UGREENが新しい充電アクセサリー群「MagFlow」を公開しました。目玉は、マイクロポンプで冷却液を循環させる能動的な水冷機構を積んだ10,000mAhのマグネット式モバイルバッテリーです。ワイヤレス充電の規格がQi2の25Wへ引き上げられたことで避けられなくなった発熱を、PCの自作パーツでおなじみの液冷で押さえ込むという発想で、透明な窓から冷却液が流れる様子まで見えるようになっています。
PCの冷却装置がモバイルバッテリーに入った
MagFlow Proの中核は、UGREENがCryoPulseと呼ぶマイクロポンプ式の液冷システムです。小型のポンプで冷却液を循環させ、発熱源から直接熱を運び出す仕組みで、同社はこの方式をモバイルバッテリーに搭載したのは世界初だとしています。液冷そのものは高性能なPCやサーバーでは珍しくありませんが、手のひらに収まるバッテリーに押し込んだ例はこれまでありませんでした。
冷却はポンプ任せではありません。銅のベイパーチャンバー(VC)を使った放熱フォイルで熱を面で広げ、さらに充電回路とセルを分離したレイアウトにすることで、熱がこもりにくい構造にしています。加えてThermalGuardと名付けられた制御が温度に応じて出力を自動調整します。
そして本体には透明な窓が設けられており、冷却液が循環している様子をそのまま目で確認できます。冷却機構は普通なら筐体の中に隠れて存在を感じられない部分ですが、あえて見せる作りにしたのは、動いていることが分かる面白さを買う理由に変えたかったのでしょう。
25Wへの引き上げが発熱を連れてきた
そもそもなぜここまで冷却に振ったのかというと、ワイヤレス充電の電力が一段上がったからです。従来の15WからQi2の25Wへ移ると、充電電力はおよそ70パーセント増えます。電力が増えれば発熱も増え、熱がたまると保護機能が働いて出力が絞られ、結果として充電が遅くなります。バッテリーの劣化にも響きます。速くしたければ冷やすしかない、という物理的な事情がこの製品の出発点です。
UGREENの試験では、iPhone 17 Pro Maxの最高温度が業界の基準値とする48℃に対して最大10℃低く収まったとしています。充電速度についても、ワイヤレス接続でiPhone 17 Pro Maxを40分で50パーセントまで回復できるとしています。
有線側は本体に内蔵されたケーブルで最大45Wに対応します。このケーブルは持ち運び用のストラップも兼ねる作りで、別途ケーブルを持ち歩かなくて済むようになっています。容量は10,000mAhで、残量や充電状況はディスプレイに表示されます。
セルはATLの高密度セルを採用し、Dymondcell 2.0と呼ぶ多層構造の保護を組み合わせています。UGREENは押しつぶし試験や針の貫通試験、140℃の加熱試験、800サイクル後も80パーセント以上の容量を保つ寿命試験を挙げており、水冷を積んだぶん安全側の説明にも紙幅を割いた格好です。
冷却ファンを積んだ3-in-1スタンドも
MagFlowはモバイルバッテリー単体ではなく、3機種のシリーズとして展開されます。
MagFlow Pro 3-in-1マグネット式ワイヤレス充電スタンドは、iPhoneとApple Watch、AirPodsを同時に充電する据え置き型です。こちらは液冷ではなくTECモジュール(ペルチェ素子)と15dB以下の静音ファンを組み合わせた能動冷却を積んでいます。iPhoneへは最大25W、Apple WatchにはMFW認証のモジュールでフルスピード充電に対応し、UGREENの試験ではiPhone 17 Pro Maxが26分、Apple Watch Series 11が19分で50パーセントに達したとしています。ディスプレイには出力と温度、冷却モードが表示されます。
もう1機種のMagFlow 2-in-1折りたたみマグネット式ワイヤレス充電器は、たたむと60×72×27mmに収まる携帯向けです。開けばiPhoneに最大25W、AirPodsに5Wを同時に供給します。冷却はThermalGuardによる制御が担当し、イヤホン用の滑り止めパッドを広めに取って置きやすくしたほか、触れても熱く感じにくいガラス面を採用しています。
価格と入手性
シリーズは2026年9月4日から欧州で発売されています。希望小売価格はモバイルバッテリーが119.99ユーロ(約2万2,000円)または109.99ポンド(約2万3,000円)、3-in-1スタンドが139.99ユーロ(約2万5,000円)または119.99ポンド(約2万5,000円)、2-in-1充電器が49.99ユーロ(約9,000円)または43.99ポンド(約9,000円)です。米国ではUGREENの公式ストアがMagFlow Proのモバイルバッテリーを149.99ドル(約2万3,000円)で掲載しています。日本での発売時期や価格は本稿執筆時点で案内されていません。
※為替レート(2026年9月8日時点):1ユーロ=181円、1英ポンド=211円、1米ドル=156円
なおUGREENは今回、IFA 2026で初めて2つのホールに出展しました。通信・接続関連をH3.2-153、スマートホーム関連をH2.2-135に分けて展示し、会場の休憩エリアでは充電パートナーとして無料の充電サービスも提供しています。
まとめ
MagFlow Proは、Qi2の25W化で増えた熱をマイクロポンプ式の液冷で処理するという、モバイルバッテリーとしては前例のない設計です。透明窓で冷却液の動きを見せる演出も含めて、性能の裏づけをそのまま製品の見どころに変えています。ワイヤレス充電が遅いのは熱のせいだと分かっていながら手を打てなかった領域に、PC側の解決策を持ち込んだ形です。日本での展開は未定ですが、25W世代のワイヤレス充電がどこで詰まるのかを考えるうえで分かりやすい一例になりそうです。
