ベルリンで9月4日に開幕した家電見本市 IFA 2026 に、Xiaomi が初めてブースを構えました。テーマは「Human × Car × Home Smart Ecosystem」で、展示面積は3,300平方メートル、並ぶ製品と技術は380点を超えます。目玉は人型ロボット「CyberOne」と、同社が自社開発した3ナノメートル世代のプロセッサ「XRing O3」です。スマートフォンから家電、そして電気自動車までを1本の線でつなぐという主張を、実物で見せにきた格好です。
海外見本市では過去最大のブース
Xiaomi にとって IFA への出展は今回が初めてで、3,300平方メートルという規模も海外の展示会では自社最大となります。欧州では家電ブランドの Mijia を通じた展開が先行していましたが、今回は生活家電だけでなく、AI とロボット、半導体、そして自動車までを同じ床に並べました。人と車と家という3つの領域を1つの生態系として見せる構成は、同社が近年掲げてきた戦略をそのまま会場に落とし込んだものです。
会場では最高マーケティング責任者の Xu Fei 氏が、IFA 出展をグローバル展開の節目と位置づけ、スマートフォンを起点にスマートホームと電気自動車へ事業を広げつつ、AI・OS・半導体・スマート製造といった基盤技術への投資を続けていると説明しています。
CyberOne は工場での実証を経て会場へ
人型ロボット CyberOne は、来場者の前で指ハートやサムズアップといった動作を実演します。見た目のデモンストレーションだけの存在ではなく、すでに Xiaomi の電気自動車工場へ試験導入され、実際の作業のなかで性能が測られている点が特徴です。
同社によれば、工場でナットの締結作業に CyberOne を投入したところ、作業の成功率は4か月で90パーセントから98パーセントへ上がりました。人型ロボットの評価軸は動きの滑らかさに向かいがちですが、ここで示されたのは生産ラインで何回連続して正しく仕事を終えられるかという、地味で実務的な数字です。Xiaomi は今後、認識・制御・作業遂行の各能力を引き上げ、人型ロボット市場で先行することを狙うとしています。
自社製3nmチップ「XRing O3」と初搭載機
もう一方の主役が XRing O3 です。3ナノメートルプロセスで製造される自社設計のプロセッサで、トランジスタ数は240億、ダイサイズは133平方ミリメートルとされています。前世代の XRing O1 と比べてトランジスタ数は26パーセント増えました。
技術的に目を引くのは、モバイル向けとしては初となる LPDDR6 メモリへの対応です。転送速度は最大10,667Mbps、メモリ帯域は113.8GB/s に達し、XRing O1 から48パーセントの向上となります。演算コアの数字よりも、メモリまわりを一段引き上げてきたところに設計の意図が見えます。オンデバイスで AI を動かす前提に立つなら、帯域はそのまま体感の上限になるためです。
この XRing O3 を最初に載せるのが、会場で公開された折りたたみスマートフォン「Xiaomi 18 Fold」です。メモリには中国 CXMT の LPDDR6 が採用されています。同社はこれまでスマートフォンの主要プロセッサを Qualcomm の Snapdragon に頼ってきたため、18 Fold は自社設計への移行がどこまで通用するかを測る試金石になります。中国での正式発表は9月7日が予定されています。
AI モデルとコンセプトカーも並ぶ
展示には自社の AI モデル群も含まれます。MiMo V2.5 Pro、MiLoco、MiClo が公開され、これらをスマート工場の能力強化に使う方針が示されました。Xiaomi は現在、年産1,000万台規模のスマートフォンを扱うスマート製造システムを運用しています。
自動車側では、レーシングゲーム Gran Turismo に着想を得たコンセプトカー「Xiaomi Vision Gran Turismo」が展示されています。空気の流れに合わせて形を決める設計思想、走行中の後流を制御するアクティブウェイクコントロール、車内 AI アシスタントの Xiaomi Pulse などを備えます。あわせて市販モデルの SU7 と SU7 Ultra も並びました。
まとめ
Xiaomi の IFA 初出展は、3,300平方メートルに380製品超という物量で押し切る展示ではなく、人型ロボット・自社製3nmチップ・AI モデル・電気自動車を同じ場所に置いて、これらが1つの設計思想でつながっていると示す構成でした。CyberOne の成功率90パーセントから98パーセントという数字や、LPDDR6 対応の XRing O3 は、いずれも実際の製造や製品に紐づいた話です。欧州の来場者にとっては、Xiaomi をスマートフォンと生活家電のメーカーとしてだけ見る段階が終わりつつあることを確かめる場になりそうです。
