ソニーがCinema Lineの新型カメラ「FX5」を発表しました。新開発の5Kフルサイズ積層型CMOSイメージセンサーを積み、外部レコーダーなしで16bitの圧縮RAWをカメラ内部に記録できます。発売日は2026年8月21日で、ボディ単体のILME-FX5Bが希望小売価格812,900円、XLRハンドルユニットを同梱したILME-FX5が900,900円です。いずれも税込価格となります。
新開発の5Kセンサーとオープンゲート撮影
FX5の中核にあるのは、新開発の5Kフルサイズ積層型Exmor RS CMOSイメージセンサーです。有効画素数は最大で約1660万画素。組み合わせる画像処理エンジンは、AI処理に特化した回路を統合したBIONZ XR2です。
注目したいのは、FXシリーズで初めて3:2のイメージセンサー全面読み出し、いわゆるオープンゲート撮影に対応した点です。センサーの縦方向まで余さず使えるため、横位置で撮った素材から縦型の画角を切り出すといった編集が現実的になります。納品フォーマットが複数にまたがる案件では、この柔軟さがそのまま作業時間の短縮につながります。
ただし条件があります。オープンゲート撮影が使えるのはX-OCN記録時のみで、XAVC S-Iでのオープンゲート撮影は2027年8月以降のソフトウェアアップデートVer.2.00での対応が予定されています。
階調面では、S-Log3撮影時に15+ストップのワイドラチチュードを確保しました。ベースISOはISO800、ISO4000、ISO12800の3段階から選べます。
外部レコーダーなしで16bit RAWを内部記録
FX5がもっとも大きく前進したのは記録まわりです。ソニー独自の16bitシーンリニアRAWフォーマットであるX-OCNを、カメラ本体の中に直接記録できるようになりました。これまで小型機でRAWを回そうとすると外部レコーダーを組む必要がありましたが、その一段が丸ごと不要になります。手持ちやジンバルでの取り回しを考えると、リグが軽くなる意味は小さくありません。
コーデックは従来のX-OCN LTに加えて、新たにX-OCN C1とX-OCN C2が用意されました。データサイズを抑えた設計で、素材の伝送速度やストレージ消費を現実的な水準に収めることを狙っています。ポストプロダクション側の負荷を下げる方向の追加といえます。なおX-OCN記録が使えるのはCine EI時のみです。発売時点では最大5K 60p、4K 120p、フルHD 240pに対応します。
AIを使った被写体認識とホワイトバランス
BIONZ XR2に統合されたAI処理回路は、人物、動物、鳥の瞳を認識します。さらにAIによる姿勢推定技術を使い、瞳の位置だけでなく体や頭部の位置まで把握するため、暗いシーンでもAFが粘ります。被写体を自動で追い続けるリアルタイムトラッキングにも対応しました。
オートトレーシングホワイトバランス(ATW)にもAIが効いています。可視光とIR(赤外線)センサーの情報にディープラーニングによる光源推定を組み合わせ、シーンの判別精度を高めました。ソニーは、日陰や室内といった色が転びやすい状況でFX3より安定した結果が得られるとしています。
小型ボディと現場向けの作り込み
外観はフラットトップデザインの小型軽量ボディです。ボタンとダイヤルは現場での直感的な操作を優先した配置で、手持ち、ジンバル、狭い場所での撮影まで想定しています。
光学式5軸ボディ内手ブレ補正も刷新され、ロール方向の補正範囲がFX3比で最大約2倍に広がりました。回転方向のブレは手持ち撮影でとくに目立つ部分なので、実効的な改善が期待できます。
音声は新開発のXLRハンドルユニットとの組み合わせで、最大96kHz 32bit float の4ch収録に対応します。モニタリング面では、0.58型のチルト式OLEDビューファインダー「DVF-EL1」(別売)が使えるほか、本体側の液晶もFX3より大きい3.5型・約276万ドットの16:9タッチパネルになりました。4軸マルチアングル機構を備え、撮影情報は映像に重ならないよう画面の上下左右へ配置されます。操作の中心には、CineAltaカメラ譲りの「BIG6」ホーム画面が置かれ、フレームレートや露出、LUTといった主要設定を1画面にまとめています。
信頼性の作り込みも目立ちます。冷却ファンは独立した気室に配置され、防塵防滴に配慮した設計と合わせて屋外や過酷な現場での長時間収録に備えました。ボディ各所にはアクセサリー用のネジ穴があり、ケージを使わずにシステムを組めます。HDMI端子からの出力は、本体モニターと外部モニターで別々の表示情報を出すことも、同じ内容を出すことも可能です。
まとめ
FX5は、新開発の5Kフルサイズ積層型センサーとBIONZ XR2を核に、16bit RAWのカメラ内部記録とオープンゲート撮影を小型ボディへ落とし込んだCinema Lineの動画専用機です。X-OCN C1/C2という新コーデック、FX3比で2倍に広がったロール補正、3.5型の大型モニターなど、現場で効く更新が並びます。発売は2026年8月21日、価格はボディのILME-FX5Bが812,900円、XLRハンドルユニット同梱のILME-FX5が900,900円です。
