Metaが、Ray-BanやOakleyの名前を借りない自社ブランド初のスマートグラス「Meta Glasses」を発表しました。「Meta Adventurer」と「Meta Fury」は299ドル(約4万8000円)からで、従来のRay-Ban Metaより安い価格に設定されています。Kylie Jennerと共同開発したモデルもそろえ、Appleの市場参入を前に低価格帯で先行リードを広げる狙いです。
※1ドル=約161円換算(2026年6月23日時点)
Ray-Banの看板を外し、自社名での展開へ
これまでMetaのスマートグラスは、Ray-BanやOakleyといった眼鏡ブランドの名を冠して販売されてきました。今回はその枠組みを離れ、製品にMeta自身の名前を載せた点が大きな変化です。設計はMetaが自社で手がける一方、製造はRay-Ban・Oakleyの親会社であるEssilorLuxotticaが担当します。テンプル(つる)部分やパッケージにはMetaとEssilorLuxotticaの両方のロゴが入ります。
価格面でも攻めています。AdventurerとFuryは299ドルで、昨年登場した第2世代のRay-Ban Meta Wayfarerより80ドル(約1万3000円)安く設定されました。手頃な価格でユーザー層を広げ、カテゴリー全体での主導権を固める構えです。
3つのモデルで異なる狙い
Meta Adventurerは、すっきりとした角張った長方形シェイプで、標準とラージの2サイズを用意します。Meta Furyは、より主張のある大胆なフレームです。Kylie Jennerと共同開発した「Meta Glasses by Kylie」は、彼女のスタイルに着想を得た細身のオーバル型で、価格は399ドル(約6万4000円)。カメラ近くのレンズに小さな宝石をあしらい、化粧の付着に強い金属製ノーズパッドを採用するなど、装いを意識した作りと伝えられています。AIアシスタントの音声や初期設定の案内に、本人の声を再現したバージョンを選べる仕掛けも用意されました。
3モデル共通で、3段階に調整できるノーズパッドや角度を変えられるテンプル先端、頭の幅に合わせて少し外側へ開くヒンジを備え、装着感を細かく合わせられます。AdventurerとFuryだけで26通りのカラーとレンズの組み合わせがあり、べっ甲・黒・緑などの色に加え、調光・偏光・クリアのレンズを選択可能です。度付きレンズにも対応し、対応度数はマイナス12からプラス2.25までと幅広く設定されています。
カメラとバッテリーは現行世代を踏襲
中身の基本性能は、既存のRay-Ban Meta第2世代を引き継いでいます。1200万画素カメラ、3K動画の撮影、5基のマイクアレイ、約8時間の連続駆動といった仕様はそのままです。付属の充電ケースで、さらに約40時間ぶんを補える点も従来同様です。Metaは、新モデルに加えてRay-Ban MetaやOakley Meta HSTNシリーズにも使える別売りの充電スタンドも用意しました。
AI「Muse Spark」と新たな使い勝手
新グラスには、Meta Superintelligence Labsが開発した初のモデルとされるAI「Muse Spark」が搭載されます。応答の質を高めたほか、リアルタイム翻訳に14言語を追加し、対応言語は合計20まで拡大しました。新たに加わった言語には、日本語・中国語(標準語)・韓国語・ヒンディー語などが含まれます。撮影では、連写した中から最も良い1枚を自動で選ぶ「Dynamic Photo」機能が加わりました。歩行者向けのターンバイターン方式のナビゲーションも、ディスプレイ搭載モデルに続いてカメラ付きの製品群へ展開される予定です。
Metaは、カメラを省いて音声体験に特化したモデルの可能性も示唆しています。通話やメディア再生、AIとのやり取りに用途を絞れば、部品を減らせるぶん価格を抑えやすく、新しいデザインにも展開しやすいという見立てです。なお、知人の顔を識別する顔認識機能も検討したものの、プライバシーや社会的な懸念を整理する必要があるとして、本格的な開発には進めていないとしています。
Appleの参入を見据えた競争
Metaは今回、Appleの動向にも踏み込んで言及しました。同社幹部はAppleを「手強い」存在と認め、ハードウェアとデザインの巧みさを評価しています。スマートフォンと連携した体験では、自社が同じ品質を出しきれない領域もあると率直に語り、Appleが優位に立ち得る点を意識している様子をうかがわせました。
Appleは2027年に、自社設計の初のスマートグラスを投入するとみられています。ディスプレイを内蔵せず、カメラとマイク、そしてSiriによるAI機能を軸にする見通しで、Metaのカメラ搭載モデルと真正面からぶつかる構図になりそうです。今回の3種類のモデルは、Meta.comやBest Buy、Amazon、LensCrafters、Sunglasses Hutといった販売店を通じて、複数の国で発表と同日から販売が始まっています。
まとめ
Metaは自社ブランドのMeta Glassesを299ドルから投入し、AIアシスタント「Muse Spark」や日本語を含む20言語のリアルタイム翻訳を前面に押し出しました。Ray-Banの看板を外し、低価格と豊富なバリエーションで裾野を広げる戦略は、2027年とされるApple参入を前にした布石といえます。スマートグラスがいよいよ普及価格帯に降りてきたことを示す動きです。
