中国の半導体メーカーZhaoxin(兆芯)は、自社のサーバー向けプロセッサー「KaiSheng(開胜)KH-50000」が、China Unicom(中国聯通)のクラウド基盤OS「CUOS」との全面的な適合認証を完了したと発表しました[1]。あわせてZhaoxinは、China Unicomが理事長を務める業界団体にも加盟しています。国産CPUと大手通信事業者のクラウドが深く結び付くことで、中国が進める自前で制御できる計算基盤づくりが一歩進んだ形です。
China Unicomとの全面適合と団体加盟
今回ZhaoxinとChina Unicomは、自主的に制御できる情報技術インフラの構築を軸に一連の戦略的協力で合意しました[1]。その中核となったのが、ZhaoxinのサーバープロセッサーKH-50000とサーバープラットフォームを土台にした、China Unicomのクラウドオペレーティングシステム「CUOS(联通云操作系统)」との全面適合認証です。
両社は全方位の互換性テストと共同認証を実施し、KH-50000プラットフォーム上のサーバー製品がCUOS環境で安定して動作し、高い性能を発揮することを確認したとしています[1]。具体的には、ハードウェアの低レイヤー適合、システムカーネルの調整、仮想化対応、セキュリティモジュールの統合といった主要な工程で深い互換と協調最適化を実現したと説明しています。クラウドコンピューティングやビッグデータ、AI計算などの基幹業務に向けて、信頼性が高く完全に自主的な計算基盤を整えることが狙いです。
さらにZhaoxinは、China Unicomが理事長を務める「中国ネットワークセキュリティ産業イノベーション発展連盟」に正式に加入しました[1]。これにより両社の連携は、製品単位の適合から、サプライチェーン全体を見据えた生態系の共同構築へと段階を引き上げた格好です。
サーバーCPU「KH-50000」とは
KH-50000は、Zhaoxinが手がける新世代のサーバー向けプロセッサーです。複数の小さなダイを組み合わせるチップレット設計を採用し、12個の演算用ダイと1個のI/O用ダイで構成されます[2]。コア数は最大96コアの構成と72コアの構成があり、96コア版は基本2.2GHz・最大3.0GHz、72コア版は基本2.6GHz・最大3.0GHzで動作します[3]。共有するL3キャッシュは最大384MBに達します。
メモリは12チャネルのDDR5-5200(ECC対応)に対応し、1ソケットあたり最大3TBまで搭載できます[2]。拡張性も高く、128レーンのPCIe 5.0(CXLおよび独自リンクZPIに対応)に加え、16レーンのPCIe 4.0などを備えます[3]。2ソケットと4ソケット構成に対応しており、独自インターコネクト「ZPI 5.0」を使えば、1台のサーバーで最大384コアまで束ねられます。性能面ではAMDのサーバー向けCPU「EPYC」を競合に見据えた製品と位置づけられています[2]。
土台にあるのは、Zhaoxinが独自に整備した命令セット「ZX86」の知的財産体系です[1]。一般的なx86系ソフトウェアとの互換性を保ちながら、設計の主導権を自社で握れる点が、自主基盤を重視する用途で評価されています。
「自主可控」とセキュリティが軸
今回の連携でZhaoxinが前面に出すのが、セキュリティと自主性です。KH-50000は、セキュリティ設計や信頼できる計算(トラステッドコンピューティング)、中国の国家暗号規格である国密アルゴリズムの処理高速化といった面に強みを持つとされます[1]。Zhaoxinはこれらを生かし、チップとシステムを組み合わせた一体型のネイティブなセキュリティ機能を提供するとしています。
両社は今後、政務、金融、電信、エネルギー、教育といった重要分野に照準を合わせ、国産技術を前提としたクラウドやAI計算センター、エッジコンピューティング、各業界の電子化に向けた取り組みを深めていく方針です[1]。海外製の半導体やソフトウェアに頼らずに基盤を組めるかどうかは、中国の官公庁や基幹インフラにとって重要な論点であり、国産CPUと大手通信キャリアのクラウドが認証レベルで結び付いた意味は小さくありません。
まとめ
Zhaoxinのサーバー向けCPU「KH-50000」が、China UnicomのクラウドOS「CUOS」との全面適合認証を完了し、あわせてZhaoxinがChina Unicom主導の業界連盟に加入しました。KH-50000は最大96コアのチップレット設計に12チャネルDDR5や128レーンのPCIe 5.0を備え、独自命令セットZX86を基盤とする自主開発のサーバーCPUです。国密アルゴリズムへの対応など、セキュリティと自主性を前面に押し出している点が特徴で、中国が進める自前で制御できる計算基盤づくりの動きを象徴する協業だといえます。
出典:https://www.zhaoxin.com/news_view.aspx?nid=2&typeid=289&id=2046
