NVIDIAが、ドイツ・ケルンで今週開催されているgamescomに合わせ、今秋発売予定の新プラットフォーム「RTX Spark」のゲーム対応状況を明らかにしました。Electronic Arts、Embark Studios、Ubisoftが新たに参加し、5月のCOMPUTEXで表明した各社に続きます。あわせて、オンライン対戦で欠かせないアンチチート技術の移植や、画質を底上げする「DLSS 4.5 Ray Reconstruction」の配信開始も発表されました。
大手パブリッシャーが相次いでRTX Sparkに対応
今回名前が挙がったのは、Electronic Arts、Embark Studios、Ubisoftの3社です[1]。5月のCOMPUTEXでRTX Spark対応を表明したKRAFTON、NetEase、Riot Games、XBOXに加わる形になります[1]。
対応が進められている具体的なタイトルとしては、Electronic Artsの「EA SPORTS F1 25」と「Apex Legends」、Ubisoftの「Anno 117: Pax Romana」、Embark Studiosの「ARC Raiders」と「THE FINALS」が挙げられています[1]。いずれも現行のPCゲームで人気の高い作品で、NVIDIAは開発元やエコシステムのパートナーと組み、RTX Spark搭載機で問題なく動くよう詰めているとしています[1]。
Ubisoftでエグゼクティブプロデューサーを務めるStéphane Jankowski氏は、「Anno 117: Pax Romana」について「私たちのチームは、区画全体、長い見通し、同時に描かれる無数のディテールという、広く見せることを前提にゲームを作っている。RTX Sparkが1つのチップでその水準の忠実度を保っているのは、率直に言って印象的だ」と述べています[1]。
RTX Sparkは、5月のCOMPUTEXで公開されたWindows PC向けの新しい基盤です。6,144基のCUDAコアと第5世代Tensorコアを備えるNVIDIA Blackwell世代のRTX GPUを、NVLink-C2Cという接続技術で20コアのNVIDIA Grace CPUと結んだ構成を採ります[2]。AI処理性能は最大1ペタフロップス、統合メモリは128GBで、手元の端末で個人向けAIエージェントを動かすことを主眼に置いています[2]。薄さ14mmクラスのノートPCから小型デスクトップまでが対象で、搭載製品は今秋にASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft Surface、MSIから登場し、AcerとGIGABYTEが続く予定です[2]。
アンチチート対応という地味だが重い課題
見落とされがちですが、新しいPC基盤にとってアンチチート技術の対応は避けて通れない関門です。オンライン対戦を主戦場とする現在の大型タイトルは、複数のプラットフォームをまたいで公平性を保つため、高度な不正検知の仕組みに依存しています[1]。ここが動かないと、ゲーム本体が起動しても対戦には参加できません。
NVIDIAはこの点でElectronic Artsと協業し、同社のアンチチート基盤「EA Javelin Anticheat」をRTX Sparkにネイティブ対応させる作業を進めています[1]。対象には「EA SPORTS F1 25」をはじめとする同社の主力マルチプレイヤー作品が含まれます[1]。新しいアーキテクチャのPCが発売直後から実戦投入できるかどうかは、こうした足回りの整備にかかっています。
DLSS 4.5 Ray Reconstructionが配信開始
gamescomでのゲーミング関連発表は、RTX Spark以外にも広がっています。目玉は「DLSS 4.5 Ray Reconstruction」の提供開始です[1]。第2世代のトランスフォーマーモデルを採用し、従来のデノイザーを、NVIDIAのスーパーコンピューターで学習させたAIネットワークで置き換えます。レイが十分にサンプリングされなかった箇所のピクセルを、より高い品質で再構成する仕組みです[1]。
新しい「Efficient Denoiser」は、従来モデルと同等の処理速度を保ちながら、演算能力を35パーセント引き上げ、扱うパラメーター数を20パーセント増やしています[3]。適用できるのは執筆時点で30タイトルで、NVIDIA appの更新を通じて利用します。使うにはNVIDIA appの設定でEarly Accessに参加する必要があり、正式版は9月に配布される予定です。ドライバーはGeForce Game Ready Driver 580.88 WHQL以降が必要になります[3]。
タイトル側の動きも続きます。「CONTROL Resonant」は9月24日にパストレーシングとDLSS 4.5対応で発売され、「007 First Light」のパストレーシング対応アップデートは9月15日に配信されます[3]。「Gears of War: E-Day」は10月6日に「RTX Mega Geometry」を初採用し、この技術は後にMicrosoftのDirectX Raytracing 2.0(DXR 2.0)へ取り込まれる予定です[3]。ほかにも、動物を捕まえるRPG「Aniimo」への「NVIDIA ACE」導入が2027年初頭に予定されているほか、「RTX Remix」ではPainkillerの大型MOD更新が公開済みで、「The Elder Scrolls III: Morrowind」のRTX版も控えています[1]。クラウドゲーミングのGeForce NOWも、DLSS 4.5の新しい設定項目やSteam Machineを含む対応機器の拡大が予告されました[1]。
まとめ
NVIDIAはgamescomで、今秋発売のRTX SparkにElectronic Arts、Embark Studios、Ubisoftが加わることを明らかにし、EA Javelin AnticheatのネイティブサポートにもElectronic Artsと共同で取り組んでいると説明しました。並行してDLSS 4.5 Ray Reconstructionの配信も始まっています。発売までの数か月で対応タイトルとアンチチートがどこまで揃うかが、RTX Sparkが「AI PC」から「実用的なゲーミングPC」として受け入れられるかの分かれ目になりそうです。
[1] 出典: https://blogs.nvidia.com/blog/gamescom-rtx-spark-pc-games-technology/
[2] 出典: https://www.nvidia.com/en-us/geforce/news/computex-2026-nvidia-geforce-rtx-announcements/
