ゲーミングチェアの背もたれにベルトで巻き付けて、後頭部のすぐ後ろから音を鳴らす。Razerが、そんな割り切った形のワイヤレススピーカー内蔵ヘッドクッション「Razer Clio X」を発表しました。上位モデルで作った仕組みを、より小さく手が届きやすい価格に仕立て直した製品です。日本での価格は税込17,980円、国内発売は9月を予定しています。
ヘッドセットを外しても、後ろの音は残る
Clio Xの中身は、38mmのフルレンジドライバー2基と55mmのパッシブラジエーター2基を組み合わせたニアフィールドスピーカーです。ドライバーは正面ではなく、座った人の耳へ向けて角度を付けて配置されています。距離が近いぶん小さな口径でも音圧を稼げるという、ヘッドクッション型ならではの設計です。
音場の処理にはTHX Spatial Audioを使い、音響拡張モードで左右方向の広がりを作ります。頭に何も装着しないまま、ゲームや映画に方向感と奥行きを足すことが狙いです。長時間のプレイや配信でヘッドセットの重さと蒸れから逃げたい人にとっては、この一点だけでも試す価値がありそうです。
イコライザーはRazer Synapse側で調整できます。ゲーム、音楽、マルチメディア向けのクイックプリセットが3種類用意され、そこから細かく詰めることもできます。
電源はモバイルバッテリー、内蔵しないという選択
接続はRazer HyperSpeed 2.4GHzのワイヤレスで、Bluetoothに付きものの遅延を避けています。PCやコンソールとケーブルでつながずに済むため、椅子ごと動かしても配線が引っ張られません。
面白いのは電源の考え方です。Clio Xはバッテリーを内蔵せず、USB-C PD 2.0対応のモバイルバッテリー(別売)から給電します。10,000mAhのモバイルバッテリーをつないだ場合で最大40時間の動作が目安です。手持ちのバッテリーを流用できる一方、電源側の条件は少し選びます。最大音量を出すには15W以上のPD 2.0電源が必要で、PD非対応の電源だと消費電力が絞られて音量が上がりきりません。
給電用のUSB Type-Cケーブルは本体に内蔵されており、使わないときは背面のクッションポーチに収納できます。椅子の周りにケーブルが垂れ下がらないよう配慮した作りです。
固定は30〜65cmの範囲で調節できるナイロンストラップで行います。Razer製のゲーミングチェアはもちろん、多くのハイバックチェアやオフィスチェアに取り付けられるとしています。
単体でも、サラウンドの後方チャンネルとしても
使い方は2通りあります。1つはヘッドセットを使わずにゲームや映画、音楽を楽しむためのメインスピーカーとして単体で鳴らす方法です。もう1つは、すでに持っているサウンドバーや2.0/2.1構成のスピーカーと組み合わせ、サラウンドモードでリアスピーカーとして働かせる方法です。
後者は、リアスピーカーの置き場所と配線に悩まされてきた人にとって現実的な回避策になります。部屋の後ろ側にスピーカーを置いてケーブルを這わせる代わりに、椅子そのものを後方チャンネルにしてしまう発想だからです。座る位置と耳の位置が常に一致するという、椅子に付ける方式ならではの利点もあります。
上位機Clioとの違いは音響設計
Razerには既にフラッグシップの「Razer Clio」があります。両者の差は主に音響アーキテクチャで、Clioが43mmのフルレンジ アルミニウムコーンドライバーを採用するのに対し、Clio Xは38mmのドライバー2基と55mmのパッシブラジエーター2基という構成に置き換えられています。より小型のまとまりで低音の量感を確保する方向です。
ヘッドセット不要のゲームオーディオ、ニアフィールドスピーカー、THX Spatial Audioという中核の体験は共通で、Clio Xはそれを絞り込んだパッケージという位置付けになります。
Clio Xは2026年9月4日に米国カリフォルニア州アーバインで発表され、9月4日から7日まで開催されたPAX West 2026で初披露されました。すでにRazer.comとRazerStore、世界各国の一部販売店で販売が始まっており、日本での発売は9月を予定しています。保証は最長1年で、RazerStoreからの直接購入なら14日間の無料返品にも対応します。
まとめ
Razer Clio Xは、ゲーミングチェアの背もたれをそのまま後方スピーカーに変えるヘッドクッションです。38mmドライバー2基と55mmパッシブラジエーター2基にTHX Spatial Audioを組み合わせ、Razer HyperSpeed 2.4GHzで低遅延の無線接続を確保しました。バッテリーを内蔵せずUSB-C PD 2.0のモバイルバッテリーで動かす割り切りにより、税込17,980円という価格に収まっています。ヘッドセットの締め付けから解放されたい人と、リアスピーカーの設置に手を焼いてきた人の両方に効く製品です。
