NTTドコモビジネスは2026年9月30日、AIモデルの開発や学習に使えるクラウド型GPU基盤「GPUaaS」の提供を始めます。必要な分だけGPUを1基から借りられる柔軟な料金設計に加え、ブラウザ上でそのまま開発に取りかかれる環境を用意しているのが特徴です。AI開発企業だけでなく、製造業や創薬関連企業、大学・研究機関などでの利用も見込んでいます。
少ない規模からAI開発を試せる設計
これまで自社でAI開発基盤を持とうとすると、まとまった数のGPUをあらかじめ確保する必要があり、小規模な検証や概念実証(PoC)の段階では過剰投資になりがちでした。GPUaaSはこの課題に対応するもので、最小構成であるGPU1基から利用を開始できます。小さく試して手応えを確認しながら、必要に応じて規模を拡大していく使い方を想定した設計です。
ブラウザだけで完結する開発環境
GPUaaSでは、コード開発でよく使われる「JupyterLab」と「Visual Studio Code」をあらかじめ組み込んだ環境が提供され、専用ソフトのインストールなしにWebブラウザーから直接アクセスできます。開発したAIモデルやデータセット、検証の履歴なども基盤側で管理できるようになっており、環境構築にかかる手間を抑えて、モデルの試作や検証そのものに時間を使えるようにしています。
閉域網接続とハイブリッド構成に対応
セキュリティ面では、法人向け閉域網サービス「docomo business RINK」などを介した接続に対応しており、インターネットを経由せずにGPUaaSへアクセスする構成が組めます。あわせて、同社のクラウド/サーバーサービス「Smart Data Platform」とも連携できるため、AIの処理からデータの保管までを国内の環境で完結させる構成を取ることも可能です。さらに、GPUaaSと自社専有のGPU環境を組み合わせたハイブリッド構成にも対応しており、常時稼働させたい基幹処理は専有環境、負荷が変動する開発・検証部分はGPUaaSという使い分けもできます。
想定される利用シーン
想定する利用者として、AI開発を手がけるスタートアップや専門企業のほか、製造業、創薬関連企業、大学・研究機関などが挙げられています。加えて、外部のクラウドサービスに機密データを預けることに慎重な企業が、自社専用のプライベートAI環境を構築する用途にも対応するとしています。研究開発の初期段階で小規模に試し、成果が見えた段階で本格導入へ移行するといった、段階的なAI活用の進め方に合わせやすいサービスといえます。
料金やGPU機種は今後の案内待ち
現時点では、GPUの具体的な機種や1基あたりの料金といった詳細は明らかにされていません。提供開始日である9月30日が近づくにつれて、これらの条件が順次案内されるとみられます。国内では、AIの学習や推論に使えるデータを国外に出したくないという企業のニーズが根強く、通信キャリア系の企業がこうした国内完結型のAI基盤を相次いで打ち出す動きが続いています。GPUaaSも、こうした流れに位置付けられるサービスの一つです。
今回の提供は、NTTドコモビジネスのプラットフォームサービス本部内にあるクラウド&ネットワークサービス部が担当します。同社はこれまでもクラウド型のインフラサービスを手掛けてきており、GPUaaSはその延長線上でAI領域に踏み込んだ位置づけとなります。
まとめ
GPUaaSは、GPU1基からという小さな単位で始められる料金設計と、ブラウザだけで完結する開発環境、閉域網接続によるセキュリティ確保を組み合わせたクラウド型のAI開発基盤です。2026年9月30日の提供開始後は、限られた予算でAI活用を検証したい企業や研究機関にとって、自社基盤を持たずにAI開発へ着手する選択肢の一つになりそうです。
