ChatGPTを手がけるOpenAIが、初の自社ハードウェアとして音声アシスタント特化のイヤホン型ウェアラブルを準備している、との情報が相次いでいます。社内では「Sweetpea」という開発コード名で進み、消費者向けには「Dime」の名で売り出されるとも伝えられています。最新のサプライチェーン情報では、製造の体制づくりが本格化し、2026年内の投入を見込む観測も出てきました。確定した発表はまだありませんが、現時点での噂を整理します。
噂の核心は「耳の後ろに着ける」形
今回の情報でとくに目を引くのが、本体の形です。リーク情報によると、Sweetpeaは一般的なワイヤレスイヤホンのように耳の穴へ差し込むのではなく、ハードウェアの大半を耳の後ろに回す「耳掛け型」になるとされています。スピーカーやセンサー類とみられる小さな部品だけが本体から分かれて耳元に来る構造で、見た目はAppleのAirPodsのような完全ワイヤレスイヤホンよりも、最近の補聴器に近いイメージだと伝えられています。
この形には実利もありそうです。電池とプロセッサーを耳の後ろにまとめれば、容量の大きいバッテリーを積みやすく、発熱も逃がしやすくなります。AIモデルを動かしながら一日中マイクで音声を待ち受けるような使い方には、どちらも欠かせない要素です。さらに耳の穴をふさがない構造は、長時間つけっぱなしにしても疲れにくく、常時使うAIアシスタントとの相性が良いと考えられます。
単なるBluetoothイヤホンではない可能性
漏れ伝わる内部レイアウト図には、「超音波トランスミッター」や信号を拾うためのセンサーへの言及があるとされています。これが事実なら、Sweetpeaは単にChatGPTの音声を受け流すBluetooth受信機ではなく、周囲の環境や状況を読み取る役割を担う可能性があります。装着者が置かれた場面を理解し、文脈に応じた受け答えをする方向を狙っているという見方です。
もともとOpenAIのデバイスは、AI処理を端末側で完結させる「スマートフォン級」の野心的な製品として構想されていたと伝えられます。ただ、メモリをはじめとする部品コストの高さがネックとなり、まずは音声に的を絞ったシンプルなウェアラブルへと計画を縮小したとされています。クラウド側のChatGPTなどと密に連携させる前提で、独自の2nmプロセッサーを積むとの情報もありますが、こちらはまだ確度の高い話とは言えません。
量産の動きが「試作の先」を示す
噂の中でもっとも具体性が高いのが、製造の動きです。報道では、OpenAIが製造パートナーを比較的小規模なLuxshareから、巨大受託メーカーのFoxconn(鴻海)へと切り替え、生産をベトナムで行う計画だとされています。
ハードウェアの世界では、小回りの利く設計会社から量産を得意とするFoxconnのような大手へ移すことは、プロジェクトが試作段階を越えて「売る製品」へと進んだ合図と受け取られるのが一般的です。投入時期については2026年後半、なかでも9月ごろを有力視する見方が出ています。OpenAIの幹部も、初のハードウェアを2026年後半に発表する準備を進めていると公の場で述べており、噂の時間軸とおおむね一致します。
設計を率いるのは元Appleのジョニー・アイブ
この製品づくりを主導しているとされるのが、iPhoneのデザインで知られる元Appleのジョニー・アイブ氏です。OpenAIは2025年、同氏が立ち上げたAIデバイスの新興企業「io」を約65億ドル(約1兆円)で取得し、ハードウェア開発の中核に据えました。落ち着いた佇まいと、声で自然に使える直感的な操作を重視する設計思想が、スマートフォンを四六時中のぞき込む今の使い方への問い直しにつながっている、と語られています。
※1ドル160円換算(2026年6月16日時点)
「AIガジェットの墓場」を越えられるか
期待の一方で、AI専用デバイスには厳しい前例が並びます。鳴り物入りで登場した小型端末「Rabbit R1」や、胸に着けるバッジ型の「Humane AI Pin」は、いずれも市場に定着できませんでした。2026年初頭のCES会場でもAIを前面に出したハードが数多く並びましたが、生活に根づいた製品はまだ多くありません。
それでも、ChatGPTという広く使われる入り口を持つOpenAIが、使い慣れた「イヤホン」という形でAIを耳元に届けるのであれば、これまでのAIガジェットとは違う広がり方をする余地はあります。もっとも、OpenAI自身はこのデバイスの存在を公式には認めていません。現時点ではあくまでサプライチェーン発の噂であり、最終的な仕様や発売時期が変わる可能性は十分にあります。
まとめ
OpenAI初の自社ハードウェアは、耳の後ろに着けるAIイヤホンになるとの噂が、製造体制の動きとともに具体性を増してきました。開発コード名は「Sweetpea」、消費者向けの名は「Dime」とされ、製造はLuxshareからFoxconnへ、生産地はベトナムへと移ったと伝えられています。投入は2026年内、9月ごろが有力視されますが、いずれも確定情報ではありません。元Appleのジョニー・アイブ氏が描く「声で使うAI」が、Rabbit R1やHumane AI Pinがつまずいた壁を越えられるのか、続報を待ちたいところです。
