Ankerが充電関連の新製品をまとめて公開しました。目玉は、内部に小型ファンを抱えたマグネット式モバイルバッテリー「Anker MagGo 2 Pro」です。10,000mAhでQi2.2の25Wワイヤレス充電に対応しながら、本体表面を36度以下に保つと説明されています。米国では9月17日に109.99ドル(約17,000円)で発売されます。今回の新製品群には、つないだノートPCの機種を見分ける充電器も含まれています。
速さではなく熱を売りにしたモバイルバッテリー
マグネット式のワイヤレス充電は、便利さと引き換えに発熱がつきまとう仕組みです。コイル同士の位置がわずかにずれるだけで無駄な熱が生まれ、スマートフォン側が温度を検知して充電を絞ることも珍しくありません。25W級の製品が増えたことで、この問題はむしろ目立つようになりました。
MagGo 2 Proが持ち出したのは、指先ほどの大きさのファンです。Ankerが「SnapCool」と呼ぶこの仕組みは、送風経路を2本に分け、3層のグラフェンシートで熱を広げたうえで、充電の状況に合わせてファンの回転数をアルゴリズムが調整します。同社の説明では、同等の25Wマグネット式バッテリーが20分ほどで45度を超えるのに対し、本機は表面温度が36度を下回ったまま推移するとしています。手のひらより冷たい、という言い方をしています。
温度が下がれば、その分だけ充電速度を落とさずに済みます。iPhone 17 Proを10分で25パーセント、25分で50パーセントまで戻せるという数字は、20W級の有線充電器に近い水準です。バッテリー自体の補充も45Wの双方向充電に対応し、52分で80パーセントまで回復します。
本体には0度から80度まで角度を変えられるスタンドが組み込まれ、5,000回の開閉試験を通したと説明されています。画面には残量だけでなく、充電電力、温度、バッテリーの健全度が表示されます。大きさは約71×105×18ミリ、重さは約220グラムで、Gray、Starlight Silver、Polar Blue Nightの3色が用意されます。Ankerはこの製品について、ワイヤレスモバイルバッテリーとして初めてSGSのPremium Performance Markを取得したとしています。
※1米ドル=154円換算(2026年9月9日時点)
ノートPCの機種を見分けて充電カーブを変える
同時に公開された「Anker Laptop Charger Pro」は、方向性がさらに変わっています。100WのGaN充電器という素性は珍しくありませんが、この製品はつながれたノートPCの機種そのものを特定しようとします。
なぜそこまでするのかというと、機種ごとに適した充電の進め方が違うからです。リチウムイオン電池は満充電に近い状態で高い電圧をかけ続けると劣化が早まりますが、その境目はセルの構成や冷却設計によって変わります。Ankerは機種を特定したうえで専用の充電カーブを当てる「Care Mode」を用意し、汎用のプロファイルを流用する場合と比べてノートPCのバッテリー寿命を最大40パーセント延ばせるとしています。
機種の判別精度は、Appleのノートブックであれば100パーセントを主張しています。Windows機については専用のPC向けアプリを併用する前提で、精度は90パーセントとされています。このアプリはファームウェアの更新や月次のバッテリー健全度レポートも扱い、充電の上限を80パーセントから100パーセントの範囲で指定できます。出力はWindowsノートPC向けに65W、MacBook向けに45W、iPhone 17向けに30Wという配分です。価格は59.99ドル(約9,200円)で、9月中の発売が予定されています。
充電器に画面が付くのが当たり前になってきた
今回の新製品でもう1つ共通しているのが、ほとんどの機種に小さな画面が載っている点です。年初のCES 2026でもAnkerは画面付きの充電器を並べており、その路線を押し広げた形になります。
据え置き型の「Anker MagStand Charging Station」は、25Wのマグネット式ワイヤレスパッドに60Wの引き出し式USB-Cケーブルと30WのUSB-Cポートを組み合わせた3系統構成です。ワイヤレスパッド側には能動的な冷却機構が入り、充電中のスマートフォンを37度前後に保つとされています。目覚ましの時刻に合わせて充電が完了するよう夜間は電流を絞る「Overnight Care Mode」も備え、画面には時刻や天気、充電状況が表示されます。米国での提供は2026年後半、価格は未公表です。
旅行向けの「Anker Nano Universal Charger」は、米国・英国・欧州のプラグを内蔵し、200を超える国と地域で使えます。USB-Cを3口とUSB-Aを1口備えて4台同時に充電でき、USB-C単独であればノートPC向けに100Wを出せます。円形の画面には温度や電圧が出ます。同じNanoシリーズの「Anker Nano Charging Station」はあえて画面を省き、折りたたみプラグと平型ケーブルで薄さを優先しました。USB-C 4口とUSB-A 2口の計6台同時充電に対応し、13インチのMacBook Air 2台とiPhone 17 Proを30分で50パーセントまで充電できると説明されています。
デスク向けの「Anker Desktop USB-C Hub」は、有線LAN、USB-A 3口、USB-C 2口、HDMI 2.1、DisplayPort、SDとTFのスロットを1台にまとめた製品です。単一ディスプレイなら4Kで144Hz、2Kで240Hz、2画面なら4Kで120Hzと2Kで240Hzという構成に対応します。この製品の画面は充電電力や転送速度に加えて、写真のスライドショーやポモドーロタイマーまで表示します。これら3機種の価格と発売時期は明らかにされていません。
まとめ
今回のAnkerの新製品を貫いているのは、出力の数字を伸ばすことよりも、熱とバッテリーの寿命をどう扱うかという視点です。ファンを内蔵したMagGo 2 Proは9月17日に109.99ドルで、機種を判別するLaptop Charger Proは59.99ドルで登場します。25Wや100Wという数字だけを見れば以前から存在した水準で、差が付くのはその出力をどれだけ長く維持できるかという部分に移ってきました。充電器に画面が載るのも、その状態をユーザーに見せるための流れとして読めます。国内での取り扱いについては、現時点で発表されていません。
