AMD は 2026 年 5 月 21 日、台湾のエコシステム全体に 100 億ドル(約 1 兆 5,900 億円)を超える投資を行うと発表しました[1]。※1ドル159円換算 戦略的パートナーシップの拡大と、次世代 AI インフラ向けの先端パッケージ製造能力の増強が狙いです[1]。AI の普及で計算需要が急増するなか、AMD は台湾の製造基盤と連携してラックスケールの AI システムを支える構えです[1][2]。

100 億ドル超を台湾エコシステムへ

AMD によると、今回の投資は台湾の戦略的パートナーと協力し、先端的なシリコン、パッケージング、製造の各技術を前進させることを目的としています[1]。チップレット設計や広帯域メモリの統合、3D ハイブリッドボンディング、ラックスケールのシステム設計といった、同社がこれまで培ってきた技術基盤の上に積み上げる取り組みだといいます[1]。

会長兼 CEO のリサ・スー氏は「AI の採用が加速するなか、世界中の顧客が増大する計算需要に対応するため AI インフラを急速に拡張している」と述べ、AMD の高性能コンピューティング技術と台湾のエコシステムを組み合わせることで、統合されたラックスケールの AI インフラを実現できると説明しました[1]。AMD は今回の発表を、次世代 AI インフラに必要なシリコン・パッケージング・製造の革新をパートナーシップを通じて広げる動きだと位置づけています[2]。

EFB パッケージ技術を台湾企業と共同開発

投資の柱の一つが、先端パッケージング技術の量産化です[1]。AMD は台湾の ASE(日月光半導体)と SPIL(矽品精密)、さらに他の業界パートナーと協力し、次世代のウエハーベース 2.5D ブリッジ相互接続技術の開発と認定を進めています[1]。この EFB(Elevated Fanout Bridge)アーキテクチャは、相互接続の帯域幅を高め、電力効率を改善するもので、第 6 世代 EPYC プロセッサー(開発コード名「Venice」)を支える技術と位置づけられています[1]。AMD は、これにより実際の電力・冷却の制約のなかでより高い電力あたり性能を実現できるとしています[1]。

パネルベースの技術でも進展がありました。AMD はパッケージング企業の PTI(力成科技)とともに、業界初となる 2.5D のパネルベース EFB 相互接続を認定したと発表しています[1]。パネルベースの手法は大規模な広帯域相互接続を可能にし、より効率的な AI システムの展開と全体的なコスト改善につながるといいます[1]。基板技術では Unimicron、Nan Ya PCB、Kinsus といった台湾企業も供給面で協力する体制です[1]。

Helios プラットフォームの量産体制を構築

今回の技術革新は、ラックスケール基盤「AMD Helios」の展開にも生かされます[1]。AMD とエコシステムのパートナーは、2026 年下半期に Helios プラットフォームの導入を進める計画で、本番運用に対応した AI インフラへの大きな一歩になると説明しています[1]。

システムの構築には、ODM パートナーである Sanmina、Wiwynn、Wistron、Inventec が参加します[1]。これらの企業は、AMD Instinct MI450X GPU と第 6 世代 EPYC「Venice」CPU、先進的なネットワーキング技術、オープンソフトウェアスタック「AMD ROCm」を組み合わせた Helios ベースのシステムを、設計から量産までスケールさせる役割を担います[1]。「Venice」と MI450X GPU を搭載した Helios は、2026 年下半期からマルチギガワット規模の展開に向かう見通しです[1]。ラック設計では AIC が機構面で協力するなど、台湾企業が幅広く関与します[1]。

なお、AMD の発表には将来計画に関する見通しが含まれており、製品の機能や提供時期、見込まれる効果は今後変わる可能性があります[1]。

まとめ

AMD は台湾エコシステムへの 100 億ドル超の投資を通じ、EFB パッケージング技術の量産化と Helios プラットフォームの展開を加速させます。台湾の半導体・基板・組み立て企業との連携を一段と深め、2026 年下半期に向けた AI インフラの本格展開を狙う動きといえます。実際の成果は今後の量産進捗を見て判断する必要があります。

出典:https://ir.amd.com/news-events/press-releases/detail/1286/amd-announces-more-than-10-billion-in-taiwan-ecosystem-investments-to-accelerate-ai-infrastructure

出典:https://www.amd.com/en/newsroom/press-releases/2026-5-20-amd-announces-more-than-10-billion-in-taiwan-ecos.html