Adobeは、企業ごとに固有のカスタマイズを施した生成AIモデルを開発・提供する新サービス「Adobe Firefly Foundry」を発表しました[1]。企業が保有するブランドアセットや知的財産をもとにモデルを訓練し、画像・動画・音声・ベクター画像・3Dまで対応するマルチモーダル生成を、商用利用に安全な形で提供する仕組みです。Walt Disney Imagineeringをはじめとする企業との取り組みも明らかにされています[1]。
Adobe Firefly Foundry とは
Adobe Firefly Foundryは、企業ごとに専用の生成AIモデルを構築し、ブランドに即したコンテンツを大規模に制作できるようにするサービスです[1]。Adobeは2025年10月28日(米国時間)に米国本社から正式に発表し、日本法人のアドビ株式会社が同年11月4日に抄訳版のプレスリリースを公開しています[1]。
モデルの基盤となるのは、商用利用に対応するために設計された既存の生成AI基盤「Adobe Firefly」です[1]。Adobe Firefly Foundryモデルは、この基盤の上に各企業のブランドアセットやデザイン素材などのIP(知的財産)カタログ全体で追加訓練を行い、その企業固有のスタイル・世界観に合わせた出力を返す仕組みになっています[1]。対応するアセットタイプは画像、動画、音声、ベクター画像、3Dと幅広く、ブランドキャンペーンやパフォーマンスマーケティング、メディア制作などのワークフローを横断して利用できます[1]。
訓練データに自社のIPカタログを使う点、出力先がCreative CloudやGenStudio、Firefly Web版、Adobe Expressといった既存のAdobe製品群と統合される点が、汎用の画像生成AIサービスと一線を画す部分です[1]。
3つの主要機能と「責任あるAI」
Adobe Firefly Foundryは大きく3つの機能で構成されます[1]。
1つ目はAdobe Firefly Foundryモデル本体です。企業が所有する知的財産をもとに、Adobe Fireflyを基盤として安全に訓練された専用モデルを構築します[1]。画像、動画、音声、ベクター画像、3Dという主要アセットを横断的に扱える点が特徴で、ブランドの世界観に沿った高品質なマルチモーダル出力を、商用利用にも対応する形で生成できます[1]。
2つ目はシームレスな実装環境です[1]。Adobeは、企業が構築したFoundryモデルを1か所で管理・展開できる管理アプリケーションを提供します。これにより、企業の開発チームは生成された出力のテストや、組織全体へのアクセス管理といった実装プロセスを一元的に扱うことができます[1]。Foundryモデルは、Adobeが掲げる「責任あるAI」の原則に基づいて構築されているとされ、ビジネスワークフロー全体にわたって倫理的なAI運用ができることをAdobeは強調しています[1]。
3つ目は協働でのイノベーション支援です[1]。Adobeは応用AI/ML分野の科学者や現地派遣エンジニアを含む専門チームを企業に派遣し、成長を促す高インパクトなユースケースの設計・導入を一緒に進めます。組織固有のニーズに合わせたソリューションを構築するだけでなく、クリエイティブワークフローを再構築するための戦略的なガイダンスも提供する内容となっています[1]。
なぜ今、企業専用モデルなのか
背景にあるのは、デジタルチャネル向けに必要となるコンテンツ量の急増です。Adobeの調査では、マーケターは自社ブランドを消費者の第一想起に留めるために必要なコンテンツ量が、現状の5倍以上になると予測しています[1]。
一方で、長年にわたって築き上げてきたブランドや製品ラインを持つ企業ほど、ブランド世界観の一貫性とコンテンツ制作スピードの両立に苦戦しているのが実情です[1]。新たに制作するすべてのアセットで、製品ポートフォリオの世界観やデザインの一貫性、クリエイティブの方向性を保つ必要があり、汎用の画像生成AIをそのまま当てはめにくいケースが多くなっています[1]。
Adobeのバイスプレジデント 兼 GenAI New Business Venturesのハンナ・エルサケル氏は、Adobe Firefly Foundryについて「画像、動画、音声、ベクター画像、3Dといった生成AIモデルの開発における、アドビの長年にわたる革新と専門知識を結集」したものと位置付け、企業が抱える最も複雑なコンテンツ制作上の課題解決を支援すると説明しています[1]。導入事例としては、テーマパークのデザイン・開発を担うWalt Disney Imagineeringとの取り組みが言及されており、Adobe Firefly Foundryを通じた顧客エンゲージメント向上を進めているとされます[1]。
まとめ
Adobe Firefly Foundryは、企業のブランドコンテンツに合わせて画像・動画・音声・ベクター画像・3Dをカバーする生成AIモデルを開発・提供する新サービスです[1]。商用利用に安全なAdobe Fireflyを基盤に、各社のIPで再訓練したモデルをGenStudioやCreative Cloudへ統合し、ブランドに沿った大規模なコンテンツ制作を狙います。汎用の画像生成AIでは扱いにくかった「自社の世界観を保ったままコンテンツ量を5倍に増やす」という課題に、エキスパートチームの伴走付きでアプローチしようとする企業向けAIの新しい選択肢と言えるでしょう。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000516.000041087.html
