自分のパソコンの中だけで動く個人向けAIエージェントを組み立てるためのオープンソース基盤「OpenJarvis」のバージョン1.0が公開されました[1]。開発したのはスタンフォード大学のHazy ResearchとScaling Intelligenceという2つの研究室で、ローカルでLLM(大規模言語モデル)を動かすツール「Ollama」への対応を最初から組み込んでいます[1]。クラウドに頼り切らず、手元の機材で完結させる「ローカルファースト」を既定とした点が特徴です。

クラウド前提を見直す「ローカルファースト」

OpenJarvisは、自分のハードウェア上で動く個人用AIエージェントを作るためのオープンソースのフレームワーク(開発の土台となる枠組み)です[1]。スタンフォード大学のHazy ResearchとScaling Intelligenceの両研究室が、消費電力あたりの性能を追う「Intelligence Per Watt(電力あたりの知能)」という研究の一環として開発しました[1]。

開発陣は、ローカルで動くモデルでも日常的な対話や推論のほとんどはこなせるようになっているのに、多くの個人向けAIが依然としてすべての要求をクラウドへ送っている点を課題として挙げています[1]。OpenJarvisはこの前提を反転させ、ローカルファーストを既定の動作にします[1]。モデルは手元で動かし、クラウドの利用はあくまで任意です[1]。さらに、回答の正確さだけでなく、消費エネルギー・コスト・応答までの待ち時間(レイテンシ)も並べて記録する仕組みを備えています[1]。

手元で処理が完結すれば、入力した情報を外部のサーバーへ送らずに済むため、プライバシーや通信コストの面でも利点があります。バージョン1.0では、このローカル実行を支える基盤としてOllamaへの対応が標準で組み込まれました[1]。

導入手順とモデルの選び方

利用を始めるには、まずローカルでモデルを動かすためのOllamaを用意します[1]。OllamaはmacOS・Windows・Linux向けに配布されています[1]。

続いてOpenJarvis本体を導入します。macOSとLinuxでは、インストール用のスクリプトを実行すると必要な環境が一式そろい、既存のOllamaの導入も自動で検出されます[1]。

curl -fsSL https://open-jarvis.github.io/OpenJarvis/install.sh | bash

Windowsの場合は、このコマンドをWSL2(Windows上でLinux環境を動かす仕組み)の中で実行するか、デスクトップ向けアプリを導入します[1]。準備ができたら、コマンド「jarvis」を実行すると起動します[1]。

使うモデルは自分で選べます[1]。インストール用スクリプトはすぐ試せるよう初期モデルを用意しますが、Ollamaを通じて任意のモデルを取得して使うこともできます[1]。

jarvis model pull qwen3.5:35b
jarvis ask -m qwen3.5:35b "Your prompt"

既定で使うモデルを固定したい場合は、設定ファイル「~/.openjarvis/config.toml」に次のように書き込みます[1]。

[intelligence]
default_model = "qwen3.5:35b"
preferred_engine = "ollama"

すぐ使える組み込みエージェント

OpenJarvisには、そのまま動かせるプリセット(あらかじめ用意された設定の組み合わせ)が同梱されています[1]。それぞれが、特定の用途に必要なエージェントと実行エンジン、ツールを一式まとめた構成になっています[1]。

1つ目は朝のブリーフィングです。カレンダーやメール、その日のニュースを使って、要点をまとめる朝の要約エージェントを生成します[1]。

jarvis init --preset morning-digest-mac
jarvis connect gdrive
jarvis digest --fresh

2つ目はファイルを横断したリサーチです。Web上の情報と手元のドキュメントをまたいで調べ、出典付きで回答を返します[1]。

jarvis init --preset deep-research
jarvis memory index ./docs/
jarvis ask "Summarize all emails about Project X"

3つ目はローカルで動くコーディング用エージェントです。自分のマシン上でPythonのコードを書いて実行し、作業を片付けます[1]。

jarvis init --preset code-assistant

いずれのプリセットも、クラウドに常時つながずに手元の環境で動かせる点が共通しています。用途に応じて初期構成を選び、必要であれば使うモデルを差し替えられる設計です。

まとめ

OpenJarvisは、個人向けAIエージェントを自分のハードウェア上で動かすためのオープンソース基盤で、バージョン1.0からOllamaへの対応を標準で備えました。スタンフォード大学の研究室が進める「電力あたりの知能」の研究を背景に、クラウド任せだった処理をローカルファーストへ寄せ、正確さに加えてエネルギーやコスト、待ち時間まで記録する点が特徴です。朝の要約、ファイル横断のリサーチ、ローカルのコーディング支援といったプリセットも用意され、導入したその場から手元で試せます。

出典:https://ollama.com/blog/openjarvis