Lexarが、ベルリンで開催中のIFA 2026にあわせて外付けSSD「Muse Ultra-Slim Portable SSD」を公開しました。最も厚い部分で約3.8ミリ、縁に向かって1ミリまで薄くなる板状の本体で、同社は世界最薄のポータブルSSDだと説明しています。容量は512GBと1TBの2種類で、2026年第4四半期からの提供予定です。

削り出しの一枚板という設計

Museの本体は、金属の塊から削り出したユニボディ構造です。継ぎ目や接合部を減らすことで、板そのものが1枚の面に見えるシルエットに仕上げています。内部は極薄のプリント基板とNANDの高密度な積層で構成され、限られた厚みのなかに容量と速度を収めました。

数字にすると、最も厚い部分が約3.8ミリ、縁の部分は約1ミリです。カード状という表現がしっくりくるサイズ感で、これまでの外付けSSDが持っていた「小さいけれど厚みのある塊」という印象からは離れています。名前のMuseは、創作の女神から取ったもので、撮影や編集の現場で発想の邪魔にならない道具を目指したという位置づけです。

ケーブルは磁石で吸い付く

Museでもう1つ特徴的なのが、接続の仕方です。Lexarは独自のPogoPin磁気データ接続を採用し、付属のSnapLink磁気ケーブルをばね式のピンで本体に押し当てて通信します。端子の抜き差しではなく、近づけると吸い付く方式です。

磁力にはデータ接続部と装着スリーブの両方にN52グレードのネオジム磁石を使い、位置合わせと保持を担います。付属の磁気スリーブにMuseを収めると、MagSafeに対応したiPhoneの背面へそのまま装着できます。撮影しながら外付けストレージを持ち歩く場面で、ケーブルが垂れ下がって取り回しに困る状況を減らす狙いです。

iPhoneからProRes 4Kを直接記録できる

速度は読み出しが最大1,050MB/s、書き込みが最大1,000MB/sです。接続先はiPhone、iPad、Mac、そのほかのUSB-C機器で、対応するiPhoneではApple ProResの4K映像を最大120fpsで直接記録できます。

ただし条件はあります。iPhoneで使う場合はUSB-Cを備えたiPhone 15シリーズ以降が必要で、MagSafeでの装着可否やProResの直接記録に対応するかどうかは機種やケースによって変わります。記録できる形式・解像度・フレームレートも端末と設定次第です。このあたりは購入前に自分の機種で確認しておきたいところです。

価格は現時点で公表されていません。提供開始は2026年第4四半期からで、地域によって取り扱いや仕様、価格が異なる可能性があるとされています。

AI PC向けのGen5ストレージも並べた

LexarはIFA 2026の展示で、AI Storage Coreと呼ぶ技術群も見せています。中核はAIグレードのGen5 SSDとGen5ストレージスティックで、帯域は最大11GB/sです。手元で大きなモデルを動かす小型AI機器を想定し、モデルの切り替えの速さや遅延の小ささ、電力と発熱が限られる環境での持続性能を狙った構成です。

土台になっているのが、Longsysが自社開発したGen5コントローラーのSPU(Storage Processing Unit)です。5ナノメートルプロセスで製造され、DRAMを持たない設計を採ります。あわせてLexar Luma Bridgeという技術で、処理の割り当てや先読み、キャッシュ管理を最適化し、大規模なMoEモデルや膨らみ続けるKVキャッシュ、入出力の遅延に対処します。同社はこれによりDRAMの必要容量を最大40パーセント削減できるとしています。

このほか、OEMや法人向けPC向けにPCIe Gen3・Gen4のクライアントSSD群、電気自動車のドライブレコーダー用途を想定した高耐久のUSBフラッシュメモリーシリーズも並びました。1996年にカリフォルニアで創業したLexarにとって、2026年は30周年にあたります。記録メディアの会社が、AI機器の足回りへ手を広げていく過渡期の展示という色合いが濃く出ていました。

まとめ

Lexarの「Muse」は、最厚部3.8ミリ・縁1ミリという板状のポータブルSSDです。削り出しのユニボディに、磁石で吸い付くPogoPin接続とSnapLink磁気ケーブルを組み合わせ、MagSafe対応iPhoneの背面へスリーブごと装着できます。速度は読み出し最大1,050MB/s、書き込み最大1,000MB/s、対応機種ではProRes 4Kの120fps直接記録にも対応します。容量は512GBと1TBで、2026年第4四半期の提供開始予定です。