OpenAIが9月16日、ChatGPT Admin Console(管理コンソール)に備わる分析機能の使い方をまとめた記事を公開しました[1]。利用状況と支出を見るだけでなく、社員がAIで何の仕事をしているのかを分類し、Codexが実際のコードにどれだけ貢献したかまで追える構成です。投資判断の材料をどう組み立てるか、ROIの試算例まで添えて説明されています。
使われている場所と費用を1つのビューで把握
Usageビューは、ChatGPT WorkとCodexをまたいでアクティブユーザー数、クレジット、トークン使用量をまとめて表示します[1]。グループやユーザーで絞り込めば、どの部署で定着が進んでいないかが見えてきます。OpenAIは、利用が低調なグループを見つけたら、業務の入り口になるワークフローや教育の必要性をチームの責任者と見直す材料にするよう勧めています[1]。
支出の偏りが分かること自体は珍しくありませんが、増枠の申請が上がってきたときに本当に足りていないのかを数字で確かめられる点は実務的です。
何の仕事に使われているかを分類するInsights
Insightsのタスク分類器は、メッセージのサンプルをユースケースとタスクに振り分けます[1]。ソフトウェアエンジニアリングであれば機能開発やコード保守、営業・収益であれば顧客調査や商談準備といった粒度です。Overviewタブで仕事の構成比を俯瞰し、Use casesタブで内訳の表を確認する流れになります。
タスクの詳細では、Models・Reasoning・Speedの設定ごとにクレジットの内訳が出ます[1]。定型的な資料作成であれば、より速い設定や低コストな設定に切り替えて、品質と手直しにかかる時間を比べてみるといった調整の判断材料になります。ここは費用に直結するので、地味ながら効きそうなところです。
Plugin leaderboardとSkillsビューでは、どのツールがその仕事を支えているかが分かります[1]。関連するプラグインの利用が少なければ権限か教育の問題、よく使われているスキルがあれば管理者を決めて定期的に更新する、という切り分けができます。
Codexの貢献はマージされたコードで測る
Outcomesビューは、Codexがマージ済みコミットとコード行数にどれだけ寄与したかを、コードレビューの活動と並べて表示します[1]。グループ・ユーザー・リポジトリでの絞り込みにも対応しています。
OpenAIは、Codexの寄与率が上がっていくなら、その傾向をレビュー時間・不具合・手戻りの推移と突き合わせて、本当に速く出荷できているのかを確かめるべきだとしています[1]。生成量が増えただけでレビューが詰まるなら意味がない、という指摘自体は当然ですが、同じ画面で並べて見られるかどうかは運用上の差になります。
レポート作成とROI試算
ChatGPT Work上のAdminプラグインを使うと、定着度・支出・タスクを比較し、その結果を予算や展開の判断に使うレポートへ変換できます[1]。グラフや要点、次の打ち手まで入った経営層向けの資料を作らせることも想定されています。Adminプラグイン自体はOpenAIが別途発表済みの機能です[2]。Admin APIを使えば、自社のダッシュボードに取り込んでサポート系の指標と並べるといった自動化もできます[1]。
記事に載っているROI試算は、あくまで仮定に基づく例として示されたものです[1]。営業20人が週2本のアカウント資料を作り、1本あたり3時間短縮できたとすると、年46週で5,520時間。その半分が生産的な業務に回り、人件費を1時間あたり75ドル(約1万2,000円)と置けば、年間20万7,000ドル(約3,200万円)相当の余力になります。初年度コストを6万ドル(約930万円)と仮定すると、ROIは245パーセントという計算です[1]。
※1ドル155円換算(2026年9月16日時点)
数字そのものより、前提を全部開示したうえで並べている点が参考になります。OpenAI自身も、すべて仮定値であり受注率や案件規模の向上は含まないと明記しています[1]。
実際の事例と、始め方
記事では顧客の事例も紹介されています。1PasswordはCodexで機能や社内ツールを作り、ROIは553パーセント、年間80万ドル(約1億2,000万円)相当のエンジニアリング余力と見積もっています[1][3]。ATV Big Air Tourは、イベント掲載情報の確認を週8時間から1時間に、在庫関連の作業を2〜3日から2〜3時間に短縮したとのことです[1]。PlaycoはAPI経由でGPT-6 Astraを使い、プレイ可能なゲームのプロトタイプを制作。手作業の修正が従来モデル比で50パーセント減ったと報告しています[1]。
始め方としてOpenAIが挙げているのは、Insightsから業務上の優先度に関わるタスクを1つ選び、業務側の責任者と基準値と測る成果を決め、見直す日を先に押さえるという手順です[1]。改善したいことは何か、今のやり方はどうなっているか、AIで何が変わるか、空いた時間で何ができるか、投資に見合うか。この5つを順に埋めていくと、投資判断の材料が揃う構成になっています[1]。
まとめ
ChatGPT Admin Consoleの分析は、利用量と支出に加えて、仕事の中身とCodexの成果までを同じ場所で確認できるところに特徴があります。管理者だけで答えが出る設計にはなっておらず、業務側の責任者と基準値をすり合わせて初めて価値を測れる、という前提が繰り返し強調されている点も特徴的です。AIの導入費用をどう説明するかで詰まっている現場にとっては、測り方の型として使える内容と言えます。
出典[1]: https://openai.com/index/how-to-connect-ai-usage-to-business-value
