OpenAIは2026年7月23日(米国時間)、ChatGPTに健康情報を扱う新機能「Health」を追加し、米国のユーザーへ提供を始めました[1]。Apple Healthや対応する医療記録を安全に連携させると、検査結果の理解や受診前の準備、生活習慣の見直しなどを、自分のデータを踏まえた会話で相談できます。無料プランを含む全プランが対象で、まずはウェブ版とiOS版から広がります。

散らばった健康情報をChatGPTにまとめる

OpenAIによると、健康に関する質問のためにChatGPTを使う人は、毎週3億人を超えています[1]。ただ、検査結果や服薬歴、受診の記録、ウェアラブル端末のデータといった情報は、患者ポータルやアプリごとにバラバラに散らばりがちで、全体像をつかみにくいのが実情です。

新機能のHealthは、ユーザーが許可した範囲で、こうした連携済みの情報をChatGPTが参照できるようにするものです。過去の検査値と新しい結果を比べたり、前回の受診からの変化をまとめたり、睡眠・運動・トレーニングと日々の習慣の関係を探ったりできます[1]。同じ内容を繰り返し説明したり、資料をアップロードし直したりする手間を減らし、より的確な質問につなげる狙いです。

連携先として選べるのは、Apple Health、米国の病院システムが対応する医療記録、One Medical、Function Healthです[1]。左側のサイドバーにあるHealthが情報の管理拠点となり、最近のデータや傾向の確認、同期した記録の閲覧、過去の健康関連の会話の見返しができます。なお、何も連携せずに健康に関する質問をすること自体は、これまで通り可能です。

会話の流れの中で健康情報を活用

今回の設計で特徴的なのが、専用画面を開かなくても、通常の会話の中で連携情報を活用できる点です。OpenAIは今年のはじめ、一部のユーザーに向けて健康専用のスペースを提供していましたが、利用状況を調べたところ、健康に関する会話の70%超が、その専用スペースの外で交わされていたといいます[1]。健康の話題は、食事の計画やレシピ探しなど、日常のやり取りの中で自然に出てくるためです。

そこで新しいHealthでは、専用画面から始めなくても、許可した情報を会話全体でChatGPTが参照できるようにしました。たとえば外食先を選ぶ際に食事制限を考慮したり、最近のけがを踏まえて負担の少ない週末の過ごし方を提案したりといった使い方が想定されています[1]。メッセージに「@Health」と付ければ、健康情報を明示的に参照させることもできます。この機能自体は、2026年前半に限定公開されていた健康体験を、対象を広げて正式に展開し直したものにあたります[2]。

健康特化で鍛えたモデル「GPT-5.5 Instant」と「GPT-5.6 Sol」

Healthの背後では、健康分野に向けて追加学習したモデルが動きます。無料プランで使える「GPT-5.5 Instant」は、緊急の受診が必要な状況の見極めや、不足している文脈の確認、不確実性の説明といった点で改善したとされます[1]。有料プランで使える「GPT-5.6 Sol」は、複雑な情報をまたいで推論する力をさらに高めた、同社にとって健康分野で最も強力なモデルという位置づけです。

性能の測定にあたっては、世界中の数百人規模の医師と協力し、現実に近い健康シナリオと評価基準を作成しています。正確性や安全性、伝わりやすさ、適切なエスカレーション(専門家への引き継ぎ)といった観点で評価する仕組みで、難度の高い健康タスクを測る「HealthBench Professional」では、GPT-5.6の各モデルがGPT-5.5を上回ったと説明しています[1]。

プライバシーとセキュリティの扱い

健康情報という機微なデータを扱うだけに、OpenAIは保護策を重ねて設計したとしています。連携した医療記録やApple Healthの情報、そしてそれらを使った会話は、基盤モデルの学習にも広告のターゲティングにも使わないと明言しています[1]。会話は保存時と通信時に暗号化され、Healthで連携した情報にはさらに追加の暗号化保護がかかります。

利用の主導権はユーザー側にあります。既定では、連携情報を回答に使う前にChatGPTが許可を求める仕組みで、毎回承認するか、常に許可するかを選べます[1]。連携はいつでも解除でき、解除するとその提供元から同期したデータは30日以内にOpenAIのシステムから削除されます。

気になる点

一方で、現時点の提供は米国のログイン済みユーザー(18歳以上)に限られ、コード生成向けの「Codex」ではまだ使えません[1]。OpenAI自身も、ChatGPTは誤ることがあり、医療専門家によるケアや判断を置き換えるものではないと繰り返し強調しています。重要な情報は元の資料と照らし合わせ、医療上の判断は医師と相談するよう促しています。

機微な医療データを消費者向けのAIサービスへ預けること自体に、慎重な見方があるのも確かです。OpenAIは非学習・追加暗号化・許可制といった仕組みで応えていますが、どこまで安心して任せられるかは、実際の運用の中で見極められていく部分が残ります。

まとめ

Healthは、患者ポータルやアプリに散らばっていた健康情報をChatGPTに集約し、自分の状況を踏まえた相談を会話の流れの中でできるようにする機能です。無料プランを含めて米国で提供が始まり、健康特化で鍛えた「GPT-5.6 Sol」などが土台となります。プライバシー保護を前面に打ち出しつつ、あくまで専門家のケアを補うものと位置づけている点が、今回の発表の要と言えるでしょう。

出典:https://openai.com/index/health-in-chatgpt

出典:https://9to5mac.com/2026/07/23/openai-relaunches-apple-health-connected-chatgpt-feature-with-expanded-access/