xAIは、音声をテキストに変換するAPI「Grok Voice Transcribe 2.0」を公開しました。前バージョンと比べて認識精度をほぼ2倍に高めながら、利用料金は据え置いています。第三者機関のベンチマークでは主要なストリーミング型音声認識モデルの中で首位に立ったとされ、電話音声や短いフレーズの認識精度も大きく改善されました。
短いフレーズの誤認識が3分の1以下に
新モデルでは、19言語を対象にした短いフレーズの認識テストで、単語の誤り率が20.6パーセントから6.8パーセントまで低下したといいます。カスタマーサポートの通話や日常会話、認証情報の読み上げなど複数のカテゴリーで精度が向上しており、なかでも短いフレーズでの改善幅が際立っています。8kHzの電話回線を想定したテストでも、英語のカスタマーサポート通話の認識精度でテスト対象となった他社モデルを上回ったとされています。独立系のベンチマークサイトが公開しているストリーミング型音声認識モデルの比較では、32のモデルの中で最上位にランクされました。
料金は1時間あたり数十円のまま
利用料金はバッチ処理が1時間あたり0.10ドル(約16円)、リアルタイムに処理するストリーミングが1時間あたり0.20ドル(約31円)で、前バージョンと同額に据え置かれました。※1ドル157円換算 この料金には話者分離やタイムスタンプ付与、キーワードの補正といった機能があらかじめ含まれています。
話者分離や複数チャンネルにも対応
新モデルは、発言ごとに話者を識別する話者分離機能や、単語単位のタイムスタンプ付与、最大8チャンネルの音声を同時に処理できる仕組みを備えています。特定の固有名詞や専門用語を認識しやすくする「キーワードバイアス」機能では、最大100語までの登録が可能です。このほか、聞き取った内容を読みやすく自動整形する機能や、話し言葉特有のつなぎ言葉の除去、話し終わりを見極めて発言の区切りを判定する機能も搭載されました。対応言語は数十言語に及び、話されている言語を自動で検出するほか、会話の途中で言語が切り替わった場合もひとつの処理の中で検知できるとしています。書式の自動整形機能は25言語に対応しています。バッチ処理では1ファイルあたり最大500メガバイトまで、12種類の音声形式を扱えます。
APIのみで提供、旧モデルは数週間で終了予定
Grok Voice Transcribe 2.0はAPI経由でのみ提供される仕組みで、モデルの重みを公開するオープンウェイト版はなく、利用者が自前のサーバーで動かすことはできません。すでに動画メッセージングサービスのAtlassian Loomがこのモデルを導入しており、既存の音声認識ソリューションよりも高精度だったと評価しているといいます。前バージョンの「Grok Voice Transcribe 1.0」は数週間以内に提供を終了する予定ですが、その間はモデルIDを指定すれば引き続き利用できるとしています。
まとめ
xAIは音声認識API「Grok Voice Transcribe 2.0」を公開し、短いフレーズや電話音声での認識精度を大きく高めながら、料金は前バージョンと同水準に据え置きました。話者分離や複数チャンネル対応、キーワードバイアスなど実務向けの機能も強化されており、コールセンターや会議録音といった用途での採用が広がるかが注目されます。
