Appleが9月9日、Apple Watch Ultra 4を発表しました。新しいヘルスセンシングシステムとS11チップにより心拍数の測定精度と頻度を引き上げ、その日の身体の状態を0から10で示す「準備度」を新たに搭載しています。屋外ワークアウトの記録は最大45時間まで伸びました。価格は142,800円(税込)からで、予約は9月9日開始、発売は9月18日です[1]。
心拍センサーを刷新、5秒ごとの常時計測へ
Ultra 4で最も手が入ったのはセンサー周りです。光学式心拍センサーと電気心拍センサーを組み合わせた新しいヘルスセンシングシステムを採用し、S11チップと合わせて常時のモニタリング精度を高めています。Appleは1,000人を超える参加者を対象に主要なウェアラブルデバイスと比較する調査を行い、Apple Watchの新しい心拍数センサーが最も高い精度を示したとしています[1]。あくまでAppleが自社で実施した調査である点は割り引いて読む必要がありますが、比較対象を市販の主力機に取ったと明記しているのは評価できます。
より大きく電力効率に優れたグリーンLEDにより、一日を通して5秒ごとに心拍数を測るようになりました。この常時計測は「エクササイズ」と「ムーブ」のアクティビティリングの精度にも効いてきます。文字盤には心拍数のコンプリケーションが追加され、リアルタイムの数値を一目で確認できます[1]。
ストレスと回復の指標である心拍変動(HRV)は、測定頻度が最大24倍になりました。Apple Watchは回復時HRVと全体的HRVという2種類を提示します。前者は毎日のストレスと回復の兆候をつかむのに向き、後者は心血管系の健康を含めた広い視点での把握に向くという整理です。夜間バイタル値に加えて日中バイタル値の表示が新設され、夜の指標を見る前に日中の変化に気づける設計になっています[1]。
準備度が示す「今日の身体の状態」
Ultra 4の新機能である準備度は、直近のアクティビティ、トレーニングの負荷、バイタル、睡眠スコアを分析し、0から10のスコアと「休養」「無理せずに」「準備完了」「絶好調」という4段階のおすすめを毎日提示します。スコアは激しいワークアウトや日中のバイタル値の変化を受けて一日のうちに更新され、何がスコアを押し下げているかの内訳も確認できます[1]。
この種の回復指標はGarminやWHOOPなど競合が先行してきた領域です。Appleはスコアリングアルゴリズムを、大規模研究であるApple Heart and Movement Studyのデータをもとに、自社の運動科学者と医師が共同で開発したと説明しています[1]。
バッテリーは最大50時間、屋外ワークアウトは45時間
日常的な使用でのバッテリー駆動時間は最大50時間で、2日以上持つ計算です。低電力モードでは最大84時間まで伸びます。充電も速くなり、15分の充電で最大18時間分をまかなえます[1]。
ワークアウト用途では「長時間のワークアウト」モードでGPSと心拍数の測定頻度を最大にしたまま25時間、前世代比で25パーセント長く記録できます。さらに「長時間のワークアウト(最大)」を使えば、毎秒のGPS測定を続けながら屋外ランニング、ウォーキング、ハイキングを最大45時間記録できます。Appleは100マイルレースの完走に十分な長さだと説明しています[1]。ウルトラマラソンやロングトレイルを走る層を明確に狙った数字です。
歩数計測のモデルも機械学習で作り直され、屋内ワークアウトでの距離計測と日常の歩数記録の精度が上がりました[1]。
オーディオインテリジェンスとSiri AI
S11チップは年内提供予定のオーディオインテリジェンスも支えます。iPhoneが手元になくてもサイレンやアラーム、ドアベル、赤ちゃんの泣き声を検知して知らせるサウンド認識がApple Watchに登場し、周囲で流れている音楽をShazamが自動で判別してスマートスタックに表示します[1]。
処理はS11チップ内のSecure Exclaveというハードウェアで隔離された区画で行われ、音声は録音も保存もされず、生の音声データにはOSもアプリもAppleもアクセスできないとしています[1]。常時マイクを使う機能への不安に対して、隔離の仕組みを具体的に示してきた形です。
watchOS 27ではApple Intelligenceを利用したSiri AIに対応し、パーソナルコンテクストの理解や幅広い知識を手首の上で使えるようになります。ただしSiri AIはwatchOS 27の提供開始と同じ9月15日にベータとして始まる段階で、当初は英語のみです。日本語対応は10月の予定なので、日本のユーザーが発売日からフルに使えるわけではありません[1]。
日本では高血圧パターンの通知が使えない
見落としやすい注意点があります。Apple Watch Series 12とApple Watch Ultra 4では、日本において初期段階で高血圧パターンの通知機能を利用できません。Appleはこの機能について規制当局へ追加承認を申請中で、来年利用可能になる予定だとしています[1]。健康機能を目当てに買う場合、日本市場では機能がそろうまで時間差がある点は押さえておきたいところです。
価格と発売日
Apple Watch Ultra 4はナチュラルチタニウムとブラックチタニウムの2色で、価格は142,800円(税込)からです。米国では799ドル(約12万3,000円)からとなります[1][2]。日本、米国を含む50以上の国と地域で9月9日から予約を受け付け、9月18日(金)に発売されます[1]。
※1米ドル=154円換算(2026年9月9日時点)
バンドも刷新され、トレイルループにダークアンバー、サンド、バーガンディが、アルパインループにデザート、ダークオリーブ、バーガンディが加わりました。オーシャンバンドは半透明のシリコーン製になり、トランスルーセントグレイ、トランスルーセントケルプ、トランスルーセントブラックの3色が用意されます。Apple Watch Hermès Ultra 4も同時に登場し、ウェットスーツの上から調整できる延長メカニズムを備えたグランHチタニウムストラップが加わります[1]。
環境面では、3Dプリントされたチタニウムケースに100パーセント再生チタニウム、バッテリーに100パーセント再生コバルトを使い、全体で再生素材を45パーセント使用しています[1]。
なおwatchOS 27は9月15日(火)に提供され、Apple Watch Series 9以降、Apple Watch SE 3、Apple Watch Ultra 2以降が対象です[1]。
まとめ
Ultra 4の中身は、センサーの精度と測定頻度を上げ、そこから準備度という毎日使える1つの数値を出すという流れで一貫しています。バッテリーが最大50時間、屋外ワークアウトが最大45時間まで伸びたことで、ロングトレイルや長距離レースでの実用性も上がりました。一方で日本では高血圧パターンの通知が当面使えず、Siri AIの日本語対応も10月以降です。142,800円という価格をどう見るかは、これらの機能がそろうタイミングを含めて判断したいところです。
出典[1]: https://www.apple.com/jp/newsroom/2026/09/apple-unveils-apple-watch-ultra-4/
出典[2]: https://www.apple.com/newsroom/2026/09/apple-unveils-apple-watch-ultra-4/
