Stability AIが、音楽生成モデル「Stable Audio 3.0」を使うための入り口を2つ増やしました。1つはDAW(音楽制作ソフト)の中で直接音を作れるプラグイン、もう1つは生成後の作り込みを担う新しいウェブアプリです。いずれもベータ版で、生成した音源は商用利用できると案内されています。
生成した音がそのままトラックに乗る
新しいStable Audioプラグインは、DAWのインストゥルメント(音源)として振る舞います。Ableton Liveならインストゥルメント トラックのPlugIns、Logic Proならインストゥルメント スロットに挿す形です。生成した音はそのトラック上に置かれるため、他の素材と同じように並べ替えたり、エフェクトをかけたり、切り貼りしたりできます。
これまで生成AIで音を作る作業は、ウェブ上で書き出したファイルをダウンロードし、DAWへ読み込み直す往復が前提でした。プラグイン化によってその往復が消えるのは、実作業では地味に効いてくる変化です。
セッションとの噛み合わせにも配慮があります。プロジェクトのBPMに同期させれば、生成物がそのままテンポに乗ります。長さは短いセクションから最長6分のフル尺まで指定でき、生成した複数のテイクはプレイリストとして保存して聴き比べられます。
対応形式はmacOS向けのAUとVST3で、Apple SiliconとIntelの両方のMacで動作します。Logic ProやAbleton Liveを含む主要なDAWに対応するとされています。
ウェブ側は「1回で決める」から「直しながら詰める」へ
もう1つの更新はStableAudio.comのウェブアプリです。こちらは、最初のテイクをプロンプトで出したあと、そこから手を入れていく流れを想定した作りになりました。
指示は自然言語で足せます。低域を減らす、盛り上がりをもっと後ろに持ってくる、楽器の構成を変える、といった注文を言葉で伝えて反映させる形です。既にある音を素材にして別のジャンルや雰囲気へ振る audio-to-audio も用意されています。
さらに、生成物を単一の書き出しではなくパート単位で扱えるようになりました。トラックごとに音量、パン、ミュート、ソロを操作でき、トラック個別のエフェクトとマスターエフェクトもかけられます。必要なパートだけをバウンスして書き出す、あるいはミックス全体を書き出す、という使い分けも可能です。長さの延長にも対応します。
つまり、気に入らなければ最初から生成し直すのではなく、セッションを保ったまま詰めていく作りに寄せた、というのが今回の主眼です。
商用利用の扱いと、ベータであること
プラグインとウェブアプリはどちらも、Stability AIが commercially-safe(商用利用上の安全性を確保した)と説明するモデルで動きます。生成物の権利は利用者側にあり、自由に配布できるとされています。学習データの出所が問題になりやすい音楽生成の分野では、この点を明示しているかどうかが実務上の判断材料になります。
一方で、両方とも早期のベータ版です。一部の機能は実験的な位置づけで、今後も手を入れながら変えていくと説明されています。制作の本番ラインに組み込む前に、書き出しの品質や安定性を自分の環境で確かめておくのが無難でしょう。
まとめ
Stability AIは、Stable Audio 3.0を使うためのDAWプラグインと、編集機能を強化したウェブアプリをベータ公開しました。プラグインはmacOSのAU/VST3としてLogic ProやAbleton Liveのインストゥルメント枠に収まり、BPM同期と最長6分の生成、テイクの聴き比べに対応します。ウェブ側は自然言語での修正指示、audio-to-audio、トラック単位のミックスと書き出しを備え、生成を一発勝負から作業工程へ落とし込む方向へ進みました。
