Microsoftが、手元にあるXboxのディスクをデジタルの所有権に変換する仕組みを内部で試しているとされています。コードネームは「Positron」。ディスクを本体に入れてインストールすると、そのソフトの権利がMicrosoftアカウントに紐づくという内容です。Xbox Insider向けの配信が近いとみられる状況になってきました。
ディスクを入れるだけで権利がアカウントに乗る
報じられている手順はごく単純です。対象のディスクを本体に挿してゲームをインストールすると、Microsoft側がそのタイトルの権利を利用者のアカウントに結び付けます。以降はディスクを毎回入れ直さなくても、アカウントに紐づいた権利としてゲームを扱えるようになります。
権利がアカウント側に移ると、遊べる場所が広がります。クラウドストリーミング経由での起動、Windowsベースの携帯ゲーム機での実行、対応タイトルであればXbox Play Anywhereでの共有といった具合に、ディスクドライブの有無に縛られない環境へゲームを持ち出せる形です。もちろん、これまで通りディスクを入れて遊ぶこともできます。
The Vergeは7月1日に、Microsoftの社内でこのディスク変換機能のテストが始まったと伝えていました。それから3週間ほどで、テストの輪がInsiderにまで広がろうとしている、という流れになります。
対象はXbox OneとSeries X|Sのディスク
変換の対象になるのは、Xbox OneとXbox Series X|S向けのディスクだとされています。Xbox 360や初代Xboxのソフトは含まれません。
さらに、Xbox One世代のすべてのタイトルが通るとは限らないという指摘もあります。ディスクがいつ、どのような形で製造されたかによって、対象外になるものが出てくる可能性があるためです。コレクションを丸ごとデジタル化できると考えるのは、現時点では早いかもしれません。
もう1つ注意したいのが、変換そのものにはディスクドライブを備えた本体が要るという点です。手持ちの機種がすべてデジタル版だった場合、変換作業のためだけに旧世代機を確保しておく必要が出てきます。
売買や貸し借りは残る、ただし権利も一緒に動く
今回の話で目を引くのは、中古市場との折り合いの付け方です。デジタルの権利に変えたあとも、ディスクの売却や譲渡、友人への貸し出しは引き続きできるとされています。
仕組みとしては、権利がアカウントではなくディスクの側に付いて回るイメージです。別の人がそのディスクを自分の本体に入れると、権利はその人のMicrosoftアカウントへ移り、元の持ち主のアカウントからは外れます。デジタル配信では失われがちだった転売や貸し借りの自由度を、ある程度そのまま残そうとしている設計と言えます。
物理メディアを買う理由の1つが「あとで手放せること」だったことを考えると、この一点が現実に機能するかどうかは、利用者の受け止め方を大きく左右しそうです。
次世代機「Project Helix」との関係
Xbox Insiderの責任者であるブラッド・ロセッティ氏は先週後半、Insider向けの新しいビルド配信を一時的に止めていると説明し、その理由として翌週に向けた準備を挙げました。この発言が、Positronの試験投入が近いという見方につながっています。
背景にあるのは、次世代機の存在です。コードネーム「Project Helix」と呼ばれる次期Xboxにディスクドライブが載るかどうかは、まだ明らかになっていません。載らなかった場合、手元のディスク資産をどう扱うかという問題が一斉に表面化します。Positronのような仕組みは、その移行を穏やかにするための下準備という位置づけになるはずです。
比較対象になるのがソニーの動きです。2028年をめどにディスク版ソフトの供給を終える方針が7月初めに伝わり、ゲーマーからは反発の声が上がりました。同じ方向へ進むにしても、変換の手段を先に用意しておくかどうかで、受け取られ方はかなり変わります。
現時点では正式発表ではない
ここまでの内容は、いずれも報道や関係者の証言に基づくものです。MicrosoftはPositronを公式に発表しておらず、利用条件や対応タイトルの一覧、すべての利用者に届く時期についても何も示していません。
Xbox Insiderでの配信が始まれば、対象タイトルの範囲や変換の実際の手順が見えてくるはずです。手持ちのディスクの処分を考えている人は、それまで様子を見ておくのが無難でしょう。
まとめ
Positronは、Xbox OneとSeries X|Sのディスクをアカウントに紐づくデジタル権利へ変換する仕組みとされ、変換後もクラウドや携帯機で遊べるようになる一方、ディスクを手放せば権利も移るという設計になっているようです。対象タイトルの範囲や実施時期は未確定で、Microsoftからの正式な説明はまだありません。Insiderでの配信が始まる時点が、最初の答え合わせになります。
