Googleが8月19日、Google ChatからGeminiを直接呼び出す新機能「Ask Gemini」を明らかにしました。展開は8月26日から段階的に始まります。Workspace Intelligenceを土台に、Gmailやドライブ、カレンダーの中身をチャット画面のまま探し、画像の生成や予定の作成まで会話の流れを離れずに済ませられるようにするものです。あわせて、これまでChatに置かれていたGeminiサイドパネルは表示されなくなります。

Ctrl+Gで開く仕事のコマンドライン

GoogleがAsk Geminiを言い表すのに使っているのは、仕事のための統合されたコマンドラインという表現です。チャットの画面を離れずに、その場で必要な操作を打ち込める入口という位置付けになります。

想定されている使い方は5つです。Gmailやドライブ、カレンダーといったWorkspaceのデータを横断して探すこと。会話から離れずに画像を作ったり、重要な連絡の下書きを用意すること。散らばった会話に一か所で追いつくこと。会議の設定やタスクの管理を作業の流れを切らずに進めること。そして、話題ごとにセッションを分けて作業を整理し、後日その続きから再開することです。

呼び出し口はChat左側のショートカット欄に用意されます。キーボードからも開けて、ChromeOSとWindowsでは Ctrl + g、macOSでは Command + g が割り当てられています。情報を探すためにタブを行き来する時間を減らす、というのがGoogleの説明する狙いです。

サイドパネル廃止で変わる3つの点

今回の変更で押さえておきたいのは、Chat内のGeminiサイドパネルが姿を消すことです。影響は3か所に出ます。

1つ目は機能の引き継ぎです。ファイルを探す、アクションアイテムを拾い出す、会話を要約するといった、これまでサイドパネルが担っていた役割の多くはAsk Geminiに移ります。そのうえでサイドパネル自体はChatから消えます。

2つ目はGemsの扱いです。Chatのサイドパネル経由でGemsを開くことはできなくなります。ただしGems自体が無くなるわけではなく、他のWorkspaceアプリのGeminiサイドパネルには引き続き残ります。

3つ目が会話履歴です。Chatのサイドパネルで交わした履歴は、新しいAsk Geminiの画面には引き継がれません。管理者はGeminiの会話履歴をエクスポートでき、組織が許可していれば利用者自身もダウンロードできます。ここで少し引っかかりやすいのが保存場所で、データエクスポートツールやGoogle TakeoutではGoogle Chatではなく「Gemini in Workspace」の下に格納されます。移行前に履歴を残しておきたい場合は、この点を確認しておくと安全です。

当面は英語アカウントのみ、10月1日までは上限が緩い

今回の切り替えが効くのは、Googleアカウントの言語を英語に設定しているユーザーだけです。それ以外の言語を使っている場合は当面サイドパネルのままで、対応言語は今後追加される予定とされています。日本語で使っている人にとっては、しばらく先の話ということになります。

管理者側の条件は、Gemini in Workspace in ChatとWorkspace Intelligence for all appsの両方が有効になっていることです。この状態であれば既定で使えます。利用者側はWorkspace Smart Featuresへの登録が必要です。

対象となるのは、BusinessのStandardとPlus、EnterpriseのStandardとPlus、そして教育向けアドオンのGoogle AI Pro for Educationです。展開はRapid ReleaseとScheduled Releaseの両方のドメインで8月26日に始まり、機能が見えるようになるまで最大15日かかるとされています。

利用上限にも期間限定の措置があります。10月1日までは通常より緩い上限が適用され、この間は試しに使い込んでも枠を気にしにくくなっています。それ以降は通常の利用上限が適用され、具体的な数値は事前にヘルプセンターで案内される予定です。

AIを会話の場所に寄せるという選択

サイドパネルという形は、本体の画面の横にAIを置くやり方でした。今回はそれをやめて、チャットの中にコマンドラインのような入口を作る形へ切り替えています。文書やスプレッドシートのように一人で書く画面ではなく、複数人がやり取りする場所にAIを置くなら、脇に控えさせるより会話と同じ場所に混ぜたほうが自然だという判断が読み取れます。

セッションという単位が用意されている点も、その延長線上にあります。チャットは話題が次々に流れていく場所ですから、依頼した作業を後から拾い直せる区切りが無いと、AIとのやり取りも同じように流れて消えてしまいます。

一方で、履歴が引き継がれないことと、当面は英語アカウントに限られることは、実際に移行する組織にとって小さくない摩擦です。英語環境と他言語環境が混在する職場では、しばらくの間、人によって画面が違う状態が続くことになります。

まとめ

Googleは8月19日、Google ChatにAsk Geminiを導入すると発表しました。8月26日から段階的に展開され、Workspaceのデータ横断検索、画像生成や下書き、会話のキャッチアップ、タスクと予定の管理、セッション単位の整理をチャット画面から扱えます。呼び出しはChatのショートカット欄またはCtrl + gです。引き換えにChatのGeminiサイドパネルは廃止され、Gemsは他アプリのサイドパネルへ、会話履歴は引き継がれずエクスポート対応となります。適用は当面、アカウント言語が英語のユーザーに限られます。