリを横断して作業を代行できるようにしました。仮想マシンによる隔離と承認エージェント「Sentinel」による監視という、9月の先行公開時からの安全設計を踏襲しつつ、対応領域をモバイル・ウェブからパソコン全体へと広げた格好です。AIエージェントがデスクトップ環境そのものを操作する流れは他社にも波及しており、今後の機能拡充や日本を含む対応地域の広がりが注目されます。

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