Anthropicは2026年5月28日、フラッグシップモデル「Claude Opus 4.8」を公開しました[1]。前世代Opus 4.7からベンチマーク全般で性能を底上げしつつ、価格は据え置きで、claude.aiとCoworkのユーザーには応答時の思考量を選べる新しい「Effort(エフォート)制御」が全プランで開放されました[1]。
あわせてFastモードの価格を従来比3分の1に引き下げ、Claude Codeには「Dynamic Workflows」と呼ばれる大規模並列実行機能も研究プレビュー扱いで追加されています[1]。
モデルセレクタの横に新設された「Effort制御」

Opus 4.8のリリースで、もっとも一般ユーザーに直結するアップデートが「Effort制御」です[1]。claude.aiおよびCoworkの画面上で、モデルセレクタの隣に新しいコントロールが置かれ、Claudeが1回の応答にどの程度の労力を割くかを利用者側から指定できるようになりました[1]。
高いEffortを選ぶと、Claudeはより頻繁かつ深く思考し、回答の質を上げにいきます[1]。逆に低いEffortを選べば、応答は速くなり、レート制限の消費も緩やかになります[1]。「いま欲しいのは速さか、深さか」を毎回の質問ごとにユーザーが選び分けられる構造です。Effort制御はProやMaxなど一部プランの特典ではなく、全プランに開放されている点もポイントです[1]。
デフォルトは「high」、難題には「extra」、上限は「max」
Opus 4.8のEffortは既定で「high」に設定されています[1]。Anthropicはhighを「品質とユーザー体験のバランスがもっとも良い水準」と位置づけており、コーディングタスクではOpus 4.7のデフォルトと近いトークン消費量で、より高い性能を発揮するとしています[1]。
さらに上を狙う場合、ユーザーは「extra」(Claude Code上の表記は「xhigh」)や「max」を選ぶこともでき、設定を上げるほどClaudeはより多くのトークンを使って結果を磨き込みます[1]。公式の推奨は、難易度の高いタスクや長時間動かす非同期ワークフローでは「extra」を使うこと[1]。Claude Code側では高Effort運用に合わせてレート制限も引き上げられており、プロジェクトの性質に応じて自分でレベルを選べる設計になっています[1]。
Fastモードは2.5倍速・価格は3分の1に
応答速度を重視したい場面に向けた「Fastモード」も、Opus 4.8世代で大幅に手が入りました。Anthropicによれば、Opus 4.8のFastモードは通常モードの約2.5倍の速度で動作し、価格は従来モデルのFastモードと比べて3分の1まで引き下げられています[1]。
具体的な料金は、通常モードがOpus 4.7と同じ100万トークンあたり入力5ドル/出力25ドル、Fastモードが入力10ドル/出力50ドルです[1]。APIからclaude-opus-4-8として呼び出せるため、開発者は「速度優先か品質優先か」をエンドポイントレベルでも選択しやすくなっています[1]。
ハルシネーション抑制と「正直さ」の強化
Opus 4.8のもう一つの注目点が、Anthropicが「honesty(正直さ)」と呼ぶ性質の強化です。AIモデルは根拠が薄いまま「うまくいきました」と結論を出してしまうことがありますが、Opus 4.8は不確実性を自分から明示し、裏付けのない主張を避ける傾向が強まったとされています[1]。
社内評価では、自分が書いたコードの欠陥を見過ごす確率がOpus 4.7と比べて約4分の1にまで下がったとAnthropicは報告しています[1]。アライメント評価でも「ユーザーの自律性の尊重」「ユーザーの利益を踏まえた行動」などの指標で過去最高水準に達し、欺瞞や悪用への協力といった望ましくない挙動の発生率はOpus 4.7から大幅に低下したとされています[1]。詳細は同日公開された「Claude Opus 4.8 System Card」にまとめられています[1]。
Claude Code向けには「Dynamic Workflows」も
開発者向けには、Claude Codeに研究プレビューとして「Dynamic Workflows(ダイナミックワークフロー)」が追加されました[1]。Claudeが作業計画を立てたうえで、1セッション内に数百のサブエージェントを並列起動し、生成結果を自己検証してからユーザーに報告する仕組みです[1]。
Opus 4.8と組み合わせることで、数十万行規模のコードベース全体に及ぶマイグレーションを、既存テストスイートを合格基準としてキックオフからマージまで一気に通せるとAnthropicは説明しています[1]。Dynamic WorkflowsはClaude CodeのEnterprise、Team、Maxプランで利用できます[1]。あわせてMessages APIはmessages配列の中にsystemエントリを差し込めるようになり、プロンプトキャッシュを壊さずに権限・トークン予算・環境コンテキストをエージェント実行中に更新できるようになりました[1]。
まとめ
Claude Opus 4.8は、ベンチマーク性能や正直さの底上げに加えて、ユーザーが応答ごとに思考の深さを選べる「Effort制御」を全プラン共通で開放した点が特徴的なアップデートです。Fastモードの大幅な値下げと2.5倍速化、Claude CodeのDynamic Workflows追加、Messages APIのsystemエントリ対応など、開発者向けの強化も同時に入っています。Opus 4.8は本日からclaude.ai・Cowork・APIで提供開始されており、APIのモデル識別子はclaude-opus-4-8、価格は通常モードがOpus 4.7と同じ入力5ドル/出力25ドル(100万トークンあたり)です。Anthropicは今後、Opus相当の性能をより低コストで提供するモデルや、Project Glasswing経由で先行公開中のさらに高性能な「Mythos」クラスの一般公開も予告しており、引き続き短いサイクルでのモデル更新が見込まれます。
