LINEヤフーのAIエージェント「Agent i」に、登録した内容をAIが継続的に追いかけて知らせる「タスク機能」が加わりました。聞かれたことに答えるだけだった対話型AIを、こちらが黙っていても勝手に動き続ける常駐型へ寄せる試みです。提供開始は2026年9月11日で、キーワードの追跡、商品の値下がり、イベント情報の3つが最初の対象になります。
答えるAIから、動き続けるAIへ
Agent iは、2026年4月に「Yahoo! JAPAN」のAIアシスタントと「LINE」のLINE AIを1つにまとめる形で立ち上がったブランドです。お買い物やおでかけといった領域ごとに専門のエージェントを用意し、相談内容に応じて情報を整理して返す、というのがこれまでの基本形でした。
今回の追加は、その基本形に時間の軸を足すものだと考えると分かりやすいです。従来は、知りたいことがあるたびにユーザーが質問を投げる必要がありました。タスク機能では一度登録しておけば、指定したタイミングでAI側が勝手に動き、結果だけが手元に届きます。LINEヤフーはこれを、答えるAIから動くAIへの転換だと位置づけています。
実行結果はAgent iのトップ画面に並ぶほか、「Yahoo! JAPAN」アプリと「LINE」アプリのプッシュ通知でも受け取れます。すでに毎日開いているアプリが通知の受け皿になる点は、専用アプリを1つ増やさずに済むという意味で現実的です。
登録できる3つのタスク
最初に用意されたのは、キーワード登録、商品値下がり通知、イベント情報通知の3種類です。
キーワード登録は、追いかけたい言葉を指定しておくと、関連する最新情報をAIが繰り返し確認して届けてくれる仕組みです。仕事で追う必要のある業界動向でも、特定の企業や芸能人の話題でも、テーマの幅は問いません。実行の頻度は毎日や毎週から選べ、曜日と時刻まで指定できます。
商品値下がり通知は、お買い物エージェントが担当します。買うかどうか迷っている商品を登録しておくと、指定したタイミングで複数のECサイトを横断して価格を確認し、登録時点より自分が決めた金額以上安くなったときに知らせてくれます。ここで押さえておきたいのは、通知が条件を満たした一度きりで、その後は当該商品の価格追跡が終わるという点です。底値を延々と待ち続ける用途には向かず、あくまで買い時の合図を1回受け取る機能と理解しておくのが無難でしょう。
イベント情報通知は、おでかけエージェント側の機能です。都道府県を設定すると、そこで開かれる予定のイベントが毎週届きます。子連れ、一人で、デート、友達と、といった利用シーンも一緒に指定できるため、条件に合わない候補をあらかじめ落とせます。週末の予定を毎回ゼロから検索している人には、手間の削減がそのまま効いてくるはずです。
登録はワンタップ、後から変更もできる
操作面は意図的に簡素化されています。Agent iとのチャットの流れのなかでタスクが提案されることがあり、そこではワンタップで登録が完了します。もちろんトップ画面から自分で登録することもでき、登録済みのタスクはマイページから変更も削除も可能です。
この、会話の途中で提案されたものをそのまま常駐タスクに変えられるという導線は、地味ですが要になりそうな部分です。自動化の機能は、設定画面まで辿り着いてもらえずに使われないまま終わることが少なくありません。会話の延長線上に登録ボタンを置くことで、その入り口の段差を下げにきたと読めます。
使える環境と、押さえておきたい前提
タスク機能を使えるのは、「Yahoo! JAPAN」アプリ、「LINE」アプリ、そしてスマートフォンのブラウザー版「Yahoo! JAPAN」です。アプリのバージョンには条件があり、iOS版の「Yahoo! JAPAN」アプリは4.132.0以上、Android版は3.187.0以上が必要になります。ヤフー側のサービスから使う場合はYahoo! JAPAN IDでのログインが前提です。年齢についても案内があり、13歳未満の利用は控えるよう明記されています。
技術的な土台としては、GoogleのGemini Enterprise Agent Platform、またはOpenAIのAPIが使われていることが公表されています。自社モデル一本ではなく外部の基盤を組み合わせる構成で、生成AIによる出力の信頼性や正確性は保証の対象外だという但し書きも添えられています。値下がり通知のように金額が絡む用途では、通知を受けた後に自分で価格を確認する一手間は残しておいたほうがよさそうです。
次に来るのは予約と購入
LINEヤフーは、今回の情報収集にとどまらず、店舗の予約や商品の購入といった領域まで代行の範囲を広げる方針を示しています。情報を集めて知らせるところまでは、失敗しても実害が小さい領域です。一方、予約や決済はAIが誤ると取り消しの手間や金銭的な損失が直接発生します。
つまり今回のタスク機能は、その手前で使い勝手と信頼を積み上げる段階にあたります。登録できるタスクは順次増やしていくとされているので、どの種類が先に追加されるかを見ていくと、同社がどこまでAIに任せる気でいるのかが見えてくるはずです。
まとめ
Agent iのタスク機能は、キーワードの追跡、商品の値下がり、イベント情報という3つの対象について、AIが継続的に情報を集めて通知する仕組みです。2026年9月11日に提供が始まり、「Yahoo! JAPAN」アプリと「LINE」アプリのプッシュ通知で結果を受け取れます。値下がり通知が一度きりである点など細かな制約はありますが、質問されるのを待つAIから、放っておいても動くAIへ踏み出した1歩として見ておきたい更新です。
※サムネイル画像はAI生成のイメージです
