KDDIとローソンが、経済産業省とNEDOによる生成AI開発支援事業「GENIAC」の対象に採択されました。取り組むのは、コンビニ店舗の在庫管理や商品陳列といった現場業務を代替するロボット基盤モデルの研究開発です。東京・高輪にある実験店舗でデータ収集がすでに始まっており、2028年度以降の技術公開を目指す計画です。
※サムネイル画像はAIが生成したイメージです。
実験の舞台は高輪の「従業員専用店舗」
今回の実証実験の拠点となるのは、KDDI本社内に設置された従業員専用のローソン店舗です。一般客が出入りする通常店舗とは異なり、業務データの収集に特化した環境として運用されています。ここでロボットの動作実証と、作業者の行動データ収集を並行して進める方針です。
バックヤードから売り場まで、幅広い業務を学習対象に
開発対象となるロボット基盤モデルが担うのは、在庫の保管や品出し準備といったバックヤード業務から、商品の陳列・補充といった売り場業務まで多岐にわたります。特に注目されるのが、袋菓子のように柔らかく形が一定しない商品のピッキングや、隣の商品を倒さずに棚を補充するといった細やかな作業への対応です。作業者目線の映像・操作データを収集し、それを学習に使う手法が採られています。開発にはELYZAやKDDI総合研究所、ロボティクス企業のGenki Roboticsやリアルワールド株式会社が協力しています。
コンビニ業務が「ロボット化の難所」と言われる理由
倉庫の定型的な搬送作業などと比べ、コンビニの店舗運営は難易度が高いとされています。扱う商品の種類が非常に多く、陳列棚の状況も時間帯や季節によって刻一刻と変わるためです。人手不足が深刻な小売・物流の現場では、こうした非定型業務を自動化できるかどうかが、ロボット導入が広がるかどうかの分かれ目になっています。
「文章・画像」から「現実世界」へ、GENIACの支援対象が拡大
GENIACはもともと、国内企業が生成AIを開発するための計算資源確保などを支援する目的で始まった事業でした。2026年に入り、カメラやセンサーで現実世界を認識し、実際にロボットを動かす「フィジカルAI」の領域にも支援対象を広げています。今回の採択枠には、フリマアプリに出品される商品の検品・出品作業を双腕ロボットで自動化するメルカリや、岩石などの支障物除去や土砂の掘削・積み込み工程の自律化に取り組む日立建機など、製造・物流・建設と幅広い分野の企業が名を連ねています。生成AIが得意としてきたテキストや画像の生成から、身体を伴う作業の自動化へと、国の支援の重心が移りつつあることがうかがえます。
政府目標は2040年までにロボット1000万台
背景には、日本政府が2026年に打ち出した「AIロボティクス戦略」があります。人手不足が進む中で、2040年までに国内で稼働するロボットの台数を約1000万台まで増やすという目標を掲げており、GENIACのフィジカルAI支援拡大は、この戦略を実行に移すための施策の1つと位置付けられます。今回KDDIを含む13件が新たに採択されており、小売だけでなく製造や建設まで、業種をまたいだ取り組みが同時並行で進んでいる点も特徴です。
まとめ
KDDIとローソンは、経産省・NEDOのGENIACに採択され、コンビニ店舗の現場業務を代替するロボット基盤モデルの研究開発に着手しました。高輪の実験店舗でデータ収集を進め、2028年度以降の技術公開を目指します。多品種かつ状況が変化しやすいコンビニ業務は自動化の難所とされてきましたが、メルカリや日立建機など他分野の採択事例と合わせて見ると、生成AIの応用が現実世界での作業支援へと着実に広がっていることが分かります。
