Wi-Fiを使って音声を伝送するQualcommのワイヤレス音声技術「XPAN」について、対応製品の登場が1年以上途絶えていました。そんな中、同社が新たな対応製品と次世代版の開発をいずれも進めていることを認めました[1]。Bluetoothに代わる高音質・広範囲のワイヤレス音声技術として、XPANが再び動き出そうとしています。
1年以上ぶりに動き出した「XPAN」
QualcommはBluetoothオーディオに代わる選択肢として、数年前にXPANを発表しました[1]。しかし、その後は対応製品がなかなか登場せず、大手メーカーからの最後の対応製品から1年以上が経過していました[1]。
風向きが変わったのは、メディア向けの説明会でのことです。2026年以降に対応製品が増えるのかという問いに対し、Qualcommの担当者はXPANに対応した製品が開発中であり、今後登場していくと明言しました[1]。具体的な製品名や時期までは明らかにされませんでしたが、技術が立ち消えになっていたわけではないと分かったことは、ワイヤレスイヤホンに高音質を求める層にとって朗報といえます。
Wi-Fiで音を飛ばす仕組みと利点
XPANは、その名のとおりWi-Fiネットワークに接続し、Bluetoothではなく自宅などのWi-Fi回線を使って音声を伝送する技術です[1]。Qualcommによると、この方式はBluetoothと比べて通信範囲と安定性が大きく向上するとしています[1]。部屋を移動しても途切れにくく、電波が混み合う環境でも安定して再生できるという狙いです。
音質と消費電力の両立も特徴です。Qualcommは、Wi-Fi経由で24ビット/96kHzのロスレス音声を伝送した場合でも、Bluetoothで非可逆圧縮の96kHz音声を流すときと同じ程度の電力で済むと説明しています[1]。低遅延を取るか高ビットレートを取るかという、従来は二者択一になりがちだった選択を迫られずに済む点も利点に挙げられています[1]。
普及の鍵を握る対応端末とチップ
技術として魅力があっても、対応する機器がそろわなければ使えません。XPANに対応した代表的な製品は、1年以上前に登場したXiaomiのワイヤレスイヤホン「Xiaomi Buds 5 Pro Wi-Fi Edition」でした[1]。ただし、このイヤホンのXPAN接続に対応していたのはスマートフォンの「Xiaomi 15 Ultra」だけで、そもそもXPANに対応した主要スマートフォン自体がこの機種に限られていた状況です[1]。
普及が進まなかった背景には、技術的な前提もあります。XPANを動かすにはQualcomm製の音声プロセッサ「Snapdragon S7 Pro」が必要で、後継チップが登場すればXPANも世代を重ねて強化されると見込まれます[1]。実際にQualcommの担当者は、XPANの次世代版を計画しており、今後の製品で改良版が見られると述べています[1]。発表元のAndroid Authorityは、次回のSnapdragon Summitで関連発表があり、年内にハワイで強化版XPANと新しい音声チップがお披露目される可能性があるとみています[1]。
まとめ
Qualcommは、Wi-Fiを使った音声伝送技術XPANの新たな対応製品と次世代版の開発を進めていることを認めました。広い通信範囲と安定性、そして消費電力を抑えたロスレス再生という強みを持つ技術ですが、これまでは対応端末が限られ普及には至っていませんでした。新世代の音声チップと対応製品が出そろえば、Bluetoothに次ぐワイヤレス音声の選択肢として広がる可能性があります。