中国のTencentは2026年9月21日から22日にかけて、新しい画像生成AIモデル「Hy Image 3.5 Preview」を公開しました。チャットボット「元宝(Yuanbao)」やデザインツール「Miora」などに統合され、社内評価ではByteDanceの主力モデルと同等の性能を実現したとしています。Alibabaが年次AIカンファレンスを開催した同日の発表となり、中国テック企業による画像生成AIの開発競争が一段と激しくなっています。

複数ターンで編集を続けられる新モデル

Hy Image 3.5 Preview(API上の識別名は hy-image-v3.5-preview)は、テキストから画像を生成する機能に加え、既存の画像を指示に沿って編集する機能も備えています。最大5枚までの画像を参照しながら新しい画像を生成できる複数参照機能や、会話の履歴を保持したまま編集を繰り返せる複数ターン編集機能が特徴です。画像内に日本語や英語のテキストを描き込む際の精度も高められたとされています。

Tencentはこのモデルを、対話AIアプリ「元宝」やデザインツール「Miora」、動画編集ツールなど自社の複数の製品に組み込んでおり、開発者向けにはTencent Cloud経由のAPIとしても提供しています。

価格は1枚あたり数円、解像度の表記には食い違いも

料金は国際版APIで1枚0.024ドル(約4円)、中国国内向けのTencent Cloudでは1枚0.15人民元(約3.5円)からとなっています。4K出力を使う場合は中国国内版で0.20人民元(約4.7円)に上がる設計です。

※1ドル157円、1人民元23.5円換算(2026年9月26日時点)

発表時の告知では最大2K出力とされていましたが、開発者向けのAPIドキュメントには最大4096×4096ピクセル(4K)まで出力できると記載されており、資料同士で解像度の説明に食い違いが見られます。消費者向けの発表と開発者向け仕様書で内容がずれていること自体が話題になっており、実際にどこまでの解像度が安定して出力できるのかは今後の検証が必要な状況です。デザインツール「Miora」では9月22日から10月7日まで無料で試用できる期間が設けられています。

ByteDanceやGoogleと肩を並べると主張、独立検証はまだ

Tencentは社内の数百人のデザイナーによる評価をもとに、新モデルがByteDanceの「Seedream 5.0 Pro」と同等の性能を持ち、Googleの「Nano Banana Pro」やAlibabaの「Qwen-Image-3.0 Pro」をわずかに上回るとしています。自社の前モデル「Hy Image 3.0」との比較では、人による評価で勝率が30パーセント上回ったとも説明していますが、いずれも社内評価にとどまり、外部の第三者機関による検証結果はまだ示されていません。

開発を主導しているのは、チーフAIサイエンティストのYao Shunyu氏と、7月に入社した元OpenAIのコンピュータービジョン研究者Tian Yonglong氏です。Tencentはこれまで大規模言語モデルの分野で他社に後れを取っているとの指摘を受けてきましたが、有力なAI人材の採用を進め、リーダーボードの順位よりも自社製品への実装を重視する方針を強めています。発表があった9月22日には、香港上場のTencent株が一時7パーセント超上昇しました。

まとめ

Tencentは新しい画像生成AI「Hy Image 3.5 Preview」を公開し、複数ターンでの編集や複数画像参照、最大4Kとされる高解像度出力などを打ち出しました。1枚あたり数円という低価格も特徴ですが、ByteDanceやGoogleを上回るとする性能の主張は現時点では社内評価にとどまっています。Alibabaの大型AIイベントと同日の発表となったことも含め、中国テック大手による画像生成AIの主導権争いは今後さらに激しくなりそうです。