DFRobotが開発するシングルボードPCシリーズ「LattePanda」から、IntelのLunar Lake世代プロセッサーを搭載した新モジュール「LattePanda Mu Ultra」が登場しました。69.6×60mmという名刺よりひと回り小さいサイズに、最大115TOPSのAI性能を詰め込んでいるのが特徴です。ロボティクスやエッジAI向けの小型演算基板として、実機での購入がすでに始まっています。
名刺サイズの基板にノートPC級のAI性能
LattePanda Mu Ultraは、パソコン本体ではなく「コンピュートモジュール」と呼ばれる基板単体の製品です。キャリアボードと呼ばれる別売りの拡張基板に差し込んで使う仕組みで、用途に応じてポート構成をカスタマイズできるのが特徴です。従来モデルの「LattePanda Mu」(Core i3-N305またはN100搭載)と同じ69.6×60mmの筐体サイズを保ちながら、中身をIntelの最新モバイル向けSoC「Lunar Lake」に刷新しました。
搭載プロセッサーは、8コアで最大4.5GHz動作の「Core Ultra 5 226V」と、最大4.8GHz動作の「Core Ultra 7 256V」の2種類から選べます。GPUはIntel Arcグラフィックスを内蔵し、226Vは7基、256Vは8基のXeコアを備えます。AI推論を担うNPUの性能は226Vが40TOPS、256Vが47TOPSで、CPU・GPUを合わせた総合のAI性能はそれぞれ最大97TOPS、最大115TOPSに達するとされています。メモリは両モデルとも16GBのLPDDR5X(8533MT/s動作)を搭載し、帯域幅は最大136.5GB/sです。
ストレージは別基板任せ、映像出力は最大3系統
モジュール自体にOS用のストレージは搭載されておらず、起動用ファームウェア向けの256Mbit SPIフラッシュのみが載っています。NVMe SSDなどのストレージは、PCIe経由でキャリアボード側に接続する構成です。映像出力は40ピンのeDP 1.4コネクターを備え、キャリアボードを介してHDMI 2.0またはDisplayPort 1.4を最大3系統、独立した画面として出力できます。USBはUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)を2ポート、USB 2.0を6ポート用意し、PCIeレーンも柔軟な構成が可能です。対応OSはWindows 11およびUbuntu 24.04/26.04となっています。
想定される用途としては、ロボティクスや産業オートメーション向けの制御基板、ポータブル測定機器、自律走行ロボットやサービスロボット、そして画像認識を伴うビジョンAIシステムなどが挙げられています。クラウドに頼らずデバイス単体でAI処理を完結させる「オンデバイスAI」向けの選択肢として位置づけられているようです。
新設計のキャリアボードも同時投入
これまでのLattePanda Muシリーズには「Lite」「Full」という評価用キャリアボードが用意されていましたが、Mu Ultraは電気的な仕様が異なるため、従来のFullキャリアボードとは組み合わせられず、Liteキャリアボードとの組み合わせも完全な互換性は保証されていません。そこでDFRobotは、旧世代のN100/Core i3-N305モデルとMu Ultraの両方に対応する新しいキャリアボード「Mini Carrier Board」(型番DFR1293)を新たに設計しました。M.2 2230/2280対応のNVMe SSDスロットを備えるほか、HDMI 2.0出力、USB-C経由のDisplayPort出力を2系統、Realtek ALC269コーデックによる3.5mmコンボジャックとスピーカー出力、2.5Gbpsイーサネットなどを搭載しています。
価格と入手方法
価格はコンピュートモジュール単体で、Core Ultra 5 226V搭載モデルが599ドル(約9.1万円)から、Core Ultra 7 256V搭載モデルが699ドル(約10.6万円)から。キャリアボードなどをセットにしたAI開発者向けキットは、それぞれ643ドル(約9.8万円)、733ドル(約11.1万円)からとなっています。すでにLattePandaおよびDFRobotの公式オンラインストアで販売が始まっており、ドキュメント類も公式サイトで公開されています。
まとめ
LattePanda Mu Ultraは、名刺よりひと回り小さい基板にノートPC級のCPU・GPU性能と最大115TOPSのAI推論性能を詰め込んだコンピュートモジュールです。ストレージやキャリアボードを別途用意する必要はあるものの、Windows 11とUbuntuの両方に対応し、ロボティクスからビジョンAIまで幅広い組み込み用途に対応できる汎用性の高さが特徴といえます。すでに販売が始まっており、小型でありながら本格的なオンデバイスAI性能を求める開発者にとって有力な選択肢になりそうです。
※1ドル152円換算
