アンカー・ジャパンは、Anker史上最高の安全基準に対応したモバイルバッテリーを、2026年春頃に順次発表すると明らかにしました[1]。鋼鉄の針を刺しても発火しないかを調べる「釘刺し試験」を通過するバッテリーセルに加え、異常を即座に検知する管理システムや難燃性素材の外装を組み合わせ、安全性を全方位で高めた製品です。モバイルバッテリーの発火が社会問題となるなか、リーディングブランドが安全性を前面に打ち出した形になります。

釘刺し試験を通過するバッテリーセルを採用

今回の発表でまず注目したいのが、バッテリーセルそのものの安全設計です。Ankerは、釘刺し試験を通過できる高性能な三元系リチウムイオン電池を採用するとしています[1]

釘刺し試験とは、満充電状態のバッテリーセルに鋼鉄製の針を刺し、発火や爆発が起きないかを検証する試験です。リチウムイオン電池の安全性試験のなかでも、一般的に通過が難しいとされる厳しい項目に位置づけられます[1]

注意したいのは、こうした試験に対応した電池には設計上のジレンマがある点です。通常、釘刺し試験を通過できる安全性を追求すると、セル密度を下げる必要があり、製品本体が大きく重くなってしまいます。Ankerはこれまで培ってきた技術や知見を集約することで、コンパクトかつ軽量な設計を保ったまま、この高い安全基準に対応するとしています[1]。安全性と携帯性の両立は、モバイルバッテリーにとって重要なポイントです。

管理システムと難燃性素材で多重に守る

Ankerは、バッテリーセルだけでなく、モバイルバッテリーを構成する要素すべてで安全性を引き上げる方針を示しています[1]

電気的な制御面では、秒単位で電圧を監視し、電池セルの情報を記録するBMS(バッテリー管理システム)を搭載します。さらに、異常事態を即座に感知して電源をシャットダウンするインテリジェント調整機能も組み込み、トラブルの芽を早い段階で抑え込む設計です[1]

外装にも対策を施しています。内部でショートや異常発熱が起きたとしても、外装ケースが燃え広がりにくい、業界最高レベルの難燃性素材を採用するとしています[1]。万が一セル単体で問題が起きても、被害を最小限にとどめる狙いです。

Ankerはこれまでも、サプライヤーの体制管理を含めて製品の安心・安全に取り組んできたとしており、今回はセル・管理システム・素材という3つの要素を一体で強化する点が特徴です。具体的な製品名や仕様は2026年春頃に発表される予定です[1]

背景にある機内持ち込みルールの厳格化

Ankerが安全性を前面に出す背景には、モバイルバッテリーを取り巻く環境の変化があります。

国土交通省は、2026年4月24日から航空機内へのモバイルバッテリー持ち込みに関する新たなルールを適用しました。日本を発着するすべての便が対象で、機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人あたり2個まで(160Wh以下)に制限され、機内での充電や、モバイルバッテリーから電子機器への給電も禁止されています[2]

この改正は、航空機内でのリチウム電池に起因する発煙・発火トラブルが世界的に増加していることを受けたもので、国際民間航空機関(ICAO)の国際基準の厳格化に沿った対応です[2]。日常的に持ち歩く製品だからこそ、安全性への関心はかつてなく高まっています。こうした流れのなかで、セルの試験対応から外装素材まで踏み込んだ今回のAnkerの取り組みは、業界全体の基準を引き上げるきっかけになる可能性があります。

まとめ

Ankerが2026年春頃に展開するモバイルバッテリーは、釘刺し試験を通過するセル、秒単位で監視するBMS、難燃性素材の外装を組み合わせ、安全性を多重に高めた製品です。機内持ち込みルールが厳格化し、発火事故への不安が広がるなか、安全性を軸にした製品選びはこれまで以上に重要になりそうです。詳細な仕様の発表が待たれます。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000633.000016775.html

出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000310.html