Amazon は 2026 年 4 月 8 日、家庭用セキュリティブランド Ring の新機能「顔なじみ認識」の日本提供を発表しました[1][2]。対応する 4K/2K カメラまたは一部 HD デバイスを保有し、Ring Home Premium プランに加入しているお客様向けに順次展開されます[1]。
従来の「玄関で人が検知されました」という通知が「玄関でお母さんが検知されました」のように個人名つきで届くオプトイン機能で、検知された顔データは暗号化のうえお客様アカウント内に保管される構成です[1]。
「顔なじみ認識」の仕組みと対応デバイス
「顔なじみ認識」は、玄関でよく見かける人物を学習し、来訪者の顔を検知して Ring アプリ内に名前のないプロフィールを自動作成する機能です[1]。
利用者がアプリのライブラリで「お父さん」「ベビーシッターさん」などの名前を後付けで割り当てると、以降は通知やイベント履歴、タイムラインにその名前が表示されるようになります[1]。プロフィールの登録数は名前あり・名前なしを合わせて最大 50 人で、名前のない人物プロフィールはその後再検知が無い場合に 30 日で自動削除されます[1]。
利用には Ring Home Premium プランの契約に加えて、4K/2K カメラ搭載デバイスもしくは指定の HD 1080p 機種が必要です[1]。サポートページでは、Video Doorbell 第 2 世代以降、Battery Doorbell シリーズ、Wired Doorbell Pro、Outdoor Cam、Spotlight Cam Plus Plug-in、Indoor Cam(第 2 世代)、Pan-Tilt Indoor Cam などが互換機種として案内されており、Ring Car Cam とエンドツーエンド暗号化や Ring Edge との同時利用は対象外と明記されています[3]。
認識距離は 4K/2K カメラで 3〜4 m、HD カメラで 2 m 程度が目安で、ドアベルは地上 1.2 m の高さに設置すると認識精度が最適化されると説明されています[3]。
オプトイン前提のプライバシー設計と運用ルール
Amazon は本機能を「プライバシーを重視した設計」と位置付け、初期状態ではオフ、ユーザーが Ring アプリの設定で明示的に有効化したときだけ動作する仕様にしています[1]。デバイスごとに有効化や無効化を切り替えられ、新しいデバイスを追加した場合はそのデバイスについて個別に設定する必要があります[3]。検知された顔データは自動的に暗号化されてクラウドに保存され、Amazon は他者と共有しないと明言しています[1]。
プロフィールに関しては保管期間の制限も設けられています。サポートページによると、名前のないプロフィールは 30 日間の未検知で削除され、すべてのプロフィールと顔認識情報は 180 日間まったく認識されない状態が続くと自動的に削除されます[3]。デバイスをリセットや譲渡しても顔認識データは引き継がれず、対応サブスクリプションを解約した場合は新規プロフィールの追加と既存プロフィールでの認識が停止します[3]。Amazon は利用者に対し、訪問者から顔データを収集する以上、適用される法律を確認のうえで使用する責任があると注意喚起しています[1]。
米国では物議、日本でも導入時は事前確認が要点に
米国では 2025 年 12 月から同機能が順次展開され、TechCrunch の報道によれば、対応するドアベルおよびセキュリティカメラに「物議を醸す」AI 機能として導入されたと評されました[4]。利用者本人の同意は得られても、撮影対象となる第三者の同意までは担保できないという「バイスタンダー(傍観者)同意」の問題が議論の中心です[4]。電子フロンティア財団 (EFF) も 2025 年 11 月に、生体認証を用いる Familiar Faces 機能に対し米国内の州法との関係から法的論点を整理した解説を公開しています[5]。Ring の公式案内では、Illinois 州、Texas 州、ポートランド市(オレゴン州)では特定の法律により本機能は提供されていません[3]。
日本での提供では、Amazon が「お客様は、適用される法律を確認の上、本機能を適切かつ責任を持って使用する責任を負います」と明記している点が重要です[1]。集合住宅の共用部や来訪者の顔データを扱う以上、個人情報保護法上の取り扱いや、来訪者への事前告知が運用面の論点として残ります。家族や同居人の帰宅検知に限定するならば便利な機能ですが、宅配ドライバーや近隣住民まで含めて顔データを蓄積する運用では、撮影範囲と保存期間の見直しが必要になります。
まとめ
Amazon が日本で提供を開始した Ring の「顔なじみ認識」は、家族の帰宅をパーソナライズした通知で把握できる便利機能である一方、Ring Home Premium プランと対応デバイスを前提とした有料機能でもあります。オプトインで顔データの保存期間も区切られていますが、来訪者の同意や運用上のルール整備は利用者側に委ねられている形です。Ring を導入済みの家庭はまず Premium プランの料金と機種互換性、自宅の撮影範囲を確認したうえで、有効化の是非を判断するとよいでしょう。
出典:https://press.aboutamazon.com/jp/2026/4/amazon-and-ring-launch-new-face-recognition-feature
出典:https://www.aboutamazon.jp/news/devices/ring-familiar-faces-function
出典:https://ring.com/jp/ja/support/articles/z3yhg/familiar-faces
出典:https://techcrunch.com/2025/12/09/amazons-ring-rolls-out-controversial-ai-powered-facial-recognition-feature-to-video-doorbells/
出典:https://www.eff.org/deeplinks/2025/11/legal-case-against-rings-face-recognition-feature