Garminの次期アウトドア用スマートウォッチをめぐり、各国の電波認証データベースに未発表機とみられる型番が相次いで登録されています。6月以降に確認されたのは5つ。うち1つはLTEと衛星通信の無線を積んでおり、他の4つには入っていません。この差が、次のFenixがどう分かれるのかを示しています。

6月から8月にかけて通過した5つの型番

認証は製品が市場に出る直前に取得されるのが通例で、噂の中では最も物証に近い材料です。今回確認されているのは次の5件です。

まずA05216が2026年6月18日に米国のFCCを通過しました。認証上の分類は携帯型GNSSナビゲーターで、無線構成はANT+とデュアルバンドWi-Fi、逆F型アンテナ1本のみ。セルラーや衛星メッセージ向けの周波数は一切ありません。この直前にGarmin Connect 5.26の内部データから「Enduro_4」という文字列と内部ID 5179が見つかっており、続く5.27の解析ではこの5179にGOBIというコードネームが割り当てられていました。Enduro 4である可能性が高い1台です。

続くA05146は7月2日にインドネシアの認証を取得しています。区分は「Outdoor Product」とだけ記されており、単独申請という形からFenix E 2ではないかと見られています。ただし、これは消去法による推測で、確度はそれほど高くありません。

そしてA05419とA05420が7月14日、同じくインドネシアの通信認証機関DJIDで、証明書番号124147と124149を取得しました。申請者はPT Garmin Indonesia Distributionで、2件とも同日提出です。

型番が2つに割れている理由

この2件が同時に出てきたことには前例があります。現行のFenix 8はIPH-04853とIPH-04854という2つの型番で申請されており、この分かれ方はケースサイズではなく表示方式によるものでした。Garminはケースサイズ違いで型番を分けない一方、AMOLEDとMIPソーラーは別型番として扱う傾向があります。

同じ読み方をあてはめると、A05419とA05420はFenix 9のAMOLED版とMIPソーラー版という組み合わせになります。仮にそうであれば、MIPとソーラーの選択肢は上位のPro専用ではなく、標準のFenix 9に残るという解釈になります。

なお、Fenix 8のときは発表時点でPro版が存在せず、Fenix 8 Proが登場したのは1年以上あとの2025年9月3日でした。このときPro版は独自の型番で別途申請されています。

衛星とLTEを積んだ1台だけが浮いている

5件のうち性格が明確に違うのがA05170です。8月5日にFCC ID「IPH-05170」として承認され、区分は携帯型デジタルトランシーバー。SAR報告書から腕に装着する機器であることが確認されています。

無線構成は具体的で、音声に対応するLTE-Mのバンド2、4、12に加えて、データ用のNB-NTN衛星バンド23と255を備えます。さらにWi-Fi、Bluetooth、ANT+、NFCも入っています。試験に使われたバンドの素材はシリコン、杢調のブラックナイロン、そしてベンチレーション加工のチタンで、素材の顔ぶれからも上位機であることがうかがえます。写真とマニュアルの機密解除期限は2027年2月1日に設定されています。

セルラーと衛星の無線を持つのはこの1件だけです。ここから、衛星メッセージ機能はFenixの全モデルに広がるのではなく、独立した最上位モデルに閉じ込められる、という読み方が出てきました。同じ8月5日には韓国のRRAでもAA5168からAA5172までの5件が認証されており、こちらもこの衛星対応機に紐づく派生とみられています。

Garminの腕時計に衛星通信が載ること自体は新しい話ではありません。2025年9月発表のFenix 8 Proが、inReachを直接内蔵した最初のモデルでした。当時の米国価格はAMOLEDの47mmが1,200ドル(約19万円)、51mmが1,300ドル(約21万円)、MicroLEDを積んだ51mmチタンが2,000ドル(約32万円)で、MicroLED版はのちに1,699.99ドル(約27万円)へ値下げされています。

※1ドル159円換算

表示方式の噂は互いに矛盾している

一方で、認証書類からは分からない部分の情報はかなり錯綜しています。特に表示方式については、少なくとも3通りの説が同時に流れています。

1つ目は、標準のFenix 9がAMOLED専用となり、Pro系だけがAMOLEDとMIPソーラーを選べるという説。2つ目は、Fenix 9がMIPとソーラーを完全に手放し、その役割をEnduro 4に譲るという説。3つ目は、AMOLEDにソーラーセルを重ねたハイブリッドパネルという説です。

3つ目については慎重に見たほうがよさそうです。GarminがこれまでMIPにPower Glassを組み合わせてきたのは、MIPの消費電力が小さいからこそトリクル充電が意味を持つためで、消費電力の大きいAMOLEDに同じ発電量を足しても誤差に近い水準にとどまります。技術的に不可能ではないにせよ、実利のほどは疑わしいところです。

このほか、43mmケースの追加(現行は47mmと51mm)、第6世代のElevate光学心拍センサー、筋肉の酸素飽和度を測って疲労を可視化するという「Muscle Battery」、3バンドGNSS、新世代プロセッサーといった噂も出ています。ただし、これらを裏づける認証書類もアプリ内のデータも今のところ見つかっていません。

注目すべきは、噂として挙がっている項目のどれもが、Fenix 8にできない計測を新たに増やすものではないという点です。血圧の非侵襲測定も睡眠時無呼吸のスクリーニングも、書類で裏づけられた材料の中には一切出てきていません。現時点の材料から素直に読むかぎり、Fenix 9はラインアップの組み替えとサイズ追加、そして中身の刷新という性格が濃くなります。

発表時期はいつごろか

Garminは名称も日付も仕様も、公式には何ひとつ認めていません。それでも時期の見当はある程度つきます。

Fenixの発表は例年8月から10月に集中します。Enduro 2は2022年8月、Enduro 3は2024年8月で、しかもEnduro 3はFenix 8およびFenix Eと同じ2024年8月27日に同時発表されました。今回も6月から8月にかけて認証が固まっていることを踏まえると、秋口までの発表が自然な線です。

会社側の発言も後押しになります。最高経営責任者のCliff Pemble氏は投資家向けの説明で、製品投入の時期の関係で下半期のほうが強い実績になると述べ、2026年をアウトドア分野にとって非常に活発な年だと表現しています。

これらを総合すると、9月にEnduro 4、Fenix 9のAMOLED版とMIPソーラー版、そしてFenix E 2がまとめて登場し、衛星対応のFenix 9 Proだけが少し遅れて続く、という見立てが有力です。Pro版の時期については2027年1月という予想も出ていますが、機密解除の期限が2027年2月1日であることを考えると、その前後という以上のことは言えません。

いまFenix 8を買うべきか

すでにFenixを持っていて不満がないのであれば、数週間待って中身を確認してから決めるのが合理的です。新型が発表されるタイミングは、現行機の価格が動きやすいタイミングでもあります。

逆に、いま買って損をしにくいのはMIPとソーラーの組み合わせを求めている人です。この選択肢がFenix 9世代に残るかどうかは、上に書いたとおり説が割れています。待って消える可能性があるものを待つより、確実に手に入る現行機を選ぶ判断にも理由があります。43mmケースや腕での衛星メッセージを求めているなら、待つ価値は十分にあります。

まとめ

Fenix 9まわりで確かなのは、LTEと衛星通信、NFC、チタンバンドを備えたGarminの腕装着機器がFCCを通過したこと、7月に2つの型番が別途認証されたこと、そしてGarmin Connectのアプリ内に未発表機の記録が置かれていることです。ハードウェアが完成に近いのは間違いありません。一方で、3モデル構成も43mmケースも新センサーも、そして表示方式に関する記述はすべて噂の域を出ていません。確定仕様として提示されている情報があれば、それは現時点では単なる推測だと考えたほうが安全です。