2026 年第 2 四半期の DRAM 契約価格が前四半期比 58〜63%、NAND Flash も 70〜75% 値上がりするとの予測が、台湾の調査会社 TrendForce から公表されました[3][4]。OpenAI が 2025 年 10 月に発表した大型ウェハ契約をきっかけに、Samsung・SK hynix・Micron の生産枠が HBM とサーバ向け DDR5 に集中し、コンシューマ向けの DRAM・SSD・HDD が品薄高騰の渦中にあります[1][2]。Micron はコンシューマブランド「Crucial」を 2026 年 2 月で終了し、戦略顧客に供給を絞り込む決断を下しました[5][6]。

OpenAI の大型契約がきっかけ、引き金は月 90 万枚ウェハ

きっかけは 2025 年 10 月 3 日、OpenAI が「Stargate」構想の一環として Samsung と SK hynix の 2 社合計で月産 90 万枚ウェハ分の DRAM 供給契約を発表したことです[2]。これは将来分の目標値ですが、契約に伴う増産負担で両社の余力が一気に縮みました。実際 SK hynix は 2026 年の DRAM 生産量を前年比 8 倍へ拡張する計画を韓国メディアが報じています[1]。

11 月に入ると DRAM のスポット価格が急騰しました。OpenAI 契約から外れた Micron に新規契約が殺到し、TrendForce は Q2 2026 の DRAM 契約価格が前期比 +58〜63%、NAND Flash は +70〜75% で推移すると予測しています[3][4]。HBM が DRAM ウェハの多くを占有し、汎用 DDR5 用ラインに振り分けられる枠が減っていることも逼迫の背景です。

Micron の決算が示すサーバ DRAM 集中

Micron の 2026 会計年度第 1 四半期決算では、データセンター向け DRAM とストレージを扱う Core Data Center Business Unit (CDBU) が大きく伸びました。売上は 23 億 7,900 万ドル(約 3,759 億円)、営業利益 8 億 9,000 万ドル(約 1,406 億円)で粗利益率は 56.4% に到達[1]。前四半期は売上 15 億 5,700 万ドル(約 2,460 億円)・営業利益 3 億 9,100 万ドル(約 618 億円)・粗利益率 24.8% だったため、HBM 以外の DDR5 サーバ契約の単価が一気に跳ね上がった構図が読み取れます。※ 1 ドル 158 円換算

供給側の見通しは芳しくありません。Micron は 2025 年 12 月 17 日の Earnings Call で「業界全体の供給は当面、需要を大幅に下回る」と説明し、2026 年中はメモリ需給の逼迫が続くと表明しました[1][7]。同社は 2026 年の DRAM/NAND ビット出荷量を約 20% 引き上げる計画ですが、それでも全市場セグメントの需要を満たせない見通しです。

しわ寄せはコンシューマ向けで深刻です。Micron は 2025 年 12 月 3 日、消費者向けブランド「Crucial」を 2026 年 2 月末で終了すると発表しました[5][6]。約 30 年続いた看板ブランドを畳んでまで、HBM とサーバ DDR5 にウェハを振り向けるという判断です。

「パニック買い」説と、PC は 2027 年まで待つべき理由

PC Watch で本件を分析した大原雄介氏は、今回の高騰を パニック買いと位置付けています[1]。AI 需要が本当に逼迫の主因なら CPU 供給も追い付かないはずですが、Xeon・EPYC・Ryzen のいずれも顕著な不足は起きていないというのが論拠です。AMD の EPYC 9005 と Ryzen 9000 はダイを共通化しているため、サーバ需要が暴走しているならコンシューマ Ryzen 側にも歪みが現れるはず、という指摘もうなずけます。

また NVIDIA の Grace Hopper / Blackwell 系 (GH200・GB200・GB300) は LPDDR5X をパッケージ実装しており、汎用 DDR5 を使いません。結果として「OpenAI のウェハ契約 → メーカーが念のため DRAM を積み増し → 連鎖して SSD・HDD まで在庫確保が走った」という早合点の連鎖が起きたと読み解いています[1]。

問題は出口です。長期契約の縛りで 2026 年中は市場流通が増えにくく、契約が一巡する 2027 年第 1 四半期前後から供給が急回復するというのが大原氏の見立てです[1]。PC やスマホ、ゲーム機の購入を急がない方は、2027 年まで待つほうが選択肢が広がりそうです。

まとめ

2026 年のメモリ高騰は、OpenAI の大型ウェハ契約を引き金にメーカー各社が在庫の積み増しを連鎖させた、需要と供給の両面に起因する局面です。TrendForce は Q2 に DRAM +63%・NAND +75% を見込み、Micron は Crucial 事業を畳んでサーバ向けに資源を集中させています。新規 PC・メモリ増設・SSD 換装の検討は、契約が一巡する 2027 年初頭を待ったほうが冷静に選びやすそうです。

出典 [1]: https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/2073359.html

出典 [2]: https://openai.com/index/samsung-and-sk-join-stargate/

出典 [3]: https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260331-12995.html

出典 [4]: https://www.tomshardware.com/pc-components/dram/dram-and-nand-contract-prices-to-climb-again-in-q2

出典 [5]: https://www.tomshardware.com/pc-components/dram/micron-is-killing-crucial-ssds-and-memory-in-ai-pivot-company-refocuses-on-hbm-and-enterprise-customers

出典 [6]: https://www.trendforce.com/news/2025/12/04/news-micron-to-end-crucial-consumer-memory-by-feb-2026-redirects-supply-to-enterprise-amid-ai-surge/

出典 [7]: https://investors.micron.com/static-files/088991c5-a249-4f66-a0a6-258d9b66f3f9