ハンドヘルドゲーミングPCを手がけるOne-Netbookが、8.8型有機ELを備えた新型「OneXPlayer X2 Mini Pro」の価格を公開し、6月15日にクラウドファンディングのIndiegogoで出資の受付を始めました。AMDのRyzen AI Max+ 388を積み、DeepSeekやLlamaといった生成AIを手元の本体だけで動かせるのが最大の特徴です。価格は約39万円からと強気の設定ですが、携帯ゲーム機の枠を超えた小型AIマシンとしての性格が際立つ1台に仕上がっています。出荷は7月末を予定しています。

手のひらでローカルAIを動かす狙い

X2 Mini Proは、本体だけでゲームも生成AIもこなすことを前面に押し出したモデルです。クラウド経由の対話AIと違い、ネット接続やサーバー利用料に頼らず、ダウンロードしたモデルを端末内で直接動かせます。本体にはDeepSeek、Llama、MiniCPM、Qwenといった主要なローカルAIモデルをワンクリックで導入する仕組みが用意され、面倒な環境構築なしに使い始められます。AMDのRyzen AI Max+向けに提供されるエージェント実行環境「OpenClaw」にも対応しますが、こちらはAMDが案内する複数の手順を踏んでの導入になります。

大規模言語モデルはファイルサイズが大きく、複数のモデルを入れておくとストレージをすぐ圧迫します。X2 Mini Proが内蔵1TBまたは2TBに加えて拡張に余裕を持たせているのは、こうした使い方を意識したためです。容量については後述します。

Ryzen AI Max+ 388と118 TOPSのAI性能

中核となるのは、AMDのRyzen AI Max+ 388です。8コア16スレッドの構成で、最大5GHzで動作し、TDPの上限は120Wに達します。AI処理を担うNPU単体で50 TOPS、CPUとGPUを合わせた総合では118 TOPSの演算性能をうたいます。One-Netbookはこの数値を、AppleのMac miniに使われてきたM1からM4世代のNeural Engineが持つ11〜38 TOPSと比較し、手元でAIを動かす土台として十分だと説明しています。

一点、購入前に押さえておきたいのが採用チップの変更です。当初はより上位とされたRyzen AI Max+ 395での投入が見込まれていましたが、実際に出荷されるのはコア数を抑えた388となりました。AI性能を測るTOPS値とゲーム体験は確保しつつも、CPUのコア数という観点では事前の期待より控えめになった形です。重い並列処理を想定する人は、この点を理解したうえで構成を選ぶとよいでしょう。

着脱式コントローラとキーボードで3-in-1、冷却は2系統

ディスプレイは8.8型の有機ELで、解像度はWUXGA(1,920×1,200ドット)です。リフレッシュレートは30Hzから144Hzまで動的に変わるVRRに対応し、応答速度は0.1ミリ秒、ピーク輝度は700cd/m²(標準475cd/m²)に達します。コントラスト比は1,000,000対1、色域はDCI-P3とsRGBをいずれも100%カバーし、映り込みを抑える反射防止コートも施されています。

コントローラは取り外せる設計で、ホール効果式のスティック(高さ9mm、傾き22度、LEDの色を変更可能)とホール効果式のトリガーを備えます。コントローラとつなぐコネクタ部は重さ99gで、1,100mAhのバッテリーを内蔵し、外したコントローラを最大12時間使えます。さらにマグネット式のキーボードを装着すれば2-in-1のノートPCとしても使え、タブレット・携帯ゲーム機・ノートPCを1台で兼ねます。

冷却は使い方で2系統に分かれます。外付けの液冷ユニット「Frost Bay」につないだ液冷版はTDP120Wまで引き上げられ、空冷版は付属の240WのGaN充電器接続時にTDP80Wで動き、毎分5,400回転のデュアルファンが1基あたり最大6.7CFMの風量で冷やします。バッテリーやUSB給電のみの場合は55Wで動作します。バッテリーは交換できる85Wh仕様で、本体からバッテリーを外してケーブルでつなぐと本体重量は約719gに収まります。連続プレイ向けには、給電を続けられる充電ドックも用意されます。

ストレージは内蔵1TBまたは2TBで、内蔵分は4TBまで拡張できます。内蔵はM.2 2280のPCIe 4.0接続で、読み書きは毎秒6,000〜7,000MB前後と高速です。これに加えて最大2TBのmini SSDと最大2TBのmicroSDカードを足せば、合計で最大8TBまで広げられます。端子はUSB-C 4.0、USB-C 3.2、USB-A 3.2、3.5mmのヘッドホン端子をそろえます。

価格と発売時期

価格は構成と冷却方式で変わります。空冷版は48GBメモリ+1TBストレージの構成が2,399ドル(約39万円)から、64GBメモリ+2TBストレージの上位構成が2,799ドル(約45万円)です。液冷版にする場合はおよそ61ドル(約1万円)の追加で、別売りの外付け液冷ユニット「Frost Bay」は154.16ドル(約2万5000円)、予備の85Whバッテリーは82.21ドル(約1万3000円)です。Indiegogoでは出資開始後に価格が20ドルほど見直され、早期割引の枠では48GB+1TBが2,466.26ドル(約40万円)、64GB+2TBが2,877.44ドル(約46万円)となっています。

※1ドル161円で換算(2026年6月19日時点)

出荷は2026年7月末からの予定です。クラウドファンディングを通じた提供のため、量産品と同じ感覚で考えるのではなく、出資の性質や到着時期を確かめたうえで判断したいところです。

まとめ

OneXPlayer X2 Mini Proは、8.8型有機ELと着脱式コントローラ、マグネットキーボードによる3-in-1の使い勝手に、Ryzen AI Max+ 388によるローカルAI実行を組み合わせた意欲的なハンドヘルドです。DeepSeekやLlamaをワンクリックで導入できる手軽さと、最大8TBまで広げられるストレージは、AIを手元で動かしたい人の関心を引きます。一方で約39万円からという価格と、当初見込まれていた上位チップからの変更は、購入前に冷静に見極めたいポイントです。携帯ゲーム機にローカルAIという新しい役割を持たせる流れを象徴する1台と言えるでしょう。