Lenovoのゲーミングブランド「Legion」から、クラウドゲーミングに振り切った携帯ゲーム機「Legion C700」が中国で8月25日に発売されます。ゲームを本体で動かすことをやめた結果、重さは556g、厚さは14.9mmに収まりました。TencentのクラウドゲームサービスSTARTと組み合わせて使う設計で、バッテリーは8,000mAh、駆動時間は最大9時間とされています。

「動かさない」ことで手に入れた556g

携帯ゲーム機のこの数年は、いかに強力なプロセッサーを詰め込むかという競争でした。Windowsを積んだ機種はデスクトップ向けに近いAPUを載せ、その熱を逃がすためにファンと放熱板を抱え込み、電力を賄うために大容量のバッテリーを積む。結果として本体は800gを超え、両手で長時間支え続けるにはそれなりの覚悟が要る道具になっています。

Legion C700はこの積み上げ方を降りた製品です。ゲームの処理そのものはクラウド側のサーバーに任せ、手元の端末は映像を受け取って操作を送り返すだけに専念します。Lenovo自身も、一般的なWindows携帯機と比べて約300g軽いと説明しています。556gという数字は、7.82インチの画面サイズを考えるとかなり思い切った軽さです。

厚さ14.9mmという値も、内部で熱源を抱えていないからこそ成立しています。裏を返せば、ネットワークが届かない場所では本来のゲーム体験が成立しないということでもあります。この割り切りをどう評価するかが、そのままこの製品の評価になりそうです。

画面は7.82型120Hz、スティックはTMRセンサー式

ディスプレイは7.82インチのIPS液晶で、リフレッシュレートは120Hzです。有機ELではなく液晶を選び、解像度も現時点で公表されていないあたりは、価格を抑える方向に寄せた構成に見えます。一方でリフレッシュレートを120Hzに乗せてきたのは、クラウド経由でも操作の追従感を落としたくないという意思表示でしょう。

操作系はむしろ上位機に近い作りです。アナログスティックには接点を持たないTMR(トンネル磁気抵抗)センサーを採用し、経年でスティックが勝手に入力されるドリフト現象を避けています。トリガーはホール効果センサーによるリニア方式で、踏み込み量を連続的に読み取れます。

さらに全方向対応のD-Pad、背面ボタン2つ、小型のショルダーボタン2つを備え、いずれもボタン割り当てを変更できます。クラウドゲーミング用の端末というと簡素なコントローラーを想像しがちですが、入力デバイスとしての作り込みは手を抜いていません。

遅延10ms未満をうたうTencent STARTとの組み合わせ

ソフトウェア面はTencentのクラウドゲームサービス「START」との共同開発です。ダウンロードなしで数百本のタイトルを遊べるとされ、コントローラーもネイティブに対応します。Lenovoは「黒神話:悟空」などのタイトルで最大60fps、入力から表示までの往復遅延は10ms未満という数値を挙げています。ただしこれは実験室環境での測定値とされており、自宅の回線でそのまま再現できる数字と考えるのは早計です。

端末にはLenovo独自のストリーミングソフトも入ります。ワンクリックで接続を開始する機能のほか、オフライン用と高速用のストリーミングモードを切り替えられ、自宅のPCから直接ゲーム画面を飛ばす使い方にも対応します。クラウド専用機と呼ばれてはいますが、実際には手元のゲーミングPCの画面を持ち出す端末としても働くわけです。

管理センターからは動作状況をリアルタイムで確認でき、コントローラー設定、ファン回転数、画面設定にすぐ手が届きます。ゲーム中に呼び出せるウィジェットでは、スティックの感度やボタン割り当て、ゲームモードをその場で調整できます。

価格とプロセッサーは発売イベントで判明

現時点で公表されていない情報も残っています。価格、搭載プロセッサー、画面解像度、ストレージ容量といった基本的な仕様は、8月25日の発売イベントで明らかになる見込みです。

特にプロセッサーは、この製品の性格を最終的に決める部分です。クラウド専用機であればハイエンドなSoCは要らないはずですが、ローカル配信やAndroidアプリの実行まで視野に入れるなら、ある程度の性能は必要になります。ここに何を積んできたかで、価格帯も想定されている使い方も見えてくるはずです。

また、現時点で発表されているのは中国市場での展開のみです。TencentのSTARTが中国国内向けのサービスである以上、日本を含む他地域でそのまま同じ体験が得られるとは限りません。グローバル展開の有無についてLenovoからの発表はありません。

まとめ

Legion C700は、ゲームを本体で動かすという前提を外すことで556g・14.9mmという携帯性を手に入れた端末です。TMRスティックやホール効果トリガーといった入力周りは本格的で、120Hzの画面と合わせて操作感への配慮がうかがえます。一方で遅延10ms未満という数値は実験室での測定値であり、価格やプロセッサーも8月25日のイベント待ちです。クラウドゲーミングを日常的に使う環境が整っている人にとっては、選択肢として面白い1台になりそうです。