Amazon傘下のZooxが、独自開発した自動運転ロボタクシーを刷新しました。年内に見込む商用サービスの開始を前に、実際に乗った人たちの声をもとに乗り心地と使い勝手を中心に手を入れた格好です。ハンドルを持たない4人乗りの電気自動車という土台はそのままに、内装の質感や車外との意思疎通の仕組みが新しくなりました。
ハンドルのないロボタクシー、土台は維持
今回の刷新でも、Zooxのロボタクシーらしさは変わりません。立方体に近い独特の車体は電気で走る自動運転車で、運転席のハンドルやペダルといった操作系を持たないのが特徴です。天井のムーンルーフや星空のような車内照明も引き継がれました。
走行の頭脳となるセンサー類も従来どおりです。カメラやレーダー、LiDAR(レーザーによる測距センサー)、赤外線センサーを合わせて40基ほど搭載し、車体のまわりを把握します。前後どちらの向きにも走れる双方向走行や四輪操舵に対応し、4人を乗せて時速約120キロ(75マイル)まで出せる点も据え置きです。
内装は「気を取られない」シンプルさへ
大きく変わったのは車内です。座席とヘッドレストにはクッション性と体に沿う曲線が加わり、座り心地が見直されました。色づかいも刷新し、座席はアロエグリーン、床や内装トリムはストーングレーという明るめの配色にまとめています。
Zooxは、この明るい配色が落ち着いた空間を生むと説明します。背景の色が明るいことで、置き忘れがちなスマートフォンなどの小物が見つけやすくなる効果もあるといいます。このほか、充電パッドには溝を設けてスマートフォンがずれにくいようにし、ドリンクホルダーを大きくしたほか、画面表示装置(タッチスクリーン)も見やすいものに改めました。Zooxでロボットの工業デザインを率いるChris Stoffel氏は、今日の乗用車にありがちな機能の多さで乗客の注意を奪うのではなく、シンプルで上質な内装を目指したとしています。
車外は安全と意思疎通を強化
車体の外側にも改良が入りました。前後どちら向きにも走るため車体の両端に備える反射板は、視認性が高まる位置へ移しています。さらにドア部分のインターフェースに新しいスピーカーとマイクを加え、双方向の音声でやり取りできるようにしました。
これにより、乗客や周囲の歩行者・他の車との意思疎通に加え、運行を支えるZooxのサポート担当と緊急対応にあたる消防・救急などとの連絡もしやすくなるとしています。無人で走る車だからこそ、人とのコミュニケーションを担う装備が要になります。
量産と商用化に向けた一歩
今回の手直しには、実用面の狙いもあります。Zooxは2025年に米カリフォルニア州ヘイワードへ生産拠点を開設しており、将来的には年間1万台の生産を視野に入れています。今回の改良は、こうした量産を見据えた準備の一環で、生産ペースは最大で週100台に達し得るとしています。
ただし、有料サービスの開始や本格的な量産の前には、大きな関門が残っています。Zooxの車両は連邦法が定める一般的な運転操作系を備えていないため、同社は商用運行に向けた適用除外を申請中です。意見公募の期間はすでに終了し、現在は米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の判断を待っている段階です。NHTSAは2025年8月に、独自設計のロボタクシーを公道で走らせる実証向けの除外をZooxに認めています。今回の申請が認められれば、Zooxは有料での乗車サービスを始める考えです。現時点では、米テキサス州オースティン、サンフランシスコ、ラスベガス、米フロリダ州マイアミで走行試験と無料乗車を提供しています。
まとめ
今回の刷新は、見た目の新しさだけでなく、多くの乗客を運ぶ商用サービスを見据えた実用的な作り込みが軸になっています。落ち着いた内装と意思疎通を担う車外装備、そして量産を前提とした設計変更がそろい、Zooxは商用化に一歩近づきました。残る焦点は、年内とされる有料サービス開始の前提となる当局の判断にあります。
