富士フイルムが7月1日、レンズ付フィルム「写ルンです」シリーズに新製品2モデルを追加すると発表しました。水深10mまでの撮影に対応する防水モデル「写ルンです Active」と、モノクロ写真が撮れる黒白フィルムモデル「写ルンです Black and White」の2機種で、専用のハンドストラップも同時に登場します。パッケージ変更などを除けば、シリーズへの新製品追加は20年ぶりです。想定価格はActiveが4,480円前後、Black and Whiteが4,300円前後となります。
40年目を迎えた「写ルンです」
「写ルンです」は1986年7月に発売された世界初のレンズ付フィルムで、2026年7月にちょうど40周年を迎えました。フィルムを装填したカメラをそのまま販売し、撮り終えたら店に出すだけという手軽さで、それまで旅行や行事など特別な機会に限られていた写真を、日常の記録へと押し広げた製品です。海外では「QuickSnap」の名称で親しまれ、これまでに世界で累計17億本以上を販売してきました。発売初年度だけでも300万本以上が売れたといいます。
デジタルカメラやスマートフォンの普及とともに一時は売り上げを落としましたが、シリーズへの新製品追加は2006年の「写ルンです 1600 Hi・Speed」以来ありませんでした。今回の2モデルは、その空白を20年ぶりに埋める節目の製品にあたります。
水深10mまで対応する防水モデル「写ルンです Active」
「写ルンです Active」は、本体をプラスチックで覆うことで水深10mまでの防水性能を備えたモデルです。これまで海外の一部地域で展開していた防水モデルをベースに、デザインを刷新して国内市場へ投入します。海やプールといった水辺だけでなく、雪山やキャンプ、雨や泥が気になるアウトドアなど、スマートフォンでの撮影をためらう場面でも、濡れや汚れを気にせず使える点を打ち出しています。
操作性にも配慮があり、水中や手袋を着けた状態でも扱いやすいよう、通常モデルより大きめのフィルム巻き取りノブとレバー型のシャッターボタンを採用しました。フィルムはISO 800の135ネガフィルムで、撮影枚数は27枚。レンズは焦点距離32mm・F10、シャッタースピードは1/125秒で、フラッシュは搭載しません。外形寸法は133×73×42mm、重量は170gです。発売は8月上旬を予定し、活動的な体験を好む20代後半の女性を主なターゲットに据えています。
モノクロで撮る「写ルンです Black and White」
「写ルンです Black and White」は、シャープで粒状感の滑らかな描写を特徴とする専用の黒白フィルムを積んだモデルです。特別な設定や技術を使わなくても、街角のスナップや日常のひとこまを、被写体が際立つモノクロ写真に仕上げられるとしています。
現像面のハードルが低いのも見逃せません。搭載する黒白フィルムはカラーネガフィルムと同じ現像液(CN-16、C-41)で処理できるため、一般的なカラーフィルムの現像を受け付けている店舗や、同社のスマートフォンアプリ「写ルンです+」から手軽に現像・データ化を注文できます。フィルムはISO 400の135ネガフィルムで、撮影枚数は27枚。レンズは焦点距離32mm・F10、シャッタースピードは1/140秒で、フラッシュを内蔵します。外形寸法は115×54×34mm、重量は90gです。発売は9月以降を予定し、友人との何気ない日常を気軽に、かつ雰囲気よく残したい10代後半から20代後半の男性を主な対象としています。
あわせて、シリーズを手軽に持ち歩けるアクセサリー「写ルンです Hand Strap」も8月上旬に発売します。キーホルダーを付けたり、かばんや衣類のベルトに取り付けたりと、自分のスタイルに合わせて使えるとしています。
「特別な不自由さ」が再評価される背景
同日の製品説明会で、富士フイルムは「写ルンです」の現状と、あらためて見直したブランドの価値について説明しました。デジタル機器の普及で一時は大きく落ち込んだ販売は2021年ごろから回復に転じ、2024年のリブランディングや販促強化を経て、2025年には急成長したといいます。
同社はこの再ブームの背景を、デジタルにはない体験価値にあると分析しています。時間効率が重視される現代だからこそ、現像するまで仕上がりが分からないワクワク感や、ファインダーをのぞいてシャッターを切るという一連の行為、その場で結果を確認できない「特別な不自由さ」そのものが、デジタルネイティブのZ世代を中心に支持されているという見立てです。こうした価値観の変化を受け、同社はグローバル共通のメッセージとして「飾らない瞬間、なのに特別」を掲げました。
富士フイルムは、長年にわたる商品・サービスの提供を通じて本質的に変えてきたのは「良い写真の定義」だと語ります。かつては失敗とされた粒子感やブレ、ボケが、いまではエモーショナルな表現として受け入れられているという指摘です。撮影直後に結果を確認できないからこそ、その場の空気を壊さずに自然な瞬間を残せる点にこそ価値があるとし、今後もラインアップを進化させる方針を示しました。
40周年記念イベントも開催
40周年に合わせ、富士フイルムは記念イベントも開きます。東京ミッドタウンのフジフイルム スクエアで、7月17日から7月22日まで、10時から19時まで入場無料で開催します。40年の歩みや歴代ラインアップの紹介に加え、俳優の吉沢亮さんが出演するプロモーション動画などを展示する予定です。この動画は写真家の瀧本幹也さんが手がけたもので、5月26日から配信されています。あわせて、1986年から親しまれてきたデザインを生かした40周年の特別ロゴも制定しました。
まとめ
富士フイルムが発表した「写ルンです Active」と「写ルンです Black and White」は、20年ぶりとなるシリーズの新製品です。水深10mまで対応するActiveは8月上旬に想定価格4,480円前後で、モノクロが撮れるBlack and Whiteは9月以降に4,300円前後で発売されます。手軽さと「その場で結果が見えない」という体験そのものを価値に据え直し、40周年の節目に新しい撮影シーンと表現を広げる2機種と言えそうです。
