ソニーは2026年7月9日、大型センサーを搭載した一体型の超望遠カメラ「RX10 V」を発表しました。広角から超望遠までをカバーするZEISS製24-600mmレンズと20.1メガピクセルの1.0型積層センサーというシリーズの核はそのままに、AIによる被写体認識AF、最大30コマ/秒のブラックアウトフリー連写、4K120pの動画記録といった、上位のミラーレス「α(アルファ)」シリーズ譲りの新機能を大きく取り込んでいます。北米での希望小売価格は2,299.99ドル(約37万円)で、発売は2026年8月を予定します。

シリーズの核は継承、中身はα世代へ

RX10 Vが受け継ぐのは、1台で広角24mmから超望遠600mm相当(25倍)までを担う大口径のZEISS Vario-Sonnar T* F2.4-4.0レンズと、20.1メガピクセルの1.0型積層型Exmor RS CMOSセンサーです。この組み合わせがレンズ交換なしで日常のスナップから野生動物、スポーツまでを1台でこなす、RX10シリーズならではの強みを支えます。24mm時で約3cm、600mm時でも約72cmまで寄れるマクロ撮影に対応する点も、被写体を選ばない一体型ならではの魅力です。

一方でボディは大きく生まれ変わりました。グリップ形状やボタン配置はαシリーズを踏襲し、ファインダーをのぞいたままでも直感的に操作できる8方向のマルチセレクターを備えます。画像処理エンジンには、上位のαモデルにも採用される最新の「BIONZ XR」を搭載し、中〜高感度でのノイズを抑えながら、肌の色や空、緑を自然な発色で描き出します。色や質感をカメラ内で作り込める「クリエイティブルック」も12種類用意されました。

AI認識AFと最大30コマ/秒の高速連写

今回の刷新で中核となるのが、AI処理ユニットが駆動する「リアルタイム認識AF」です。人物や動物、鳥、昆虫に加え、車、電車、飛行機まで自動で認識し、被写体の種類をカメラ側が判別する「オート」モードも備えます。人物については姿勢を推定するため、後ろを向いたり、ヘルメットやサングラスを着けたりしていても追従を続けます。画面をタッチした被写体を追いかける「リアルタイムトラッキング」を使えば、構図に集中しながら動く相手を捉え続けられます。

連写性能も強化されました。電子シャッター使用時で最大30コマ/秒のブラックアウトフリー連写に対応し、撮影中も像消失なくファインダー像を確認できます。1秒あたり最大60回のAF/AE演算により、動きの速い野生動物やスポーツでもピントと露出を維持します。連写中に操作するとバーストを一段と高速化できる「連続撮影速度ブースト」も搭載します。

動画は最大4K120p、α譲りの機能群

動画機能はこの世代で大きく前進しました。最大4K120pの記録に対応し、最大5倍の4Kスローモーション撮影も可能です。手持ち撮影の揺れを抑える「アクティブモード」、被写体を画面中央に保つ「オートフレーミング」、シネマティックな色を狙える「S-Cinetone」、ポスト処理を前提とした「S-Log3」に対応し、最大16個のユーザーLUTを読み込んでモニタリングしながらの撮影もできます。マルチインターフェース(MI)シューはデジタル音声入力に対応し、対応マイクを使えばクリアな録音が行えます。USB Type-C経由での4K30pライブ配信にも対応します。

ファインダー・電池・防塵防滴も底上げ

使い勝手を支える基本性能も見直されました。ファインダーは約368万ドット・約0.78倍の0.5型Quad-VGA OLEDへと大型化し、明るい屋外でも被写体の細部をはっきり確認できます。背面モニターは3.0型のまま、約162万ドットへと高精細化しました。電源にはZシリーズの「NP-FZ100」バッテリーを採用し、1回の充電で約630枚(液晶モニター使用時)と、従来モデル比でおよそ50%長い撮影が可能になっています。

さらに、さまざまな環境で使えるよう防塵防滴に配慮した設計を採用し、2.4/5GHzのWi-Fiによる高速なデータ転送に対応します。スマートフォン連携アプリ「Creators' App」を使えば、クラウドやスマホへのファイル送信、リモート撮影、ソフトウェア更新までを手元で行えます。

価格と発売時期

RX10 Vの北米での希望小売価格は2,299.99ドル(約37万円)で、2026年8月の発売が予定されています。2017年に登場した前モデル「RX10 IV」から価格は大きく引き上げられた形ですが、レンズ交換式では複数のレンズをそろえる必要がある超望遠域までを1台でまかなえる点を踏まえると、狙う撮影領域が明確なユーザーには依然として個性的な選択肢と言えます。日本国内での価格や発売時期は、今回の発表時点では明らかにされていません。

※1ドル=161円換算(2026年7月10日時点)

まとめ

RX10 Vは、レンズ一体型で広角から超望遠までを1台でこなすというRX10シリーズの魅力を保ちながら、AI認識AFや最大30コマ/秒の連写、4K120p動画、大型ファインダー、長持ちするバッテリーといったα世代の資産を取り込んだ意欲的なモデルです。野生動物や野鳥、スポーツ、旅行など、機材を絞りたい撮影シーンで強みを発揮しそうです。前モデルから価格は上がったものの、1台で完結する超望遠カメラを求める層にとっては、待望の後継機となりそうです。