iQOOが中国で新型スマートフォン「iQOO Z11S」を8月18日夜に発表しました。最大の特徴は、セルを分割せずに1つにまとめた単電芯構成で10,000mAhの電池を積みながら、厚さ8.59mm、重さ225gに収めた点です。プロセッサーはDimensity 7500の満血版、画面は6.83型で144Hz駆動、首売り時の優待価格は1,799元からとなっています。
1万mAhを1セルで積むための技術
大容量化が進んだ最近のスマートフォンでは、電池を2つのセルに分けて配置する設計も珍しくありません。iQOO Z11Sはそこを単電芯のまま10,000mAhへ引き上げています。公称値は典型容量が10,000mAh(3.73V)、典型エネルギーが37.30Wh、定格では9,800mAhと36.56Whです。
電池は寧徳新能源(ATL)との共同開発で、体積エネルギー密度は859Wh/Lとされています。実装面では魔方封装2.0と核舟スタックアーキテクチャという2つの手法を組み合わせ、限られた厚みの中で電池の占有体積を稼いでいます。
材料側は第4世代のシリコン負極と、第2世代の半固体電池技術です。負極にシリコンを使うと同じ体積でより多くのリチウムを蓄えられるため、容量を伸ばしながら体積の増加を抑えられます。iQOOは今回、球形シリコンと呼ぶ新素材と二層塗布技術を組み合わせ、寿命の面でも改善したと説明しています。
実際の持ちと充電まわり
vivoの試験室データとして、マイナス20度の低温環境で連続ビデオ通話が14.6時間続くと示されています。理論値では4Gシングルカードの待受が最長43.7日、4G VoLTE通話が最長34.5時間です。iQOOはこのほか、学生のキャンパス生活を想定した複合シナリオで16時間使い続けた後の残量が57パーセントだったとしています。
一方で充電は控えめです。対応する充電器の最大出力は44Wで、100W級の急速充電を載せる上位機とは差が付けられています。電池を経由せず本体へ直接給電する全局直駆供電2.0に対応するため、ゲーム中の発熱は抑えやすい設計です。OTGによる逆充電も使えます。
ソフトウェア側の省電力も更新され、システム軽量化3.0と微電精霊2.0が入りました。後者は残量が尽きかけたときに自動で低消費モードへ移り、ゲームをバックグラウンドで保持したまま通話や配車アプリの車両情報の確認を続けられるというものです。
画面と性能は電池優先機にしては手堅い
前面は6.83型のAMOLEDで、解像度は2,800×1,260ドット、アスペクト比は20:9、画面占有率は94.47パーセントです。リフレッシュレートは最高144Hz、全画面時の最大輝度は2,000ニトに達します。職業モードを有効にすると手動での最大輝度が1,000ニト、通常時は800ニトという扱いです。色は10.7億色でP3色域に対応します。
調光方式は既定で2,160Hzの高周波PWMと高輝度時のDC調光を組み合わせた方式で、開発者向け設定を有効にすると全輝度域でDC調光に近い方式へ切り替えられます。SGSの低ブルーライト認証と低フリッカー認証も取得しています。
プロセッサーはDimensity 7500の満血版で、構成は2.6GHz×4と2.0GHz×4の8コア、製造は4nm、GPUはMali G625です。ARMの新世代C1系コアを採用し、iQOOはDimensity 7400と比べてシングルコアで24パーセント、マルチコアで21パーセントの向上としています。AnTuTu V11のスコアは12GB+512GB構成で1,309,171点と公表されました。メモリー融合により、12GB構成では実効で最大12GB分を上乗せできます。
ただし、メモリーはLPDDR4X、ストレージはUFS 3.1、USB端子はType-CながらUSB 2.0止まりです。価格を優先した割り切りが読み取れる部分で、大容量ファイルの転送を頻繁に行う人は気に留めておく必要があります。
デザインと基本装備
外観は新しい懸浮舷窓(宙に浮いた舷窓)デザインで、角のあるカメラ部を全金属のパーツで囲んでいます。背面には高精密なナノレベルの光刻加工を施し、見る角度で表情が変わる微細構造を作り込みました。カラーは万里浮光、墨岩黒、雪嶼白の3色です。
カメラは背面が5,000万画素の単眼でF1.8、前面が800万画素でF2.05という構成です。背面は4K動画の撮影に対応し、上位機と同じ清透ブルー調、ポジ、ネガの3種類のフィルムシミュレーションが使えます。望遠や超広角は省かれているため、画角の自由度を求める用途には向きません。
耐久面ではIP68とIP69の防塵防水に対応し、7項目の軍用規格に基づく環境試験を通過しています。IP69は高温高圧の噴流に対する等級で、水回りでの扱いに余裕が出ます。音波振動で水抜きと埃取りを行う機能も用意されました。
このほか、Android 16ベースのOriginOS 6、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4、画面内の光学式指紋センサー、全機能NFC、赤外線リモコン、X軸リニアモーター、ステレオデュアルスピーカーを備えます。この価格帯としては装備の穴が少ない構成です。
価格は1,799元から、国の補助で1,529.15元まで下がる
中国での価格は次の通りです。いずれも首売り時の優待価格と希望小売価格、そして国家補助(国補)を適用したときの支払額です。
| 構成 | 首売り優待価格 | 希望小売価格 | 国補適用時 |
|---|---|---|---|
| 8GB+128GB | 1,799元(約4万3,000円) | 1,999元(約4万7,000円) | 1,529.15元(約3万6,000円) |
| 8GB+256GB | 1,999元(約4万7,000円) | 2,199元(約5万2,000円) | 1,699.15元(約4万円) |
| 12GB+256GB | 2,299元(約5万4,000円) | 2,499元(約5万9,000円) | 1,954.15元(約4万6,000円) |
| 12GB+512GB | 2,699元(約6万4,000円) | 2,899元(約6万9,000円) | 2,294.15元(約5万4,000円) |
※1人民元=23.7円換算(2026年8月18日時点)
型番はV2603Aで、発売は2026年8月です。同じ発表会では性能重視の「iQOO Neo11至尊版」と、完全ワイヤレスイヤホン「iQOO TWS 5e」も披露されました。イヤホンは小売価格が149元(約3,500円)で、9月17日までの優待を適用すると129元(約3,100円)になります。
なお、iQOO Z11Sは現時点で中国市場向けの発表であり、日本を含む中国国外での展開は明らかにされていません。
まとめ
iQOO Z11Sは、10,000mAhの電池を単電芯のまま8.59mm・225gの筐体に収めた点が最大の見どころです。第4世代シリコン負極と第2世代半固体技術で859Wh/Lの密度を稼ぎ、144Hzで2,000ニトのAMOLED、Dimensity 7500満血版、IP68とIP69という装備を1,799元からの価格にまとめています。充電が44W止まりでメモリーやストレージの世代も控えめですが、電池持ちを最優先しつつ画面とゲーム性能でも妥協したくない層には収まりの良い1台です。
